ページの本文へ

  1. 首都圏ナビ
  2. ちばWEB特集
  3. 移住者がビル丸ごと一棟買い!そして生まれた街のにぎわい 千葉 館山

移住者がビル丸ごと一棟買い!そして生まれた街のにぎわい 千葉 館山

  • 2024年03月01日

千葉県館山市では、過疎化などの影響から駅前に空きビルが増えていました。

そうした空きビルを移住者が丸ごと一棟買い、そのビルに個性的で魅力的な店を出店する動きが広がっています。

にぎわいをみせる駅前のビル

千葉県館山市のJR館山駅前でにぎわいをみせるビル。以前はデパートなどが入っていましたが、一部のテナントを除きいずれも閉業。6年ほど、空きビル同然だったそうです。

駅前でにぎわいをみせるビル

しかし1年ほど前にリニューアルした後、館内に次々と店がオープンしています。店主の多くは館山に移住してきた人々で、発酵料理の店やクレープ店、カフェなど、移住前に培った技術や経験を活かして営んでいます。

実は今、こうした移住者が店を出店してにぎわうビルが続々と館山市内で誕生しています。

ぞくぞくと店がオープン

仕掛け人は移住者

そうしたビルが誕生するきっかけをつくった漆原秀(うるしばら・しげる)さん。仕事は空きビルを丸ごと一棟買って、店舗や居住スペースにして貸し出すことです。

漆原秀さん

かつてはサラリーマンでしたが、館山の自然に憧れたのと、不動産を通じて人と触れ合う仕事をしたいと、家族を連れて移住しました。

サラリーマン時代の漆原さん(中央)

漆原さんが注目したのは、館山では個人でもビル1棟が買える価格の安さ。ビルまるごとなら、賃貸に比べて長期的にコストを低く抑えられる上、自由に改装もできて個性的な店が開けると考えました。

飲食店を出店予定の購入したビル

最初に手掛けたのは賃貸の集合住宅。1年で経営が軌道に乗り2年半で満室になりました。その一方で気がかりも…。館山の街が過疎化によって活気を失っているようにみえることでした。

漆原さんが始めた集合住宅
集合住宅の内部
漆原さん

子どもとこの町で暮らしていて、この寂しい状況を見せながら「この街に未来あるよね」っていえないな…みたいなことを思い始めて、使命感みたいなものを感じてしまったんですよね。

漆原さんは自らの経験を講座で広めることにしました。ビルを買ってビジネスを始める人が増えれば、地域の活性化につながると考えたのです。

講座で経験を広める

ぞくぞく誕生!移住者が出店するビル

今では漆原さんだけでなく、多くの人がユニークなビルを誕生させています。

こちらのビルには、畑を荒らす猪などの、野生動物の革を使ったハンドメイドの小物店が開業。店主は、県内の佐倉市から来た移住者です。

移住者が店をひらくビル
野生動物の革を使った小物店
小物店の店主も移住者

ほかにも館山の自然や歴史に関連した本を専門に扱う書店や、都内から移住したビルオーナーが、自ら蒸留したこだわりのジンを提供するかカフェバーなどが誕生しています。

カフェバー店主

(空きビルや)閉まっていたお店が少しずつ開いていったりとか、仲間が増えて行くような感じがあります。

駅前のビルを地域の交流拠点に

古い空きビルを次々と蘇らせた漆原さんは今、新た挑戦を始めています。駅前のビルのオーナーから実績を見込まれ、運営を任されたのです。

漆原さんは、移住者と地域住民が協力して地域ににぎわいを取り戻す拠点にしたいと考えました。

駅前ビルを地域の交流拠点に

そこで月に1度、このビルで開くことにしたのが空きスペースを使ったマルシェです。地域の特産野菜や手づくりの菓子。やってきた移住者と地元住民の新たな交流の場となっています。

マルシェ
漆原さん

みんなで集まる場所があると「ついでに紹介するよ」みたいなことがおきやすいので、(マルシェは)そういう出会いの機会にもなっていると思います。

さらに漆原さんには空きビルを通した地域活性化の仲間もできました。移住者でフリーライターの蓑口亜寿紗(みのぐち・あずさ)さんです。本業の傍ら、マルシェの運営や広報の仕事を手伝っています。

蓑口さんと漆原さん
蓑口さん

皆さん、すごいみんないい人たちなんで、何かしたいなと思って。何ができるかなって。

漆原さん

「空きビルを使って何か面白い場所にしよう」とチャレンジしたことが新しい方にも伝わって「何か私もしてみたい」って気持ちになってくれてるのかなって。私は私の方でできる応援をしていきたいなって思ってます。

  • 安住洋之

    千葉放送局ディレクター

    安住洋之

ページトップに戻る