JR東日本は、「オフピーク定期券」を2023年3月18日から販売します。 朝のラッシュ時を避けると割安になる定期券です。 通常定期券と比べた料金のほか、路線・時間帯など設定される条件はどんな内容なのでしょうか。 JR東日本の「オフピーク定期券」について経緯やポイントを詳しくまとめました。
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【具体例】JR東日本オフピーク定期券 料金・時間帯など詳しく
時間帯や曜日によって変動させる運賃は、「ダイナミックプライシング」と呼ばれています。
鉄道の場合は、都市部の同じ区間でも、通勤時間帯の運賃を高く、それ以外の時間帯を安くすれば、混雑の緩和や、テレワークなど多様な働き方を加速させる効果が期待されます。
鉄道会社にとっても、ピーク時の需要に対応するために保有してきた車両を減らせるなど、コストを削減できるメリットがある一方で、通勤時間帯の変更やテレワークが難しい企業や利用者にとっては、運賃の負担が増えるおそれもあります。
JR東日本の「オフピーク定期券」は、 混雑を緩和するため平日朝のラッシュ時を避けると割安になります。 申請に対し国は12月27日、2026年3月末までの期限付きで認可しました。
販売開始は2023年3月18日です。 平日朝のラッシュ時、1時間半の時間帯が利用できない代わりに、通常の定期券より10%程度、値下げします。 販売されるのは通勤定期券のみです。
また3月18日から通常の定期券は、今の定期券よりも1.4%ほど値上げされます。 いずれの定期券もこれとは別に、駅構内などのバリアフリーを進めるための費用が上乗せされます。
〇対象
この定期券の対象は、山手線や京浜東北線、中央線など東京、埼玉、千葉、神奈川、それに茨城の一部の駅を通る16路線の279駅です。
〇値段
具体的な値段をみますと、総武快速線の千葉駅から東京駅の間の3か月の通勤定期券は、オフピーク定期券が5万630円、通常の定期券は、5万6940円となります。
また、山手線の上野駅から品川駅の間の3か月の通勤定期券は、オフピークが1万6000円、通常が1万7920円となります。
〇時間帯
ピーク時間帯は駅ごとの入場時間で設定されています。 例えば、大宮駅は午前6時45分から8時15分、東京駅や新宿駅、それに品川駅は午前7時半から9時となっています。
JR東日本 市川東太郎副社長(12月27日)
「様々な媒体で周知を図り、経済団体や企業にも説明をしていく。混雑の緩和によって、ピーク時間帯にしか利用できない方も楽に通勤ができるようになるのではないか」
今回の「オフピーク定期券」をめぐっては、国土交通省の審議会は12月15日、斉藤国土交通大臣に「認可が適当」とする答申を示しました。
ただし、導入にあたっては、増収とならないことが前提で、混雑を緩和する効果があるか、一定の期限に区切って、検証すべきだとしました。
また、勤務先などの事情でオフピーク定期券を購入できない利用客からも理解が得られるよう、制度の趣旨を丁寧に説明することや、朝のラッシュ時の時間帯に利用すると、通常の料金がかかるというデメリットも含めて周知する必要があるとしました。
国は去年5月、鉄道運賃に「ダイナミックプライシング」の導入を検討するとした基本計画を閣議決定しています。
国土交通省は7月26日、鉄道の運賃制度のあり方を考える有識者委員会で、時間帯や曜日によって運賃を変動させる仕組みの導入を検討していくことなども盛り込んだ中間報告を示し、おおむね了承されました。
国土交通省は中間報告を踏まえ、今後、新たな運賃体系の導入に向け、具体的な検討を進めることにしています。