JR京葉線のダイヤ改正を巡る問題。
JR東日本は3月のダイヤ改正で、朝と夕方以降の快速・通勤快速の運行を取りやめて、各駅停車に変更すると発表。その後、地元の反発を受け、早朝の上りの快速2本に限って運行を継続すると「見直し」ました。
利用者はどのような影響を受けるのか。「ワンオペ・ワーママ」の朝と夜の通勤に密着しました。子どもを保育園に送ったあと、駅まで走って通勤快速に飛び乗る日々。
「ダイヤ改正後はどうすれば…」。生の声をお伝えします。
(千葉放送局記者・浅井優奈)
(※1月27日に記事の一部を加筆しました。)
JR京葉線のダイヤ改正の内容はこちらで詳しく👇
京葉線の通勤快速を利用し、千葉市から東京都内の職場に通っている藤原さん(仮名)です。
京葉線との直通列車がある土気駅(千葉市緑区)近くで、夫と子ども2人とともに暮らしています。
夫は子育てに積極的に関わっていて送迎も分担していますが、夜勤や出張で不在のことが多くあります。
その際には私1人で、子どもたちの準備と、長男のこども園への送迎をしないといけません。本当にバタバタの生活です。
午前5時。起床した藤原さんは自分の朝食やお弁当作りなどを済ませます。
午前6時。子どもたちが起きてくると、着替えや朝食、持って行く荷物や宿題のチェックなどに追われます。
午前7時。小学生の長女を登校させるのとともに、長男と車で出発しました。目指すは、7時20分発の「通勤快速」です。まずは7時に開園するこども園に向かいます。
午前7時9分。こども園の近くで借りている駐車場に車を止めたあと、園に到着。長男とハイタッチで「行ってきます!」。この時すでに7時11分。通勤快速の出発時間まであと9分です。
7時20分発の通勤快速に乗らなければ始業時間に間に合わず、こども園から駅までは走って向かいます。
午前7時20分。通勤快速に無事、間に合いました。
仕事を終えたあと、夜も「バタバタの生活」が続きます。
午後6時54分。藤原さんは京葉線の快速を利用し、土気駅に戻ってきました。
子どものお迎えは午後7時。6分しかないため、こども園まで再び走ります。
午後7時。ギリギリでこども園に到着しました。
同じ場所で学童保育に通っている長女も含め、2人をお迎えすることができました。
ダイヤ改正で通勤快速が各駅停車に変更されると、さらに早い時間の電車を使う必要があります。
しかし、長女を午前6時台に登校させるわけにもいかず、ダイヤ改正後の生活をどう組み立てていくのか、悩んでいるといいます。
我が家にとって、ダイヤ改正は日々の生活を根本から考えないといけない問題になっています。
朝は何時に電車に乗れば間に合うのか。帰りは何時に帰れるのか。お迎えにそもそも間に合うのか。通勤快速は子育ての助けになっていたので、とても残念です。
今後については夫と相談しながら、働き方を調整していかなければいけないと思っています。
また、JRがダイヤ改正を見直し、朝6時台に千葉市内を出発する快速2本のみ、運行を継続するとしたことについては…。
朝7時に子どもを見送る家庭が多いと思いますが、6時台では時間が早すぎて、利用するのは現実的ではありません。
藤原さんが利用しているこども園では、同じように、ダイヤ改正後の子どもの送迎に悩んでいる保護者の声が、多く寄せられているといいます。
「明徳土気こども園」龍孝幸 園長
都内に通勤している保護者が多く、ダイヤ改正後は仕事に間に合わない、お迎えに間に合わないという声が出ています。
保護者と一緒に保育の時間をどうするのか、最善の形を考えていきたいです。
こうした中、千葉市議会では、1月26日に開かれた臨時の本会議で、JR東日本に対する決議案が提出されました。
決議案では、次のように記されています。
全国的にも異例な対応として、ダイヤ改正の一部変更が発表されたが、早朝時間帯の快速2本が運行継続するのみであった。
この改正は、本市の都市基盤や都市経営を揺るがすもので、利便性の著しい低下を招くと想定できる。通勤時間を考慮し、住宅を購入した市民も多く、沿線住民の生活を前提から覆す唐突で極端な改正で、改悪と言わざるをえない。
快速・通勤快速のダイヤ改正を再考し、利便性を確保するよう強く望む。
採決では賛成47、反対1の賛成多数で可決。市議会の代表が、JR東日本千葉支社に決議の文書を提出したということです。
利用者の切実な声がある中で、JRはなぜ、ダイヤ改正を行うのでしょうか。
JRは主に3つの理由を挙げています。
①混雑している快速から乗客を分散させること。
②快速が停車しない駅の利便性を高めること。
③各駅停車が快速の追い越しを待つ必要がなくなり、各駅停車の所要時間の短縮につながること。
しかしJRは、「影響について考えが及ばなかった」としていて、これほどの反発は想定していなかったようです。
現時点でJRは、3月のダイヤ改正については、「これ以上の見直しはない」としています。
一方で、「要望すべてにお応えしたとは思っていない。年に一度のダイヤ改正にとらわれず、運行のあり方を柔軟に検討する」ともしています。
時期は不透明ながら、さらなる見直しに向けて、今後も検討が進むものとみられます。
「首都圏ネットワーク」での放送は、「NHKプラス」で2月2日(金)午後6:30までご覧いただけます。