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オミクロン株 BQ.1系統・XBBとは 新たな変異ウイルスで第8波は

  • 2022年11月7日

「BQ.1」に「BQ.1.1」、それに「XBB」、オミクロン株の新たな変異ウイルスが報告されてきています。都内では10月の段階では「BA.5」が圧倒的に多い状況ですが、新たな変異ウイルスは次の感染拡大に影響するのでしょうか。「BA.5」と比較した感染力や重症度など、わかってきたことをまとめました。

「BA.5」主流の第7波 東京都内の感染者数や死亡率は

東京都は2022年9月末までの3か月間を新型コロナの第7波とみて、この期間の感染状況などを分析しました。
それによりますと新規感染者は147万9005人でこれまでの感染の波と比べ最も多かったということです。また、感染して亡くなった人は1342人でした。死亡率は0.09%で、これは感染者の数が多かった第3波の1.54%、第5波の0.41%、第6波の0.14%と比べて低い水準となっています。

「BA.5」割合は減少傾向に

国内でこの夏猛威を振るった第7波の感染拡大を引き起こしたのは、オミクロン株の「BA.5」でした。東京都が示した10月27日正午時点のデータでは、東京都内では10月の「BA.5」の割合は94.3%となりました。圧倒的に多い状況自体は変わりませんが、8月は98%、9月は98.5%だったので減少傾向にあります。

一方、新たな変異ウイルスも検出されています。「BA.5」の次に多いのは「BA.2」が変異を重ねた「BA.2.75」、「BA.5」から派生した「BF.7」で、いずれも1%台でした。
また、「XBB」は東京都で9月に1件、10月に5件報告されているほか、鹿児島県などでも報告されました。「BQ.1.1」も11月に入って栃木県などで報告されています。

「BA.5」世界でも割合減少 新しい変異ウイルスが

「BA.5」は、いまでも世界中で最も多い状態が続いていますが、徐々に割合が減少してきています。

特にアメリカでは、CDC=疾病対策センターによりますと、「BA.5」は、8月20日までの1週間では86.5%だったのが、10月29日までの1週間では49.6%と半数を下回りました。
それと入れ代わるように各国で増えているのが、いずれもオミクロン株の1種でさらに変異が加わっている、「BQ.1」と「BQ.1.1」、「XBB」です。

アメリカでは10月29日までの1週間で、「BQ.1」が14%、「BQ.1.1」が13.1%、「BA.4」から派生した「BA.4.6」が9.6%、「BF.7」が7.5%などとなっています。

徐々に増えてきた「BQ.1」は、「BA.5」にさらに変異が加わっています。また、この「BQ.1」に、さらにスパイクたんぱく質の変異が加わったのが「BQ.1.1」です。

「BQ.1」「BQ.1.1」10月上旬段階で65か国から報告

WHOによりますと、「BQ.1」や「BQ.1.1」は10月上旬の段階で65か国から報告されています。

〇感染力や重症度は
WHOの専門家グループは、これまでのオミクロン株と比べて、感染者に占める割合が増える傾向にあり、免疫から逃れる能力が高い可能性がある一方、実際に、感染した場合の重症化リスクが高まったり、免疫逃避が起きたりしたことを示すデータはないとしています。

〇再感染リスクは
また、一般的にウイルスが免疫から逃れる能力が高いと、ワクチン接種後の感染や、再感染のリスクが高くなりますが、現時点ではさらなる調査が必要だとしています。

〇ワクチンの効果は
WHOは、従来型のワクチンやオミクロン株に対応した成分を含むワクチンで、感染を防ぐ効果は下がる可能性があるものの、重症化を防ぐ効果に大きな影響はないと見られるとしています。

「XBB」10月下旬段階で35か国から報告

シンガポールやインドなどで増えている「XBB」は、「BA.2」から派生した変異ウイルスが組み合わさった「組み換え体」と呼ばれるタイプのウイルスです。WHOによりますと、10月下旬の段階で35か国から報告されています。

〇感染力や重症度は
WHOの専門家グループは「XBB」について、感染力の高さが指摘されているものの、これまでのオミクロン株に比べて免疫から逃れる能力や重症化率が高いとは言えないとしています。

〇再感染リスクは
また、再感染も、オミクロン株より前の新型コロナウイルスに感染した人に限られ、これまでのオミクロン株によって得られた免疫を逃れるとする証拠はないとしています。

〇ワクチンの効果は
一方、ワクチンが効くのかどうかについて、中国・北京大学のグループは第三者の査読を受ける前の論文で、ワクチンによってできる中和抗体の効果についての実験結果を公開しています。
中国製のワクチンを3回接種したあと、「BA.5」に感染した人の血液を使って人工的に作った「XBB」の特徴を再現したウイルスに対して中和抗体の効果があるか実験すると、中和抗体の値は「BA.5」に対しての場合と比べて18分の1以下、「BA.2」と比べて27分の1になっていたということです。ほかの条件でも効果は大きく下がっていたとしています。

国立感染症研究所 “引き続き監視を続ける”

国立感染症研究所は、「XBB」や「BQ.1.1」が重症化につながっている証拠はないとしつつも、免疫を逃避する能力があると指摘する研究もあるとして、引き続き監視を続ける考えを示しています。

国内では1週間平均の感染者数が10月11日のおよそ2万6000人となったあと、徐々に増加し、11月3日の時点では、およそ5万人となっていて、専門家からは、第8波の入り口に入りつつあるという指摘も出ています。

新たな変異ウイルス 第8波につながるのか?

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授に、感染の状況やこれらの変異ウイルスなどについて聞きました。

〇感染者増加
いま感染者数が増えているのは、「第7波」で主流だった「BA.5」が完全には消えなかったところに、10月に入ってさまざまな緩和が進み、「残り火」から再燃している状態だと考えられる。この場合、マスクの着用といった予防対策を取れば、抑え込むことはできるだろう。

〇BQ.1で状況は
ただ、「BQ.1」系統が入り込んでくると、「BA.5」よりも免疫を回避しやすいとされ、感染やワクチン接種をしていても再感染しやすいので、冬に流行すると感染者数が増える可能性がある。

〇ワクチンの効果
いまはオミクロン株対応のワクチンを接種できるので、接種してほしい。「BA.5」も「BQ.1」も「XBB」もいずれもオミクロン株なので、オミクロン株対応のワクチンを接種することで、予防効果が期待できるし、この冬の健康被害を減らすことにつながると思う。

〇変異ウイルスのポイント
今後、どれが主流になるのか、いまの段階では見通せないが、登場しているさまざまな変異ウイルスはヒトの細胞と結びつく力はこれまでと変わらない一方で、ヒトの免疫から逃れる力が強くなっているようだ。大切なのは、免疫から逃避するのかどうか、感染力が強いかどうか、病原性が高いかどうかといった点で、新しい変異ウイルスが検出されたとしても冷静にみていく必要がある。

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