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PFAS含む泡消火剤 米軍横田基地内で漏出 地下水調査の状況や課題は

  • 2023年7月6日

有害性が指摘されている化学物質「PFAS」は、多摩地域などでは地下水から国の暫定の目標値を上回る値が検出されています。東京都は「アメリカ軍横田基地内で、これまでに3件、PFASを含む泡消火剤が漏れ出たことを確認した」と7月4日に国から連絡があったことを公表しました。PFASをめぐる調査の状況のほか、住民の声や専門家の見方をまとめました。

PFAS調査 都内17自治体で暫定目標値超

「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、このうち、「PFOS」と「PFOA」はアメリカの研究などで有害性が指摘され、国は水質の暫定的な目標値を設けています。

PFASの東京都内全域を対象にした都の地下水の調査では、これまでに、23区では渋谷区や練馬区、文京区、大田区、多摩地域では、立川市や調布市、府中市などあわせて17の自治体で国の暫定の目標値を上回る値が検出されています。

“横田基地内でPFASを含む泡消火剤の漏出あった”

このPFASをめぐり、都は、7月4日、北関東防衛局から「アメリカ軍横田基地内で、これまでに3件、PFASを含む泡消火剤が漏れ出たことを確認した」などと情報提供があったことを7月5日に公表しました。

漏れ出たのは、平成22年1月に格納庫内で、平成24年10月にドラム缶から、平成24年11月に保管されていた容器からのあわせて3件で、アメリカ軍は「基地の外へ流出したとは認識していない」と説明しているということです。

“昔は井戸水を飲んでいた” 立川市の住民は

東京・立川市の井出由美子さん(73)は、ことし1月に専門家などが行ったPFASの血液検査で全国の平均を上回る血中濃度が検出されたということです。

東京都は5年前から、井戸水で国の暫定の目標値を超えるなどした場合、取水の停止などの対応を取っているため、水道水に影響はないとしています。
ただ、井出さんは立川市に50年以上暮らしていて、昔は井戸水をそのまま飲んでいたということです。
今回、アメリカ軍横田基地内で10年以上前にPFASが漏れ出ていたことを今になって知ったことに憤りを感じています。

井出由美子さん
「国や都は、住民の健康を守ることが役目だと思うのに、これまで情報が出てこなかったことには怒りがわいてきます。いつから、井戸水にPFASが混入していた可能性があるのかわからないことばかりなので、行政には情報提供をしっかりしてほしい」

基地内の漏出 求められる対応は

20年以上にわたって全国のPFASの状況などについて研究を続けている京都大学大学院の原田浩二准教授は「国が『横田基地内でPFASが含まれる泡消火剤の漏出があった』と認識していることが明らかになったのは大きな意義があり、国もこれが問題だと認識しているということだ」と指摘しました。

京都大学大学院 原田浩二准教授
「基地内とはいえ、漏れ出たPFASがその後、どこにいったのか。これまで泡消火剤がどのような場所で、どれくらい使われてきたのか。多摩地域を中心に高い濃度で検出されていることとどう関わってくるか、明らかになっていない。汚染が広がってからでは除去なども行いにくくなるので早く状況や影響を把握してできる対策をとる必要がある。政府が責任を持って、アメリカ軍とやりとりを続け、こうした情報を引き出し、立ち入り検査も要望していく必要がある」

“地下水への影響調査や都民への情報提供を”

都は「多くの都民が健康への影響などについて不安を抱いており、早急に払拭する必要がある。速やかに情報提供されなかったのは極めて遺憾」などとして、国に対し、地下水への影響調査や都民への情報提供を行うよう要請しました。

この問題について小池知事は6日、都内で記者団に対し、「基地内の情報や環境調査はなかなか難しいものがある。今回出てきたことによって対応が練られるとともに、漏れ出たのがいつなのかなど詳細は伺いたい」と述べました。
そのうえで5日、国に対して地下水の影響調査などを要請したことを踏まえ、「都としての要望などを早速文書にして出したところだ。安心安全な対策につながるようにしてほしい」と述べました。

東京都は、PFASについての都民向けの電話相談窓口を設けています。

窓口の電話番号
03-5989-1772
受付 平日の午前9時から午後5時まで

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