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いつまで続く物価上昇 カット代や運送料などで上昇傾向 原因は?

  • 2023年10月23日

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる9月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月より2.8%上昇しました。電気代や都市ガス代が政府の負担軽減策などで下落したことから、上昇率は、去年8月以来、13か月ぶりに2%台となりました。

こうした中で、宅配便の運送料、クリーニング代、子どもの習い事といった「サービス」の価格は、上昇傾向が続いています。その背景などを探りました。
 

9月の消費者物価指数は…

総務省によりますと、9月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が2020年の平均を100として去年9月の102.9から105.7に上昇し、上昇率は2.8%でした。

上昇率は前の月から0.3ポイント下がり、去年8月以来13か月ぶりに2%台となりました。
電気代や都市ガス代が政府の負担軽減策などで下落したことが主な要因です。

「電気代」はマイナス24.6%、「都市ガス代」はマイナス17.5%と下落幅はいずれも比較可能な1971年1月以降最も大きくなっています。

一方、「生鮮食品を除く食料」は8.8%上がり、高い水準が続いています。

具体的には、「鶏卵」は31.2%、「調理カレー」は17.5%、「炭酸飲料」は17.2%、外食の「ハンバーガー」は13.4%、「アイスクリーム」は11.7%上昇しました。
また、「宿泊料」は17.9%、「トイレットペーパー」は16.6%上がっています。

具体的には…
○「鶏卵」31.2% ↑
○「調理カレー」17.5% ↑
○「炭酸飲料」17.2% ↑
○外食の「ハンバーガー」13.4% ↑
○「アイスクリーム」11.7% ↑
○「宿泊料」17.9% ↑
○「トイレットペーパー」16.6% ↑

総務省は、電気代と都市ガス代の負担軽減策で、生鮮食品を除いた指数は1ポイント程度押し下げられ、これがなければ上昇率は3.8%程度になったと試算しています。

「サービス」 去年同月比2.0%上昇

消費者物価指数は食料などの「財」と「サービス」の価格の平均的な変動を調査したものですが、このうち「サービス」は去年の同じ月より2.0%上昇しました。

「サービス」の上昇率は7月から横ばいが続いていて、消費税率引き上げの影響を除くと1993年10月以来およそ30年ぶりの水準となっています。

上昇率の最近の推移を見ると、去年7月まではマイナスとなっていましたが、去年8月にプラスに転じたあと、上昇傾向となっています。

サービスは▽外食や▽交通・通信、▽理美容サービス▽家事関連サービスなどで構成されていて、食料などの「財」と比べると▽人件費の増加が反映されやすいことや▽「財」よりも遅れて上昇することが特徴とされています。

サービスの上昇率を品目別にみると
▼公衆浴場の入浴料は 8.5%
▼宅配便の運賃を示す運送料は 7.0%
▼スーツのクリーニング代は 5.6%
▼月謝類のうち子どもの体育教室の講習料は 2.5%
▼美容院のカット代は 2.0%
▼理髪料は 1.6% となっています。

専門家などからは、賃上げに伴う人件費の増加を価格転嫁する動きがさらに広がることが予想され「サービス」の上昇ペースは今後、加速するという見方が出ています。

サービス料金 “さらなる値上げも”

全国でヘアカットのチェーン店を展開する会社では、美容師などの人手不足が続いていて、今後の状況によってはサービス料金のさらなる値上げも検討せざるをえないとしています。

全国でヘアカットのチェーン店を展開する会社では、ことし4月からカット代金を一律で1200円から1350円に引き上げました。

会社によりますと、値上げの大きな要因は人手不足に伴う人件費の上昇で、会社ではことし8月、直接雇用する正社員とパート従業員およそ2200人を対象に賃上げを行いました。

ただ、新型コロナウイルスが5類に移行し、需要の回復が続く中、人手が足りない状況はいまも続いているということです。

このため、今後の状況しだいでは、サービス料金のさらなる値上げも検討せざるをえないとしています。

渋谷区の店を訪れた50代の男性
「カット代が2500円や3000円に上がるとなれば話は別ですが、世の中全体が物価高の流れになっているので、多少の値上がりはしかたがないです」

店舗を展開する「キュービーネットホールディングス」の広報 平山貴之さん
「人材確保のためには、給料アップが重要で、将来的にはさらなる値上げもやむをえないと考えている」

運送会社では…

運送会社では、ドライバーの人手不足と燃料価格の上昇を理由とした運送料金の値上げを検討する動きが出ています。

東京・足立区に本社がある運送会社では、16人のドライバーが働いていてトラックで建設資材などを運んでいます。企業だけでなく、個人客の依頼も受けていて、ことし4月に一般を含む小口の運送料金を引き上げ、来年4月からは企業向けの大口の料金も値上げしたいとしています。

背景にあるのが、来年4月から始まるトラックドライバーへの時間外労働の規制強化、いわゆる「2024年問題」への対応です。

会社によりますと、長時間労働が改善される一方で、来年4月からは残業代が減少するなどしてドライバーの半数ほどが収入が減る見込みです。

ドライバーが、ほかの業界などに転職するのを防ぐために、この会社は基本給の引き上げ、「ベースアップ」などを検討しています。

賃上げの原資を確保するために、いま進めているのが複数の大口の荷主との料金改定交渉で、来年4月からは15%程度の引き上げを求めています。

しかし、交渉は難航していることから、会社では輸送を維持するためには、どれくらいの値上げが必要か、「燃料代」や「人件費」などのデータを示すなどして交渉を続けたいとしています。

「藤倉運輸」藤倉泰徳 社長
「ここで値上げを認めてもらえないと、私たちのような中小企業は事業を継続していけないと思っています。荷主側に理解をしてもらって運送料金の引き上げを達成していきたい」

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