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  • 2022年12月9日

ドローン レベル4 安全どう確保?AIで人を避ける飛行実験の詳細は

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ドローンは「レベル4」の飛行が解禁されました。市街地など人がいる上空を目視できない範囲を飛行する最も高度な飛行で、安全確保にAI分析を使う実験が行われました。操縦者は目視できませんが、ドローンみずからが人のいる場所を避けて飛行するということです。
拡大するドローンの活用や安全確保の動きをまとめました。

レベル4解禁 ドローンで2023年度から郵便配達

操縦者が目視できない住宅地の上空などを飛行する「レベル4」が解禁されたことを受け、日本郵便はドローンを使った郵便配達を2023年度から本格的に始める方針を明らかにしました。

日本郵便が公開した新たに開発中のドローンは大きさが1メートル50センチほどの機体です。手紙やはがきなどの郵便物と宅配の荷物を重さ5キロまで運ぶことができ、およそ35キロの距離を1度に飛ぶことができるとしています。
配達員などの人手が不足している山間部や離島から導入する計画です。

レベル4 機体認証制度・操縦ライセンス制度が新設

これまでドローンは、機体を目視できる範囲の飛行、「レベル1」と「レベル2」、人がいない場所に限って目視できない範囲を飛行できる「レベル3」までが認められ、農業やインフラ点検、山間地や離島での物流などで急速に普及が進んできました。

さらに、改正航空法が施行され、人がいる上空を目視できない範囲で飛行させる「レベル4」という最も高度な飛行が可能となりました。

これに伴い、機体の安全性を検査する「機体認証制度」と、実地試験と学科試験が課される「操縦ライセンス制度」が新たに設けられ、「レベル4」の場合、これらが飛行の条件として求められます。

飛行実験 カメラやAI分析装置搭載で人を避ける

操縦者が目視できない上に、地上に人がいる上空をドローンが飛行するという状況でどう安全を確保するか。東京大学などの研究グループがさいたま市のグラウンドで実験を行いました。

実験では、カメラやAI分析の装置を搭載した開発中のドローンを、地上に人が点在する状況で飛行させました。AI分析によりドローンみずから人がいる場所を避けて飛行する仕組みです。

今回のドローンは、高度や速度から墜落した場合の落下地点を常に計算しながら飛行するようになっていて、実験では落下予測地点に人がいるとAIが検出すると、回避ルートをみずから作成して目的地に向かっていました。 

到着後は、地上に人がいなくなるまでホバリング状態で待ってから着陸していたほか、飛行中のトラブルを想定した実験でも、設定されたエリア内で人のいない地点を選び出し緊急着陸していました。研究グループでは今回の技術が実用化すれば安全性の向上につながるとしています。

実験を行った東京大学の土屋武司教授は、「ドローンは今後、大きな市場が広がると見込まれている一方、まだ発展途上の技術なので安全性を高める開発を進め、普及を下支えしていきたい」と話していました。

安全性の確保 操縦者養成スクール設置の動き

ドローンの高度な飛行、「レベル4」が解禁で安全性を確保しながら物流などの専門的な業務を担う人材の育成が課題になると見込まれていて、操縦者を養成するスクールを設ける動きが出ています。

携帯電話の基地局の点検などでドローンを活用してきたKDDIは、操縦者養成のスクールを新たに設けることにしています。2023年1月に栃木県小山市と千葉県君津市に開く予定のスクールでは、国家資格の取得に必要なコースに加えて、物流や撮影、点検といった専門領域ごとのコースを用意し、実践的な技能も学ぶということです。

国土交通省によりますと、操縦者を養成するスクールは全国およそ1400か所にのぼり、国家資格ができたことで、操縦技能の向上や安全性の確保などが期待されています。

操縦者と企業や自治体を引き合わせるサイトも

また、ドローンの活用が拡大し、高度な操縦ができる人材のニーズが高まるとみて、楽天グループでは、企業や自治体と引き合わせるマッチングサイトを開始しました。
サイトには、操縦者は自身が持っている資格や所有しているドローンなどの情報に加え、空撮や測量など対応できる専門分野を掲載できます。
企業や自治体などはこうした人材に直接、仕事を依頼することができるほか、ドローンを飛ばす日時や業務内容、それに報酬金額などを登録して操縦する人を募集することもできるということです。

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