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東京 小笠原諸島の硫黄島沖 噴火で新たな島拡大 今後どうなる?「硫黄島とつながる可能性も」

  • 2023年12月5日

東京から南におよそ1200キロ、小笠原諸島・父島の南にある硫黄島。
その沖合で続く噴火によって出来た新たな島が、拡大して硫黄島に近づいていることがNHKが上空から撮影した映像で確認されました。

同行した火山学が専門の東京大学の前野深准教授は「噴出物の堆積と波による浸食がせめぎ合って島の形が短時間のうちに変わる面白い現象が起きている」と指摘しています。

硫黄島沖で新たな島“拡大”

東京から南におよそ1200キロ、小笠原諸島・父島の南にある硫黄島。
面積は、およそ30平方キロメートルの火山の島です。

そんな硫黄島では、ことし10月下旬に島のすぐ南の沖合で噴火が発生し、一時は黒色の土砂を含んだ噴煙が海面から200メートルほど上がっているのが確認されたほか、噴き出した岩石などにより最大450メートルの新たな島が出来ました。

NHKが4日、上空から硫黄島沖の活動を撮影したところ、海面の下にある火口から数分間隔で噴火が起き、黒い噴煙が100メートルほどの高さまで上がっていました。

また、10月には丸い形をしていた陸地は南北に長細く変形し、長さ500メートル余りに延びてアルファベットの「J」のような形になり、先端が硫黄島から200メートルほど沖合にまで達したのも確認できました。

新たな島の表面は茶色の火山灰や噴石などで覆われ、周辺の海は緑や茶色に変色し、軽石が浮かんで流れていました。

専門家“硫黄島とつながる可能性も”

撮影に同行した火山学が専門の東京大学の前野深准教授は、火山活動について次のように指摘しました。

前野深准教授
「数週間前には海面すれすれにあった火口が、浸食が進んで海面の下に沈み、火山ガスとか熱水を吹き出している。1か月前と比べると噴火の頻度が落ち、勢いも弱まっているようにみえる。島の沖合側では(波による)浸食が進む一方、硫黄島側の水深が浅く潮流が弱いところでは岩石などがどんどん堆積している。浸食と堆積がせめぎあって島の形が短時間のうちに変わる面白い現象が起きている」

また、今後の活動について、現時点では大規模な噴火につながる兆候はみられないとしたうえで、次のような見方を示しました。

「弱いながらも噴火が継続し、島が成長している。今後も続けば、硫黄島とつながる可能性はある」

硫黄島とは?

硫黄島とはどのような島なのか。
太平洋戦争末期、激戦地となった島として知られる硫黄島。
当時、アメリカ軍が上陸した砂浜は、今回、新たな島ができた場所のすぐ近くです。

島には現在、自衛隊の施設が置かれ、一般人の立ち入りは制限されています。

気象庁が常時観測する活火山のひとつで、噴火で火口周辺などに影響が出るおそれがあるとして「火口周辺警報」が2007年から発表されています。

これまで、島内の各所で小規模な噴火がときどき発生してきました。
国土地理院の観測によると、隆起などによって硫黄島の面積は拡大していて、平成26年には父島を抜いて、小笠原諸島で一番広い島になりました。

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