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コロナ“後遺症” インフルと比べたリスクは? せき けん怠感 頭痛

  • 2023年1月17日

新型コロナウイルスに感染した人は、回復したあともさまざまな体調不良に悩む人も多く、「後遺症」と考えられています。新型コロナに感染した人は、インフルエンザと比べ、一定期間経ってからも、せきや呼吸困難、頭痛などで医療機関の受診に至るリスクが高いことが名古屋工業大学などの研究でわかりました。研究内容や専門家の見方などをまとめました。

新型コロナに感染 3年で累積3100万人

2020年5月 東京・渋谷区

新型コロナウイルスは、国内では3年前、2020年1月15日に初めて感染が確認され、3年間で感染した人の数はおよそ3147万人に上っています。このうちオミクロン株が広がった2022年の初めから2023年の1月16日まででおよそ2974万人と、1年余りで3年間のうちのおよそ95%を占めるなど爆発的に増加しています。

また、3年間で亡くなった人の数は6万2963人で、特に2022年12月から2023年1月16日までで1万3319人と、亡くなった人のうちの5人に1人がこの1か月半に集中していることになります。

インフル せきや頭痛で2か月以内に受診は

新型コロナウイルスに感染した人は、インフルエンザに感染した人と比べ、一定期間経ってからもせきや呼吸困難、頭痛などで医療機関の受診に至るリスクが高いことが名古屋工業大学などの研究でわかりました。

名古屋工業大学の平田晃正教授らの研究グループは2019年1月から3月にかけて医療機関を受診したおよそ29万人分のレセプト=診療報酬明細書の記録をもとに、インフルエンザに感染した人と感染していない人で医療機関を受診する人の割合がどの程度異なるか調べました。

その結果、年間の医療費が20万円未満の、重い持病がないとみられる人たちでインフルエンザに感染してから2か月以内にせきや頭痛で受診するリスクは感染していない人に比べて1.8倍程度、けん怠感ではほぼ変わりませんでした。

新型コロナ 後遺症とされる症状で受診は

一方、2022年の初めからの感染拡大の第6波で新型コロナに感染した人と、感染していない人で比較すると、せきで受診するリスクは8.20倍、呼吸困難は7.92倍、味覚や嗅覚の障害は5.97倍、けん怠感は3.64倍、頭痛は2.87倍などと、インフルエンザの場合より高かったということです。
新型コロナはインフルエンザより後遺症とされる症状のリスクが高いとしています。

新型コロナ インフルより“後遺症”リスク高い

名古屋工業大学 平田晃正教授
「第6波のときは感染やワクチンの接種によって免疫を持った人が多くなっていたと考えられるが、それでもインフルエンザに比べて後遺症とされる症状のリスクが高くなっている。新型コロナに感染したあとのリスクについて今後も注意して調べる必要がある」

季節性インフルと同様の対応はできるのか

東北大学の押谷仁教授や京都大学の西浦博教授など専門家4人は、2022年12月14日に開かれた厚生労働省の専門家会合に「新型コロナウイルスの特徴と、中長期のリスクの考え方」と出した文書を示しました。文書では、新型コロナのリスク評価について、現時点では、インフルエンザと同等と判断できる条件を現時点で満たしていないと結論づけています。

また、厚生労働省の専門家会合のメンバーらは、新型コロナの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「5類」などに見直した場合、どのような影響が出るかについて見解をまとめ、2023年1月11日の会合で示しました。
このなかでは、現在の新型コロナについて感染者が死亡する割合は徐々に低下しているものの、オミクロン株になって感染が広がりやすくなり死亡者数が極めて多くなるなど「季節性インフルエンザと同様の対応が可能な病気になるにはもうしばらく時間がかかる」と評価しています。

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