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サンマ ことしの漁獲量や大きさ 値段はどうなる?不漁の原因とは

  • 2023年8月29日

秋の味覚でなじみ深いサンマですが、このところ深刻な不漁が続いています。
北海道根室市では、8月中旬に初水揚げされたサンマは、大きいサイズで1キロあたり13万円で取り引きされました。
ことしの漁獲量の見通しや不漁の原因などについてまとめました。

サンマ 初水揚げで1キロ13万円

サンマの水揚げ量が13年連続で全国一の根室市の花咲港には、8月18日夜、8月10日の解禁日に出漁した棒受け網漁の小型船1隻が戻りました。
そして、翌日、北太平洋の公海でとれたサンマおよそ470キロを水揚げしました。

「第五十五錦隆丸」北見瑛二 漁労長
「去年よりはいいが、もっと多くとってきたかった。これから操業する船が増えれば量も出てくると思う」

花咲港での水揚げでは、全体的に小ぶりなサンマが目立ったことから、競りではおよそ120グラムとサイズの大きいものには1キロあたり13万円の値がつき、去年の花咲港での初水揚げと比べて倍以上の過去最高値で取り引きされました。

このほか、北海道東部の厚岸町でも小型船3隻があわせておよそ1.1トンを水揚げしました。

サンマの棒受け網漁は8月20日、大型船による漁が解禁され、さらに本格化します。

ことしも不漁の見込み

秋の味覚としてなじみ深いサンマ。ことしの漁獲量はどのような見通しなのか?

国の研究機関、「水産研究・教育機構」は、本格的に漁が行われる8月から12月までの時期に、北海道や千葉県沖にかけて来遊するサンマの量や大きさの見通しを公表しました。

それによりますと、来遊するサンマの量は94万トンと、去年と同じ程度の低い水準にとどまるうえ、日本近海に来るサンマはほとんどなく、漁場はより遠くの公海に形成されるとしています。

水産庁は燃料価格が高騰する中、遠い漁場での操業は採算が取れないと判断する漁業者も増えているとして、2023年の漁獲量の見通しを過去最低だった去年のおよそ1万8000トンと同じ程度にとどまると見込んでいます。

また、スーパーなどに並ぶサンマの大きさについても去年を上回るものの、引き続き小ぶりなものが中心になるとしています。

サンマの資源量は、海洋環境の変化に加えて、各国の漁獲量の影響も受けることから、水産庁は、引き続き国際会議などで資源管理の強化を呼びかけることにしています。

不漁と小ぶりの原因とは?

ことしも不漁が見込まれるサンマですが、そもそも例年春から夏にかけて太平洋でエサのプランクトンを食べながら北上します。そして、エサを食べて脂の乗ったサンマは、秋になると日本の沿岸を南におりてきて、漁獲されてきました。

国の研究機関「水産研究・教育機構」によりますと、最近は日本の近くにサンマが来なくなり、ことしも北西太平洋にやってくるサンマは、低水準にとどまると予測しています。

なぜ低水準にとどまると予想しているのか?
サンマは、比較的、冷たい海を好み以前は北からの親潮にのって南下していました。ところが近ごろは親潮が日本近くになかなか入り込まなくなりました。

とくに2010年代後半以降、親潮の流れが変わり、サンマが日本から離れたところで南下するようになったとみられています。

その結果、サンマの成長も悪く、大きさも小ぶりになってしまいました。

北海道から東北にかけての太平洋の近海は、親潮と黒潮がまざってプランクトンが豊富に発生することで知られています。
しかし、沖合はエサがそれほど豊富ではないため、サンマの成長が悪くなった上に、稚魚の数も減ったと推測されています。

その上、漁業者にとっては漁場が遠くなったため、水揚げの頻度が落ちることになってしまいました。

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