千葉県の有数の観光地「養老渓谷」。
市原市と大多喜町にまたがる養老渓谷では、去年9月の記録的な大雨で、宿泊施設が浸水するなどの大きな被害を受けました。
すべての宿泊施設が再開することしを復興の年にしたい。
地元の観光協会の代表のことしにかける思いを取材しました。
(千葉放送局記者・坂本譲)
房総半島のほぼ中央に位置し、市原市と大多喜町にまたがる千葉県内有数の観光地「養老渓谷」。紅葉の中での滝巡りや美肌効果のある温泉などが有名で、年間およそ20万人が訪れています。
しかし、去年9月の記録的大雨の際に近くを流れる養老川の水があふれ、複数の宿泊施設が浸水。渓谷を巡る遊歩道も一部崩れるなどの被害が出ました。
大雨からおよそ4か月がたち、遊歩道の一部は通行できるようになりました。観光客は徐々に戻りつつあるものの、地元の観光協会によると、去年の秋の利用客は前の年の7割ほどだったといいます。
養老渓谷観光協会の会長を務める秋葉保雄さんです。発災当時から地域の復興に取り組んできました。
川沿いの水につかった部分の木がなぎ倒されたりとか、あとはごみがひっかかっていたりして、ちょっと荒れているって印象をどうしても受けてしまいます。にぎわいを創出していたピークの頃を知っているだけに、観光客はそこまで来ていないという印象です。
地域は復興に向けて一歩ずつ前に進んでいます。浸水被害を受けた7軒の宿泊施設のうち、5軒はすでに営業を再開。残る2軒も再開に向けて工事が行われています。
秋葉さんが経営する旅館「喜代元」もその1つです。台所などがある1階に水や土砂が流れ込み、一時は廃業も頭をよぎりましたが、営業再開を待つ人たちの声から旅館を再建することを決めました。
秋葉さんの旅館に泊まりたいから頑張ってくださいとかっていう声をたくさんいただきました。こうした応援のことばを聞くと、僕たちもやっぱり立ち上がろうという気持ちにぐっと傾いてきて。
修繕工事にあわせてバリアフリー化を進めるなど、レイアウトを一新。浸水しづらくするために1階部分を20センチほどかさ上げもしました。
ことし中には復旧が進むもう1軒(鶴乃家)とともに営業を再開し、養老渓谷すべての宿泊施設がそろう見込みです。
養老渓谷の入り口にあり、害が一番大きかったこの旅館が立ち上がる姿を地域の人たちに見てもらうことで、地域の復興の後押しになれば。養老渓谷まだまだ元気だぞっていうのを見せたいなと思います。
ことしを養老渓谷の復興の年にしたい。旅館が休業中の間、秋葉さんは訪れる人のニーズを知るために、養老渓谷の駅前で観光ボランティアも務めました。多くの人が紅葉や温泉、食事などさまざまなことを求めて訪れていて、それに細かく応える体制作りが必要だと感じたといいます。
皆さん養老渓谷で楽しみたいっていう思いを持って来ているので、それに少しでも応えてあげられるようなアドバイスや、案内などできるよう、地元の方で準備を進めていかないといけないなと。
養老渓谷を盛り上げるにはどうすれば良いのか。昨年末、地元の観光関係者が集まって、意見を出し合いました。
春先に、石神の菜の花畑で菜の花が咲く前にランタンを上げたい。養老渓谷、小湊鐵道の復興で。
消防の許可はいらないの?
LEDランタンなので大丈夫です。
1つが多くの人が利用する養老渓谷駅で、小湊鐵道と協力して行う復興イベントです。参加者が菜の花畑から夜空にランタンを飛ばし、イベントを通じて、若者や家族連れにも楽しんでもらいたいと考えています。
さらに、渓谷のさまざまな魅力に触れてもらおうと、地域で使えるクーポンの配布や宿泊費の割引なども検討しています。
再び多くの人が訪れる養老渓谷に。秋葉さんはことし、地域全体で復興を成し遂げたいと考えています。
大雨で地域全体が水害に遭いましたが、逆に今がどん底であれば、あとは上に上がるしかないので、辰年じゃないですけど、力をためてジャンプ!みたいに復興できるよう、誘客をみんなと相談しながらやりたいと思います。皆さんに今まで以上にこの養老渓谷に目を向けていただき、自然や温泉などに興味を持って身近に感じていただけるような場所を作っていきたいと思います。