魚介類の消費量は日本国内では減少傾向にありますが、世界的にみると人口の増加や新興国などの経済発展とともに年々拡大しています。水産資源の不足による将来の食料危機への対応が課題となるなか、食品メーカー大手「日本ハム」は大豆などを使った「代替シーフード」を新たに開発しました。開発の狙いや、今後の市場のひろがりなど、情報をまとめました。
魚介類の消費量はFAO=国連食糧農業機関の調査では、2019年までのおよそ50年間で、例えば、中国は1人あたりの年間消費量がおよそ8倍に、インドネシアでもおよそ4倍に拡大しています。
また食肉についても同様に世界での消費量が拡大を続けていて、食料不足だけでなく、家畜の飼育数の増加による環境への影響も懸念されています。
そうしたなか登場したのが植物由来の原材料で作る代替肉や代替シーフードといった「代替たんぱく質」と呼ばれる加工食品です。
こうした中、食品メーカー大手が開発したのが、白身魚をイメージした家庭向けのフィッシュフライと、エビをイメージした業務用のポップコーンシュリンプです。
大豆など植物由来の原材料を使っていますが、1年がかりで独自の製法を開発し、海藻の成分を使って魚の風味を出し、身がほぐれるような食感を再現したといいます。
これまで大豆やこんにゃくなどを使った代替肉のハムやソーセージなどを手がけていますが、シーフードの分野に本格的に参入し、業務用と家庭向けにことし3月から順次販売を始める予定です。
魚介類の消費量は、人口の増加や新興国などの経済発展とともに世界的に拡大が続き、水産資源の不足による将来の食料危機への対応が課題となっています。こうしたなか会社では、今後、さらに開発を進めて課題の解決につなげたいとしています。
日本ハム 前田文男加工事業本部長
「たんぱく質の可能性を広げるための開発で、食材や調理済みの商品としてさまざまな形で普及させていきたい」
民間のシンクタンク*の調査によりますと、2021年の代替たんぱく質の世界の市場規模は、出荷額ベースの推計で4861億円、2030年にはおよそ8倍となる3兆3113億円に拡大すると予測されています。
*出典:矢野経済研究所
「代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)世界市場に関する調査(2022年)」
代替たんぱく質は、企業にとっては食料危機や環境問題など社会的な課題の解決につながるとして国内外で開発が加速し、このうち代替シーフードについては、欧米の企業が先行してきました。
今回、日本の大手食品メーカーが本格的に参入することで国内市場の開拓と将来の海外展開にどこまでつながるか注目されます。