2023年2月、冷凍食品や調味料、菓子などの価格が相次いで引き上げられます。さらにことし値上げされる食品や飲料は1万2000品目を超えたことが信用調査会社の調査でわかりました。値上げについて現時点でのことし1年の見通しや、2月に値上げが予定されている主な家庭用の食品の詳細をまとめました。
総務省によりますと、2022年12月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が、前の年の12月の100.0から104.1に上昇しました。上昇率は4.0%となり、第2次オイルショックの影響が続いていた1981年12月以来、41年ぶりの水準となります。
主な要因は食料品の相次ぐ値上げで、「生鮮食品を除く食料」は前の年の同じ月より7.4%上昇し、1976年8月以来、46年4か月ぶりの水準です。
2月は冷凍食品や調味料、菓子などの価格が相次いで引き上げられます。値上げが予定されている主な家庭用の食品をまとめました。
値上げ 冷凍食品(2023年2月) | ||
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ニチレイフーズ | 家庭用冷凍食品ほぼ全品 | 6%~20% |
マルハニチロ | 冷凍食品106品 | 2%~17% |
缶詰など56品 | 5%~25% | |
すりみ食品39品 | 4%~22% | |
カップゼリー23品 | 7%~15% | |
ニッスイ | 家庭用冷凍食品84品 | 6%~25% |
味の素冷凍食品 | 家庭用冷凍食品51品 | 6%~16% |
テーブルマーク | 家庭用冷凍食品66品 | 3%~19% |
日清製粉ウェルナ | 家庭用冷凍食品18品 | 8%~9% |
〇「ニチレイフーズ」
2月1日の納品分から家庭用の冷凍食品のほぼ全品を出荷価格でおよそ6%から20%値上げ。
〇「マルハニチロ」
2月1日の納品分から出荷価格で、冷凍食品106品をおよそ2%から17%、缶詰など56品をおよそ5%から25%、すりみ食品39品をおよそ4%から22%、カップゼリー23品をおよそ7%から15%値上げ。
〇「ニッスイ」
2月1日の納品分からちくわの磯辺揚げやちゃんぽんなど家庭用の冷凍食品84品を出荷価格でおよそ6%から25%値上げ。
〇「味の素冷凍食品」
2月1日の納品分から家庭用の冷凍食品51品を出荷価格でおよそ6%から16%値上げ。
〇「テーブルマーク」
2月1日の納品分から家庭用の冷凍食品66品を出荷価格でおよそ3%から19%値上げ。
〇「日清製粉ウェルナ」
2月1日の納品分からカルボナーラなどの家庭用の冷凍食品18品を税抜きの希望小売価格でおよそ8%から9%値上げ。
値上げ 調味料など(2023年2月) | ||
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カゴメ | 食品65品目 | 10.1%~19.6% |
飲料86品目 | 6.7%~12.5% | |
1リットル入り飲料6品目 | 内容量900mlに減 | |
ブルドックソース | 家庭用ソース40品 | 7%~22% |
イカリソース | 家庭用ソース42品 | 7%~23% |
永谷園 | 市販用28品 | 7%~14% |
〇「カゴメ」
2月1日の納品分から出荷価格でトマトケチャップなどの食品65品目を10.1%から19.6%、トマトジュースなどの飲料86品目を6.7%から12.5%値上げ。
2月21日の発売分からトマトジュースなど1リットル入りの飲料6品目を900ミリリットルに減らす実質値上げ。
〇「ブルドックソース」
2月1日の出荷分から家庭用ソース40品を希望小売価格で7%から22%値上げ。
〇「イカリソース」
2月1日の出荷分から家庭用ソース42品を希望小売価格で7%から23%値上げ。
〇「永谷園」
2月1日の納品分から「おとなのふりかけ 本かつお」や「焼豚チャーハンの素」など市販用28品を税抜きの希望小売価格でおよそ7%から14%値上げ。
値上げ 菓子・冷菓・栄養補助食品(2023年2月) | ||
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江崎グリコ | 菓子・冷菓など338品目 | 3%~16% |
7品目 | 内容量10%~14%減 | |
ジャパンフリトレー | 21商品 | 5.5%~20.6% |
大塚製薬 | 菓子・栄養補助食品など55品目 | 8%~26% |
〇「江崎グリコ」
2月1日の出荷分から4月1日の出荷分にかけて順次、「ポッキーチョコレート」や「パピコチョココーヒー」などの菓子や冷菓など338品目を出荷価格で3%から16%値上げ。
