JR京葉線のダイヤ改正を巡る問題。
JR東日本は、ことし3月以降の京葉線のダイヤについて一度発表しましたが、地元の強い反発を受けて、異例の「見直し」を行いました。
ダイヤ改正を巡る経緯や今後の動きについて、千葉放送局の浅井優奈記者が解説します。
(2024年2月9日に情報を更新しました)
京葉線ユーザーのダイヤ改正に対する“生の声”はこちら👇
京葉線のダイヤ改正で何があったの?
JR東日本は2023年12月、翌年3月に全国で一斉に行うダイヤ改正について発表したの。
この中で京葉線は、朝夕のラッシュ時に1日4本運行されている通勤快速と、快速のうち、朝9時台までと夕方4時台以降の時間帯に運行されている35本について、改正後は、すべて各駅停車として運行するとしたんだよ。
しかし、これに地元の千葉市などが強く反発し、JRは1月16日、ダイヤ改正を見直し、早朝の上りの快速2本に限って、各駅停車とせず快速として運行を継続すると明らかにしたの。
一度発表されたダイヤが見直されるのは珍しいよね。相当強い反発があったのかナ?
当初のダイヤ改正が発表された2日後、千葉市の神谷市長と千葉県の熊谷知事は、いずれも記者会見で「容認できない」と述べ、JRに申し入れを行うことにも言及したの。
さらにその後には、京葉線との直通列車が走る内房線や、外房線の沿線の自治体も、撤回や再検討を求める要望書をJRに提出したよ。
地元の自治体は、どういった理由で「容認できない」としたの?
特に大きな理由は、沿線の住民や経済への影響の大きさだよ。
東京駅と蘇我駅の間の平均所要時間は、通勤快速では現在、朝の上り線で42分、夕方以降の下り線で37分なんだけど、各駅停車に変更されると、いずれも56分まで長くなるの。
また、快速の所要時間は現在、朝夕、上下線とも45分前後ですが、いずれも50分余りまで長くなるとされているよ。
朝の1分1秒は貴重ラッカ!
千葉市の神谷市長は、「子育て世帯の中には、朝、保育所に子どもを預けてギリギリ電車に乗るなど、通勤ダイヤに合わせた生活をしている人もいる。その前提が大きく崩れる」などと批判したよ。
京葉線の利用者に話を聞いたところ、「都内まで出やすいから引っ越してきたのに困る」といった声や、「いずれ職場にアクセスしやすいところに引っ越そうかなと考えている」といった声が出ていたよ。
住民生活だけでなく、経済への影響というのも指摘されたんだよナ。
例えば、京葉線の快速が停車する海浜幕張駅が最寄りの「幕張メッセ」では、1年中、さまざまなイベントが開催されてるよね。
神谷市長は、「イベントの主催者などから、ダイヤ改正が行われれば、『利便性が低下して開催地として再検討せざるを得ない』という声をいただいている」と、懸念を述べていたよ。
千葉商工会議所の佐久間英利 会頭も、「内房、外房地区をはじめ、多くの地域の産業振興にも大きな影響を与える問題で、非常に困惑している」と述べていたよ。
さまざまな方面で大きな反発があったんだナ。そもそもJRは、どういう理由カラ、ダイヤ改正を決めたの?
JRは、ダイヤ改正の主な狙いを3点挙げているよ。
▼1つ目が、快速の混雑の緩和。
▼2つ目が、快速が停車しない駅の利便性を高めること。
▼そして3つ目が、各駅停車が快速の追い越しを待つ必要がなくなり、各駅停車の所要時間の短縮につながること。
また、通勤快速については、乗客が各駅停車の7割ほどにとどまっているとして、快速の混雑緩和とともに、乗客数の平準化を図りたいと説明しているよ。
そうした理由でダイヤ改正を一度決めたにもかかわらず、今回は異例の見直しを決断したんだナ。
今月15日、JR東日本千葉支社のトップが神谷市長と面会し、ダイヤ改正を見直して、午前7時半前後に東京駅に到着する、君津発と上総一ノ宮発の上りの快速2本に限って、快速としての運行を継続すると明らかにしたよ。
一方で、残る33本の快速と、通勤快速を各駅停車に変えることについては見直されなかったの。
JR東日本千葉支社の土澤壇支社長は、「本来、短期間でダイヤ改正を見直すことは不可能だが、限られた時間の中でできることを行った。これだけでは要望すべてにお応えしたとは思っていない。今後は、年に一度のダイヤ改正にとらわれず、運行のあり方を柔軟に検討していきたい」と述べていたんだよ。
JRとしてもギリギリの判断だというのは分かるけど、快速2本だけでは不十分という声もありそうだナ…。
そうなの。2月8日には神谷市長がJR東日本の本社を訪れ、千葉市のほか、京葉線との直通列車が通る木更津市、茂原市など、県内20市町の連名で要望書を提出したの。
要望書では、今回のダイヤ改正は見直しを踏まえても「断じて受け入れがたい」として、東京への速達性などを維持するためダイヤを再検討することや、ダイヤ改正の影響の大きさを理解し、今後は沿線の十分な理解を得た上で慎重に進めることを求めているよ。
要望書の提出について、千葉市の神谷市長は次のように話していたよ。
今回の要望は、20市町が東京まで速く到達できる利便性を維持してほしいと、一致したことに意義がある。
3月のダイヤ改正については、システム改修など物理的な制約があるということで、3月の時点ではいったん改正されると思うが、できるだけ早期に利便性が維持されるダイヤに復元してもらうために要望を行った。
JR側からは、「今後の検討の中で、東京までの利便性について一定の配慮を行う」という発言があり、要望への対応について今後何らかの説明があると考えている。
このほか、地元の経済団体が連名で同様の要望書を提出したほか、幕張メッセをはじめとする幕張新都心の業界団体なども、見直しは不十分だとして撤回などを求める要望書をJRに提出しているよ。
JRは、当初のダイヤ改正の時から、こうした事態になることを想定していたのかナ…?
千葉支社の土澤支社長は、「JRとして影響について考えが及ばず、至らぬ点があった」と話していて、ここまでの反発が出たことは想定外だったと思うよ。
現時点でJRは、3月のダイヤ改正にあたっては、これ以上の見直しはないとしているけど、「運行のあり方を柔軟に検討していく」という支社長の発言もあり、今後も京葉線のダイヤを巡って動きが続きそうだよ。