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自転車の交通違反 警告ケースも赤切符に 取り締まり強化の内容は

  • 2022年10月18日

東京都内の交通事故で、自転車が関係する事故の占める割合は年々増加傾向となっています。自転車の悪質な交通違反について警視庁は、これまで「警告」にとどめていた違反にも刑事罰の対象となる交通切符、いわゆる「赤切符」を交付して検挙する方針を固めました。自動車と自転車の交通違反に関わる制度の違いや強化する取り締まりの具体的な内容などをまとめました。

自転車の交通違反をどう見ている?

近年の自転車の人気や交通違反の現状について都内で聞きました。港区のオフィス街では、早朝にスーツ姿で自転車に乗る人の姿が多く見られ、新型コロナの感染リスクを避けるために自転車で通勤するようになったなどといった声も聞かれました。

その一方で、自転車の交通違反が相次いでいます。JR上野駅前では、赤信号を無視して進んだり、歩道をスピードを出して走ったりしている自転車が複数見られました。

82歳男性

2か月余り前に歩道を歩いていたところ、後ろから自転車に衝突されて転倒してしまい、左腕と頭を強く打ちました。今でもその事故が原因で定期的に病院に通っています。

40代男性

歩道は、本来、歩行者が優先だと思いますが、ベビーカーを押しているとすぐにはよけることができないので、こちらが道の脇に移動するようにしています。

都内の交通事故 自転車が関係する割合が増加

警視庁によりますと、東京都内の交通事故の発生件数は過去20年余り減少傾向で、は2万7000件余りと、5年前と比べておよそ4800件少なくなっています。
その一方で、自転車が関係する事故は高止まりが続いていて、去年は1万2000件余りと5年前より1600件余り増加しました。全体に占める割合は増え続け、去年は全体の43.6%を占めました。

時速20キロの自転車が歩行者に衝突すると

JAF=日本自動車連盟が行った自転車と歩行者の事故を想定した実験の映像からは、歩行者が頭などに強い衝撃を受けることが分かります。

実験は歩行者に見立てた人形に時速20キロの速さの自転車を正面から衝突させて行われ、衝突の反動で人形は押し出されて腰から地面に倒れ、その後、頭を強く打っていました。

JAF東京支部 由水雅也さん
「歩行者は通常ヘルメットを着用していないので、自転車に衝突された場合、頭部に致命傷を負ってしまう可能性が高く、命に関わる重大な事故につながりかねない。自転車による事故の場合、その多くが交差点などでの出会いがしらの衝突なので、信号や一時停止など基本的な交通ルールを守ることで事故は減らすことができる」

自動車と自転車の違反 制度の違い

〇自動車の場合
自動車の場合、悪質な違反には交通切符、いわゆる「赤切符」が交付されますが、比較的軽微な違反では、「交通反則通告制度」に基づいていわゆる「青切符」が交付され、期限内に反則金を納付することになります。

〇自転車の場合
自転車の場合も悪質な違反には「赤切符」が交付され、検察庁に送られることになり、都内では去年1年間に4300件余りが検挙されています。 ただ、自転車には自動車のような反則金の制度はありません。多くは罰則を伴わない専用のカードを使った「警告」を行っているのが現状で、去年はおよそ33万件にのぼっています。

これまで警告のケースも“赤切符” 

警視庁はこれまでも自転車の違反には、罰則を伴わない専用のカードを使って「警告」をし、特に悪質な違反には刑事罰の対象となる交通切符、いわゆる「赤切符」を交付してきました。
しかし、依然として事故が相次いでいることから10月下旬にも取り締まりを強化する方針を固めました。

具体的には、信号無視や一時不停止、右側通行、それに、徐行せずに歩道を通行の4項目のうち悪質な違反については、これまで「警告」にとどめていたケースでも今後は交通切符を交付して検挙するということです。

交通切符を交付されると検察庁に送られて刑事罰の対象として扱われるうえ、一定の期間内に繰り返し検挙された場合は、講習の受講が義務づけられています。警視庁はこうした対策を通して自転車の適切な利用を促したい考えです。

日本自転車普及協会 森下昌市郎さん
「自転車は法律上『車両』にあたるが、免許は必要ないため、交通ルールをしっかりと学ぶ機会が少なく、特に都市部では左側通行などの基本的なルールを守っていない人が少なくない。自転車は事故が起きれば命に関わる危険性もあるので、利用する際は、自転車が車の仲間だという意識で交通ルールをしっかり守ってほしい」

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