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マスク着用が個人判断 感染者数はどうなる 職場の感染対策は?

  • 2023年3月10日

マスクの着用が個人の判断に委ねられることにともない各業界では業種別ガイドラインが見直されるなど対応が進められています。こうしたなか、今後の感染者数について名古屋工業大学のグループがAI=人工知能を使って試算しました。感染者数はマスクの着用率でどう変わるとされたのでしょうか。今後の感染対策をめぐる動きについてまとめました。

着用は個人の判断 各業界も対応

内閣府によりますと、マスクの着用が個人の判断に委ねられる3月13日を前に、9日の時点で、195ある業種別ガイドラインのうち、バスなどの公共交通機関や、小売業界、ホテルなど62のガイドラインですでに見直しや周知が進められているということです。

このうち、「日本バス協会」では、通勤ラッシュ時など混雑したバスに乗車する時には政府によりマスクの着用が推奨されていることを周知するとしています。

AIを使って感染者数を試算 着用率で違いは

名古屋工業大学の平田晃正教授のグループは、さらに感染力の高い変異ウイルスが現れず、人出がコロナ前の水準まで緩やかに戻るといった想定でAIを使って東京都の1週間平均での1日あたりの感染者数を試算しました。

〇半数が着用継続
その結果、半数の人がマスクを着用し続けた場合、東京では感染者数が大型連休のあとで増えるものの5月中旬の時点でおよそ5500人と試算され、当面、大規模な感染拡大は避けられるとしています。

〇80%が着用やめる
一方で、80%の人が着用をやめると5月中旬の時点で感染者数は1日あたりおよそ8600人になるという試算になりました。

いずれの場合もお盆休みのあとにも同じ程度まで増えるとみられると試算されたほか、ワクチンの追加接種がなければ免疫の効果が下がり、感染者数は年末にかけて1日に1万人を超える試算になったということです。

名古屋工業大学 平田晃正教授
「一定の人がマスクの着用を続ける場合、感染は拡大しにくいという試算結果になった。高齢者などリスクが高い人もいるので、配慮しながら生活することが大切だ」

感染の広がり方とマスクの目的

新型コロナウイルスは主に、感染者がせきやくしゃみ、会話などの際に排出する飛まつ、それに「エアロゾル」や「マイクロ飛まつ」と呼ばれるごく小さな飛まつを通じて感染が広がります。

厚生労働省の専門家会合のメンバーなどがまとめた資料では、マスクを着用するのは自分が感染しないこと、それに新型コロナでは発症前の潜伏期間におよそ半数の感染が起き、症状が出ない人からも感染が広がりやすいことが知られているため、会話やせきをする際に気づかないうちに他者に感染させないことが大きな目的だとしています。

マスクの効果 各国の研究を解析すると

マスクの着用で自分の感染を防ぐ効果について、各国の78件の研究を解析した結果では、マスク着用者の1週間あたりの感染リスクは着用していない人に比べ0.84倍に下がり、2週間あたりだと0.76倍に下がると推定されたとしています。

また、マスクの着用でまわりに感染を広げない効果について、各国の研究21件を解析した結果では、マスク着用がコミュニティ全体で推奨された場合は、新規感染者数や入院患者数、死者数を減少させる効果があることが示唆されたとしています。

東邦大学 舘田一博教授(政府分科会メンバー)
「マスクの効果が無くなったわけではなく、感染を防ぐ一定の効果があることが科学的にも分かっている。特に重症化リスクの高い高齢者や持病のある人と密な環境でたまたま隣り合ってしまうような、混んでいる電車などの場面や医療機関、高齢者施設ではしばらくマスクを着用しながら自分や相手を感染から守り感染したくない人が不安にならないようなマスクの使い方を考えるべきではないか」

オフィスの感染対策 チェックリストで確認

一方、順天堂大学はオフィスでの感染対策を確認するためのチェックリストを公開しました。チェックリストは、感染制御が専門の順天堂大学の堀賢教授が作り、オフィスの管理と換気対策について求められる対策を確認できるようになっています。

このうち、オフィスの管理の対策については、【マスクの着用】、【体調不良の際に勤務しない場合の取り扱い】、それに【流行状況に応じたリモートワークのルールがあるかどうか】など、5つの項目を点数で評価します。

5項目のうち、例えばマスク着用については、ルールを設定していないと0点、会話や電話対応など声を発する場面で着用を推奨していれば1点、声をほとんど発しない場面で着用を免除していれば2点。逆に場面に関わらず、一律にマスクを外すことや着用を求めていればマイナス2点などとしています。
通常の業務を行う場合には5つの項目で合わせて5点以上だと良好と判定されるとしています。

これまでに行われてきた対策の何をやめて何を続けるか、現場での判断は難しいため、リストを作ったということです。

順天堂大学 堀賢教授
「マスク着用の緩和や5類への移行が進むが、コロナが消えたわけではない。オフィス内の感染対策のよしあしを判断し、流行の波が大きくならないよう活用してもらいたい」

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