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  • 2022年12月6日

ふるさと納税 手軽にできる自販機の設置相次ぐ その理由は?

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12月末で2022年度分の申し込み期限を迎える「ふるさと納税」。
この「ふるさと納税」は、応援したい自治体などに個人が寄付をすると、所得税などの一部が控除される制度で、昨年度、全国の自治体に寄付された額は8302億円あまりとこれまでで最も多くなっています。
最近では、気軽に利用してもらおうと、「自動販売機」も登場しています。

自販機での「ふるさと納税」…返礼品 “すぐに使える”

神奈川県相模原市は、去年8月から市内にある遊園地やキャンプ場などを備えたレジャー施設にふるさと納税ができる自動販売機を設置しました。

自動販売機は市外の客が多く訪れるキャンプ場の受付に設置され、利用者は1万円から10万円までの範囲で選んで寄付をすると税の控除に必要な書類が後日、郵送で届きます。

寄付の返礼品として3割にあたる金額分のクーポン券を受け取り、施設内の利用料などとしてすぐに使える仕組みになっています。

市によりますと、昨年度はこの自動販売機を通じて143万円の寄付が集まったということです。

キャンプ場に来た都内の30代男性
「これまでにふるさと納税をしたことはないが、施設をよく利用するので、お世話になっている場所に寄付をしてみようかなと思いました」

相模原市観光・シティプロモーション課 草薙格課長
「市の魅力を知ってもらうとともに、都市部ではふるさと納税が集まりにくいことからこの自動販売機を設置しました。まだ、知らない人も多いのでもっとPRしたい」

ゴルフ場の返礼品は…

こうした動きは、各地でも広がっています。

ふるさと納税の自販機設置のゴルフ場

ことしに入って茨城県常総市は、ゴルフ場に設置しました。
こちらで寄付できる金額は、1万円から50万円までです。
返礼品は、寄付した金額の3割相当のゴルフの利用券で、プレー代金や施設内での食事代として利用できるということです。

常総市 神達岳志 市長
「その場でふるさと納税していただいて返礼品もその日に使えるというのは、本来のふるさと納税の意味にも、ふるさと納税してもらった人にとっても、常総市にとっても『三方よし』になる」

ふるさと納税…都市部 “財源流出か”

一方で、ふるさと納税は豪華な返礼品などを用意した自治体に寄付が集まり、都市部では財源が流出することへの懸念も示されています。

東京23区の特別区長会は、ことし10月、「貴重な財源が一方的に奪われていて、制度の抜本的な見直しが必要だ」などとする主張をとりまとめています。

ふるさと納税で、ほかの自治体に寄付をした住民が多いため、令和4年度の住民税の税収が減る見通しの自治体を、減収額が多い順にまとめました。

1位  横浜市 230億900万円
2位 名古屋市 143億1500万円
3位 大阪市 123億5900万円
4位 川崎市 102億9100万円
5位 東京・世田谷区 83億9600万円
6位 さいたま市 73億9100万円
7位 神戸市 70億円
8位 札幌市 66億3900万円
9位 京都市 64億4300万円
10位 福岡市 62億5500万円
11位 東京・港区 61億2900万円
12位 千葉市 46億4700万円
13位 東京・大田区 42億3100万円
14位 広島市 41億9100万円
15位 東京・杉並区 40億9100万円
16位 東京・江東区 40億5100万円
17位 東京・品川区 39億4800万円
18位 仙台市 37億3800万円
19位 東京・練馬区 36億5300万円
20位 東京・渋谷区 36億300万円

東京23区の区が8つ入っています。
それ以外はいずれも政令指定都市で、人口が多い都市部から地方への税の流出が進む傾向が続いています。

ふるさと納税の自販機…国の見解は?

広がりをみせる「ふるさと納税の自動販売機」。

ふるさと納税を所管する総務省
「返礼品が地場産品の基準に適合していれば、自動販売機など提供の方法自体は特に問題にならない」

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