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健康保険証 2024年秋に廃止 一体化マイナカード できることを詳しく

  • 2022年10月14日

2024年の秋に、現在使われている健康保険証を廃止してマイナンバーカードへ一体化した形に切り替えると政府が発表しました。医療の分野では一体化したカードではどんなことができるのでしょうか。このほかカードに予定されている機能や期待される効果、マイナポイントなど普及のための取り組みや課題など、情報をまとめました。

健康保険証 マイナンバーカードと一体化 何ができる?

政府は、現在使われている健康保険証を2024年の秋に廃止し、マイナンバーカードへ一体化した形に切り替えると発表しました。

マイナンバーカードを保険証として登録すると、マイナンバー制度の専用サイト「マイナポータル」で、これまでの特定健診の結果や処方された薬の情報、医療費が見られるようになります。
また、確定申告の医療費控除の手続きも、マイナポータルを通じて自動入力できるようになります。

一方、医療機関なども、患者の同意を得られれば、特定健診の結果や過去の診療情報などが見られるようになり、厚生労働省は、質の高い医療の提供につながるとしています。

廃止までにカード登録やシステムの導入を

日本は「国民皆保険制度」を取っています。受診などの際に健康保険証を示すことで、医療費の多くが健康保険や国民健康保険などで賄われ、一部を負担するだけですむ仕組みです。

政府の方針では、2024年秋に今の保険証を廃止するとしていますので、それまでに、すべての人がマイナンバーカードを取得し、保険証として利用できるよう登録する必要があります。
また、独り暮らしの高齢者など取得の申請を行うのが難しい人や、どうしても取得したくないという人などへの対応も検討する必要があります。

一方、医療機関などの体制をどう整えていくのかも課題です。厚生労働省は医療機関などに対し、原則として、来年度からマイナンバーカードを保険証として利用できるシステムの導入を義務づけています。
しかし、10月2日時点で、システムの運用を始めている医療機関や薬局は33.5%にとどまっています。厚生労働省は、導入にかかる費用への補助額を増やすなどして整備を促していくとしています。

マイナカード “デジタル社会を構築する基盤”

政府はマイナンバーカードを、デジタル社会を構築するための基盤と位置づけ、「ほぼ全国民に行き渡ること」を目標としています。

国民の側には、カードによって、税金の確定申告や、保育所の入所申請、児童手当などの手続きが、オンラインで行えるなど、行政手続きの利便性が高まるとしています。

一方で、行政側にとっても、迅速で正確な本人確認によって、ミスやなりすましを防止できるほか、事務処理の効率化やコストの削減などの効果が期待できるとしています。

ポイント還元に加えて申請支援も

総務省によりますと、マイナンバーカードの申請枚数は10月11日の時点で、7072万枚余り、全国民に占める申請率は56.2%となっています。

政府は2023年3月末までに、ほぼすべての国民に行き渡ることを目標としていて、普及に向けて、さまざまな取り組みを行っています。

〇マイナポイント
ことし6月からは、最大で2万円分のポイント還元を受けられる「マイナポイント第2弾」を始めています。
カードの取得に伴って最大5000円分、健康保険証としての登録や国からの給付金を受け取る「公金受取口座」の登録でそれぞれ7500円分ずつ、ポイント還元が受けられます。

〇申請支援で企業に出張窓口
自治体の職員が、企業に出向き、カードの申請を行うための「出張窓口」を設ける取り組みも行われています。
「出張窓口」を利用すれば昼休みなどにカードの申請や写真撮影ができ、カードも郵送で送られてきます。

〇携帯電話ショップでもサポート
携帯電話の販売店で、カードの申請をサポートするサービスも行われています。携帯大手3社の販売店、あわせておよそ8000店舗で、店員がスマートフォン上で申請画面を表示させ、入力を一緒に進めてくれるほか、顔写真撮影など申請に必要な作業をサポートしています。

利便性UP 運転免許証も一体化 スマホで行政手続き

〇引っ越し手続き
カードの利便性を高めるための検討も進めています。2023年2月からは引っ越しに伴う転出の手続きを、市区町村の窓口に出向かずに、オンラインでできるようになります。

〇運転免許証の一体化
運転免許証のマイナンバーカードの一体化も計画されています。河野大臣は、運転免許証とマイナンバーカードの一体化の時期について、当初予定していた2024年度末から前倒しする方針も示しました。

〇行政手続き
また、基本ソフトの「アンドロイド」を使う一部のスマートフォンで、2023年5月からマイナンバーカードの機能を搭載し、オンラインで行政手続きが可能になるほか、民間事業者がマイナンバーカードで本人確認をする際に国に支払っている電子証明書の利用料を3年間、無料にすることを明らかにしました。

個人情報の管理や手続きの煩雑さが…

デジタル庁はことし1月から2月にかけて、2万人を対象にインターネットでマイナンバーカードの取得状況について調査を行いました。
この中で、カードを取得していない人に、取得しない理由を複数回答で尋ねたところ、「情報流出が怖いから」が35.2%と最も多くなりました。次いで、「申請方法が面倒だから」が31.4%、「カードにメリットを感じないから」が31.3%などとなりました。

〇取得しない理由(複数回答)
「情報流出が怖い」 35.2%(最多)
「申請方法が面倒」 31.4%
「メリット感じない」31.3%

政府が、カードの安全性やメリットについて国民の理解を取り付けられるかどうかが、カード普及のカギを握っているといえそうです。

寺田総務大臣
「マイナンバーカードは非常に安全なものだ。ナンバーが仮に他人に知られたとしても個人情報が流出することは一切ない。また、ICチップには、税や年金、医療情報などの個人情報は一切記録されていない。万が一悪用された場合にはただちにチップが使えなくなる仕組みになっており、個人情報保護に十分配慮したものだという点をしっかりとPRしたい」

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