「ラン活」とも呼ばれるランドセル選び。来年、2024年春に入学する子ども向けの商品が早くも店頭に並び始めました。
少子化などを背景にこだわりをもつ人が増えていて、そうした客をいち早く取り込もうと販売の開始時期も年々、早まっています。
ランドセル業界の対応やトレンドを取材しました。
親子でお気に入りの1品を探すランドセル選びは「ラン活」とも呼ばれ、業界団体によりますと、少子化を背景に子どもたちのためにこだわりの商品を選ぶ傾向が高まっていることなどから年々、販売時期が早まっているということです。
ランドセルメーカーの「土屋鞄製造所」では、来年春に入学する子ども向けの新商品の販売会を3月から始めるのに先だって各店舗に新商品を展示して試着などができるようにしています。
メーカーによりますと、「男の子は黒、女の子は赤」という固定観念にとらわれず、「多様化」や「ジェンダーレス」を意識したランドセルが注目されているため、「ディープレッド」や「ネイビー」、「カーキ」などおよそ40の多彩な色をとりそろえたということです。
また、最近では教科書だけではなくタブレット端末を持ち歩くなど小学生の荷物は増える傾向にあるため、軽くて大容量のランドセルが求められているということです。
このメーカーでは、牛革のランドセルの側面などを人工皮革に切り替えることで、100グラム軽くしたり、ベルトを背中にフィットするS字型にすることで重さを分散化させたりする工夫をしているということです。
土屋鞄製造所童具店・中目黒 川越英樹店長
「ランドセルは6年間使う大切なものですので、丈夫なもの、好きな色のものをよく選んで見つけてほしいです」
かばんメーカーでつくる「日本鞄協会ランドセル工業会」では、ランドセルを購入した人たちを対象に毎年アンケート調査を行っています。
去年の調査結果によりますと、購入した時期については、5月から8月にかけてがピークになっているものの、3月から4月に購入している人も増加していて、購入の時期は年々早まる傾向にあるということです。
また購入金額の平均は5万6425円で、前の年よりも1086円上昇しました。
さらに、購入したランドセルの色については、女の子の1位は「紫/薄紫色」で24.1%、次いで「桃色」が21%、「赤色」が17%などと色の好みが多様化しているということです。
一方、男の子の1位は「黒色」で58%、次いで「紺色」が17.6%などと、黒色の人気が圧倒的ですが、年々その割合は低くなっているということです。
「日本鞄協会ランドセル工業会」の林州代会長は、ランドセル商戦が年々、早期化していることや、選び方のポイントについて、次のように指摘しています。
日本鞄協会ランドセル工業会 林州代会長
「少子化を背景に子どもがいちばん気に入ったものを買ってあげたいとこだわりの商品を選ぶ傾向にあることや、製造できる数が限られる中で、人気の製品が売り切れてしまうのを不安に感じていることが背景にあるのではないか。
ランドセルは、値段が安いから悪い、高いからいいというものではないと思います。実際にお店に足を運んで背負ってもらい、焦らずにお子さんにとっての“いちばん”を選んでほしいです」