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  • 2023年11月2日

経済対策 所得税など減税額や給付は? 賃上げや児童手当 ガソリン 電気 ガス…【詳細まとめ】

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政府は、所得税の定額減税や低所得世帯への給付などを盛り込んだ、17兆円台前半の規模となる新たな経済対策を決定しました。物価高騰への対策、所得税や住民税の減税の内容、さらに賃上げに向けた対策など主な内容をまとめました。

「第1の柱」物価高騰対策 ガソリン 電気 ガス

今回の経済対策では物価高騰への対策などを「第1の柱」と位置づけていて、高い水準が続く燃料価格や電気・ガス料金の激変緩和措置を講じるとしています。 
この中で、ガソリン価格を抑えるための補助金については、家庭や中小企業の負担を軽減するため、現在の負担軽減策を来年4月末まで延長するとしています。

具体的には、レギュラーガソリンの場合、全国平均の小売価格が1リットルあたり、▼185円を超える部分は全額を補助し、▼168円から185円までの部分はその60%を補助することで、実際の小売価格の平均を175円程度の水準に抑えるとしています。

また、電気とガスの負担軽減策も来年4月末まで延長するとしています。電気料金は、1キロワットアワーあたり、▼家庭向けでは3.5円、▼企業向けでは1.8円を補助します。 
都市ガスについては、家庭や年間契約量の少ない企業を対象に1立方メートルあたり15円を補助します。

政府は、来年5月には電気や都市ガスの負担軽減策について、国際的な燃料価格の動向などを見極めながら、支援の幅を縮小するとしています。

所得税・住民税の定額減税

今回の経済対策の注目点は所得税と住民税の定額減税です。岸田総理大臣が与党に検討を指示したことを踏まえ盛り込まれました。

具体的には、納税者本人とその扶養家族を対象に1人あたり所得税3万円と住民税1万円、年間であわせて4万円を減税する方針で、対象は9000万人程度とみられます。 
また、およそ1500万世帯とみられる住民税の非課税世帯は、減税による還元を受けられないことから、地方自治体を通じて1世帯あたり7万円を給付します。

こうした世帯にはことし春の物価高対策でも3万円の給付が盛り込まれていました。

一方、住民税は納めていても、所得税を納めていない人たちの世帯については、住民税の非課税世帯と同じ水準を目安に給付を行う方向で検討します。 
また、子どもが多い低所得世帯や、所得税の納税額が少なく減税だけでは十分に還元を受けられない人に対しても適切な支援を行えるよう、ことし中に具体策をまとめるとしています。

「過去2年間の税収増を分かりやすく直接還元する」

経済対策では、「賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担の緩和やデフレ脱却のための一時的な措置として減税を実施する」とした上で、「来年6月から減税をスタートできるよう、来年度の税制改正で結論を得る」と明記しました。

また、「過去2年間の税収増を分かりやすく直接還元する」としていて、減税の規模は総額で3兆円台半ばを見込んでいます。

児童手当 保育 子育て支援は

対策では少子化対策を推進するとして子ども・子育て関連の政策も盛り込まれています。

〇児童手当 
来年10月に施行予定の所得制限の撤廃を始めとした児童手当の拡充については、振込の開始時期を当初予定していた再来年の2月から来年12月に前倒しするとしています。

〇こども誰でも通園制度 
すべての子育て家庭を対象とした支援の強化として、政府が導入を検討している「こども誰でも通園制度」が盛り込まれました。親が就労していなくても子どもを保育所などに預けられるようにするもので、本格的な実施を前に来年度から試験的な事業を開始する予定でしたが、これを今年度中に開始することも可能となるよう支援を行うとしています。

〇低所得家庭の受験料等支援 
さらに、こどもの貧困対策として、受験料などへの支援を行うことで、学習支援を拡充しこどもの進学を後押しするとしています。具体的には所得が一定に満たないひとり親世帯や所得の低い世帯を対象にする予定で、高校3年生には大学入学共通テストや大学の受験料としてあわせておよそ5万円を補助するほか、高校3年生と中学3年生が模擬試験を受けるための費用を補助する方針です。

賃金上げに向けた税制措置を検討

今回の経済対策では、企業に対して従業員の賃上げや成長に向けた投資を促すための税制措置を検討する方針も盛り込まれました。

〇賃上げ 法人税から控除 
このうち賃上げについては、いまある税制の強化を検討します。いまの制度は、来年3月末が期限となっていて、給与の総額を増やした分のうち大企業で30%、中小企業で40%を上限に法人税の税額から控除=差し引くことができます。

〇赤字企業は繰り越しも 
この期限を延長した上で、賃上げしてもその年が赤字となり控除を受けられなかった分は翌年度以降の一定期間内に黒字を計上した年に繰り越せるようにして赤字企業にも適用しやすくすることなどが検討される見通しです。

中堅・中小企業が賃上げできる環境整備

また経済対策には、来年以降も中堅・中小企業が賃上げできる環境の整備に向けて、価格転嫁対策の強化や設備投資への支援策などが盛り込まれました。

〇価格転嫁対策 
このうち、価格転嫁対策では、原材料費や燃料費が上昇する中、中小企業や小規模事業者が取引先と円滑に価格交渉ができるよう、年内に指針を策定するとしています。

〇新たな補助金 
また、深刻な人手不足の解消につながる設備の導入に対し新たな補助金を設けた上で、より多くの事業者が利用しやすいよう、補助の対象となる設備をまとめた一覧を作るとしています。さらに、中堅・中小企業が行う工場の新設や大規模な設備投資に対し、新たな補助金を設けます。

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