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ドローン 操縦ライセンス制度とは?レベル4で高度な飛行可能に

  • 2022年11月21日

急速に普及が進む無人航空機「ドローン」について、12月には、人がいる場所で目視できない範囲を飛行させる「レベル4」という高度な飛行が解禁されます。
人の上空を飛ぶようになることから、より厳格に安全性を担保するため「機体認証制度」と「操縦ライセンス制度」が新たに設けられます。
ライセンス制度の内容や、ドローンの活用がどう変わっていくのか、まとめました。

レベル4の飛行とは?

ドローンをめぐっては、12月5日に改正航空法が施行され、「レベル4」と呼ばれるより高度な飛行が可能になります。

ドローンの飛行は、現在の「レベル3」までは機体を目視できる範囲か、山沿いや河川の上空など人がいない場所を飛行する場合に限定されていますが、「レベル4」からは、人がいる上空で、目視できない範囲を飛行できるようになります。

国は「レベル4」飛行が実現するのは早くても年度末とみていますが、市街地での物流や警備など活用の大幅な拡大が期待されています。

操縦ライセンス制度とは?

一方、人の上空を飛ぶようになることから、より厳格に安全性を担保するため「機体認証制度」と「操縦ライセンス制度」が新たに設けられ、「レベル4」の場合、これらが飛行の条件として求められます。

機体認証制度
メーカーが機体を開発する際、故障した場合でも、落下したり想定していた飛行範囲を逸脱したりしないように設計されているかなど、検査を受ける必要があります。

操縦ライセンス制度
実地試験と学科試験などに合格する必要があり、試験の申し込みは12月5日からライセンスの種類に応じて段階的に開始されます。
この際、国に登録されたドローンスクールでの講習を修了していれば、実地試験は免除されます。

このほか、事故の際などに所有者を特定できないケースが相次いだことから、ことし6月からは所有者などの登録を義務づける制度が始まっていて、12月5日からは、事故があった際の国への報告も義務化され、違反した場合は罰則が科されるようになります。

人命救助目指す実験も

新たな活用を目指す動きが各地で相次ぐ中、AIも駆使してドローンで迅速な人命救助を目指す実験が行われました。

ドローンの高度な活用を目指して開発を進めている東京大学や研究所などは、福島県にあるドローンの実証拠点の市街地を模したスペースで、ビル火災が起きた想定で新たな実験を行いました。

現状では、消防などが現場に到着してから1人1機を操縦することが想定されていますが、今回の実験では、複数台のドローンがみずからルートを決めて先行して現場に向かい、隊員が到着前に状況を把握できるかを試しました。

消防本部をイメージした屋内の拠点には、現場のビル上空に到着した3機のドローンから全方位カメラの映像が送られ、VRゴーグルを着けた研究員が状況を確認していました。

また、AI技術によって、煙が出ているかや手を振る動作から救助を求めている人が何人いるか検出したり、機体に搭載されたレーザー光で測定する装置で、煙幕の中でも死角の少ない3次元の地図を作成したりしていました。

産業技術総合研究所 神村明哉研究チーム長
「今回の技術なら1人で多くの機体を操縦し、みんなに情報を共有できるうえ、到着後に探していた火元の位置や救助が必要な人をあらかじめ把握することが可能になります。消防が到着するまでの5分10分が重要だと聞いているので、非常に有用な技術だと考えています」

災害時の情報収集や避難呼びかけにも

災害時の情報収集の手段としてもドローンの活用が始まっています。
総務省消防庁によりますと全国723の消防本部のおよそ6割が導入し、静岡県熱海市の土石流災害では捜索の際に活用されました。
また、仙台市では10月から津波警報などが出た際に、風速や雨量を計測して可能と判断すればドローンが自動で離陸し、海岸で避難を呼びかける新たなシステムを運用しています。

海外でもドローン活用

一方、海外では、アフリカのインフラ整備が遅れている地域に輸血用の血液などを運ぶためにドローンが活用されているほか、IT大手、アマゾンはドローンを使った配達サービスをアメリカの一部の地域で年内に開始するとしています。

レベル4解禁 専門家は

ドローンに詳しい東京大学 土屋武司教授
「『レベル4』飛行が解禁ということになると、我々が生活している街の中にドローンが入ってきます。生活に溶け込み、空を見上げると日常的にドローンが飛んでいるような社会が、あと10年すれば実現するのではないかと考えています。
ドローンはまだ始まって20年くらいの、まだまだ日進月歩の新しい技術なので、墜落や不具合のリスクがないわけではない。リスクを正しく評価して、それを上回る社会にとっての利益につながる現場で、徐々に私たちの生活に取り入れていくことが重要だと思います」

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