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黄砂の健康影響は?アレルギー症状悪化のおそれ 呼吸器や肌に影響も

  • 2023年5月22日

大陸の砂漠地帯で強風によって巻き上げられた大量の砂が上空の風に流されて広い範囲に運ばれる「黄砂」。日本では春に多く観測され、黄砂に詳しい専門家は「黄砂には花粉や汚染物質が付着し、アレルギー症状などを悪化させるおそれがある」として注意を呼びかけています。

黄砂とは?その影響は?子どもや高齢者への影響大か

大陸の砂漠地帯で強風によって巻き上げられた大量の砂が上空の風に流されて広い範囲に運ばれる「黄砂」。日本では春に多く観測されます。

黄砂による人への影響について、環境省は、これまでの研究成果などをもとに「黄砂とその健康影響について」としてホームページに公開しています。

それによりますと、黄砂の飛来との関連が報告されていることとして、目のかゆみや結膜炎、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状、気管支ぜんそくや肺炎など呼吸器疾患の悪化をあげています。

黄砂による気管支ぜんそくの入院は、特に子どもと高齢者への影響が大きいとしています。

また、循環器疾患への影響として黄砂の飛来と、心筋梗塞による入院や発症の増加との関連も報告されていますが、黄砂が発症にどのように関係しているかはわかっていないとしています。

予防策は…外出控えるなど

そして、黄砂による健康影響を予防するために、特に呼吸器や循環器に疾患のある人や子どもや高齢者は、より慎重に行動することが望まれるとした上で、環境省や気象庁による黄砂の飛来情報をチェックし、黄砂が飛来しているときは、不要不急の外出を控えたり、不織布マスクなどを着用したりして、黄砂を吸い込む量を減らすよう呼びかけています。

黄砂…花粉や汚染物質 付着

また、黄砂に詳しい聖路加国際大学の大西一成准教授も注意を呼びかけています。

黄砂に詳しい聖路加国際大学 大西一成 准教授

大西准教授が、私たちに見せてくれたのが日本の鳥取県で採取した黄砂でした。
大陸で採取した砂と比べると、少し黒みがかっているのが分かります。
 

(左)大陸で採取した砂    (右)日本に飛来した砂

(緑枠:花粉か)(黄枠:黄砂)(青枠:大気汚染物質)

大西准教授は、黄砂が日本に飛来する過程で、さまざまな物質が付着している可能性があると指摘します。

飛来した砂を拡大すると、さまざまな物質が付着しているのが分かりました。
大西准教授によりますと、画面中央の黄色い枠で囲っているのが黄砂だということです。
その右上の青い枠で囲っているのが大気汚染物質で、左側の緑色の枠で囲っているのが花粉の可能性が高く、ありとあらゆる汚染物質が付着しているということです。

その上で、健康への影響について次のように話します。

聖路加国際大学 大西一成 准教授
「(健康への影響は)まず一つ目がアレルギー症状です。黄砂が飛来している時には、肌の症状を訴える人がいます。黄砂は呼吸器を通じて、粘膜にも刺激を与えて、花粉や大気汚染物質も入ってきて、悪化させることもわかっています」

では、どのような対策を講じればいいのか、大西准教授に聞くと、次のように述べました。

聖路加国際大学 大西一成 准教授
「一番の対策はさらされることを防ぐということになります。外出する時間を短くする。洗濯物や布団の外干しを避けるのは重要な対策の一つになります。そして、外出先から帰ってきたら、すぐに洗い流して着替えるということは大切になります」

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