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東京・葛飾柴又のラムネ職人 ガラス瓶にこめる思いとは?

  • 2022年10月3日

俳優・渥美清さんが寅さんを演じる、映画「男はつらいよ」の舞台としても知られている東京・葛飾区、柴又には、昭和の香りが残る商店街があります。そんな商店街には、瓶がすべてガラスでできた昔ながらのラムネを作る86歳の職人がいます。ガラス瓶にこめる思いをみつめました。

柴又のラムネ “瓶はすべてガラス”

俳優・渥美清さんが寅さんを演じる映画「男はつらいよ」の舞台、葛飾・柴又。ここで売られているのは、瓶がすべてガラスでできた昔ながらのラムネです。飲む際に瓶を傾けると、なかでビー玉が踊り、「カランコロン」と涼しげな音がしました。

そんな昔ながらのラムネは、地元の老舗だんご店で40年以上も販売されています。
甘さ控えめのあんこがのった上品なだんごはもちろん、ラムネも人気商品となっています。

老舗だんご店 石川雅子さん
「シャキッとした感じの、さっぱりとしたラムネです。ラムネを飲んでもらうとこの柴又の門前の町並みと合っているのではないかと思います」

NHK首都圏 小原茉佑子

今回、取材した私、小原茉佑子も飲んでみました。
甘さが控えめで飲み口も冷えていて、とてもおいしかったです。

オールガラス瓶 そのこだわりは?

ラムネを製造・販売している大越恒男さん、86歳です。今からおよそ70年前、深川のラムネ屋に弟子入りし、10年ほど修行を積んだ後、柴又で独立しました。当時は、「炭酸飲料といえばラムネ」。生産に追われる日々だったといいます。

ラムネ製造・販売 大越恒男さん
「昼間、瓶を洗っておいて夜詰めた。そのころは忙しくてね、毎日毎晩やっていた」

すべてガラスできたラムネの瓶を作っているのは、都内で大越さんだけだといいます。
いまは、プラスチック製の飲み口が主流ですが、大越さんは、飲み応えのよいガラスの瓶にこだわり続けてきました。

大越恒男さん
「これがほんとのラムネだよって昔からあるからと、お客さんがそう言ってくれると嬉しいわけです」

こうした瓶は、すでに国内で生産を終えていて、大越さんは、回収できるように配達先を絞って大切に使い続けています。味はほどよい酸味で甘さ控えめです。大越さんは、季節ごとに配合を変え、こだわり抜いています。

若い世代からも支持を得る

大越さんのラムネは、商店街の若い世代にも支持されています。

もんじゃ店 増田斗夢さん
「昔からのラムネの瓶だったので取り扱いたいなと思い、仕入れることにしました。懐かしいと言う人もなかにはいます」

大越さん腰患うも・・・ 

しかし、ラムネの売り上げはコロナ禍で、3分の1ほどに減少しています。さらに、大越さん自身が腰をわずらい、自分の足で配達することもできなくなりました。そんな中でも、1日も早く、自分で配達できるよう、日々、リハビリに励んでいます。

大越恒男さん
「早くコロナが収まって盆踊りとかお祭りがあると活気がでてくるなと思います。オールガラス瓶が無くなるまでラムネをつめるのを頑張っていきたいです」

大越さんによりますと、全部ガラスでできたラムネの瓶は、手もとに600本しか残っていないからリサイクルして大切に使っているということです。大越さんへの取材は、夏の暑い時期からお邪魔していましたが、その度にラムネを出していただいていました。不思議と懐かしさを感じる味でした。大越さんは、「これからも柴又の商店街の仲間たちが求め続けてくれる限り、作り続けたい」と笑顔で話していました。

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