物価の優等生とも呼ばれている卵の価格は当面、高値が続くかもしれません。
6月の卵の卸売価格の平均は、5月より1円安くなり、ことし1月以来5か月ぶりに値下がりしました。しかし、農林水産省は、飼料価格が高止まりしていることなどから当面は高値で推移する可能性が高いとしています。
卵の卸売価格の目安となる「JA全農たまご」の東京地区でのMサイズ1キロあたりの6月の平均価格は349円で、5月と比べて1円安くなりました。
統計が公表されている1993年以降、5月まで4か月連続で最高値となっていましたが、ことし1月以来、5か月ぶりに下落に転じた形です。
農林水産省は理由について、例年、卵の価格はクリスマスケーキやおせち料理といった冬場の需要が落ち着いた夏場に値下がりする傾向があることに加えて、鳥インフルエンザが発生した養鶏場での採卵も徐々に再開しているためだとしています。
一方、6月の卸売価格を去年の同じ月と比べると、136円、率にして63.8%値上がりしていて、依然として高い水準が続いています。
農林水産省は、鳥インフルエンザによる影響が依然として続いていることや、輸入に依存するとうもろこしなどの飼料価格が高止まりしていることから、当面は高値で推移する可能性が高いとしています。
卵の価格が高止まりしている背景には、輸入トウモロコシの価格が高騰するなどエサの不安定な供給状況が続いていることがあります。
こうした中養鶏業者の中には、一部のエサを国産に切り替える動きも出ています。
およそ27万羽のニワトリを飼育している埼玉県嵐山町の養鶏業者では、ことし中に3万羽分のエサのとうもろこしを、輸入から国産に切り替えることにしています。
輸入とうもろこしは、ことしは南米などで増産が予想される一方、ウクライナではロシアによる侵攻の影響で作付面積が減少するなどしていて、価格や供給量が見通せず、不安定な調達状況が続いています。
このため、この養鶏業者では国内の生産者から新たにとうもろこしを買い入れることにしたもので、こうした取り組みによって、エサにかかるコストや調達量を安定させたいとしています。
業者によりますと、国産のとうもろこしは輸入に比べて割高ですが、たんぱく質が多く含まれたまごの甘みやコクも増すということで、付加価値を高めた商品として新たにブランド化していきたいとしています。
セイメイファーム 江森大也さん
「国内でこれだけ卵が高くなり、もの自体も少なくなっていく中で、いいものを安定して届ける役割を担っていきたい」