「ビスコ」の一部など7品目については、2月7日の出荷分から内容量を10%から14%減らし実質値上げ。
〇「ジャパンフリトレー」
2月6日の発売分から3月6日の発売分にかけて順次、「ドリトス」や「マイクポップコーン」など21商品を出荷価格で5.5%から20.6%値上げ。
〇「大塚製薬」
2月1日の出荷分から「カロリーメイト」や「SOYJOY」などの菓子や栄養補助食品など55品目を希望小売価格でおよそ8%から26%値上げ。
値上げ 飲料・ゼリー・酒類(2023年2月) | ||
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アサヒ飲料 | 「モンスター」ブランド 炭酸飲料 |
12% |
ポッカサッポロフード& |
「キレートレモン」「じっくりコトコト」ブランド |
5%から13% |
ハウスウェルネスフーズ | 「PERFECT VITAMIN」などのブランド ゼリー6品 |
10% |
雪印メグミルク | 飲料・デザート56品 | 3.5%~26.1% |
メルシャン | ワイン480品目 | 2%~12% |
梅酒12品目 | 8% | |
甲類焼酎44品目 | 1%~3% |
〇「アサヒ飲料」
2月1日の出荷分から「モンスター」ブランドの炭酸飲料355ミリリットル缶と345ミリリットル缶を希望小売価格でおよそ12%値上げ。
〇「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」
2月1日の納品分から「キレートレモン」や「じっくりコトコト」ブランドの飲料やスープなど27アイテムを希望小売価格で5%から13%値上げ。
〇「ハウスウェルネスフーズ」
2月1日の納品分から「PERFECT VITAMIN」などのブランドで販売するゼリー6品を税抜きの希望小売価格でおよそ10%値上げ。
〇「雪印メグミルク」
2月1日の出荷分から、「雪印コーヒー」など、飲料とデザートあわせて56品を税抜きの希望小売価格で3.5%から26.1%値上げ。
〇「メルシャン」
2月1日の納品分から出荷価格で、▽国産や輸入などのワインおよそ480品目を2%から12%、梅酒12品目を8%、甲類焼酎44品目を1%から3%値上げ。
「帝国データバンク」は国内の主な食品や飲料メーカー、105社に加えて、今回の調査から非上場のメーカー90社をあわせた195社を対象に2023年1月末時点で値上げの動きをまとめました。
それによりますと、ことし2月、値上げされる食料や飲料は「再値上げ」や価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」を含めて5463品目に上っています。
これは前年10月の7864品目に次ぐ多さとなっていて、信用調査会社は再び値上げラッシュになるとしています。
また、ことし、すでに値上げされたり値上げが予定されたりしている食品や飲料は累計で1万2054品目と前年よりも値上げのペースが加速しています。
ことしの平均の値上げ率は、16%となっていて、原材料価格の高止まりやエネルギー価格の上昇などが値上げの理由となっています。
信用調査会社は菓子などで「実質値上げ」を行う企業が目立っていると分析しています。
ことし値上げされる品目を詳しくみると、冷凍食品などの「加工食品」が6657品目と全体の55%となっているほか、しょうゆやドレッシングなどの「調味料」が2236品目、輸入ワインなどの「酒類・飲料」が1810品目、「菓子」が944品目などとなっています。
「帝国データバンク」
「去年上昇したコストをいまだ十分に価格転嫁できていない企業も多く、当面は値上げの動きが続くとみられる」
NHKは2022年12月から翌1月にかけて、国内の主な企業100社を対象にアンケートを行い、すべての企業から回答を得ました。
この中で自社が提供する製品やサービスについてことし値上げをするのか、聞いたところ、「値上げする予定」と回答したのは43社で4割を超えました。また「値上げを検討中」と答えたのはおよそ2割の22社となっていて、今後も多くの企業で値上げの動きが続くとみられます。
また、「値上げする予定」、「値上げを検討中」と回答した企業にその理由を複数回答で聞いたところ、「原材料価格の上昇を見込んでいるため」が43社、「これまでの価格転嫁が十分ではなかったため」と「エネルギー価格の上昇を見込んでいるため」がいずれも34社でした。
アンケートの自由記述では「エネルギー、原材料の高止まりに加え、物流費などの上昇が見込まれる」、「安定調達・安定生産を実現するためには、外部コストの上昇分について、サプライチェーンで公平に分担することが不可欠」などという声もみられました。