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パートナーシップ制度 千葉・船橋・市川・松戸など6市長発言は

  • 2023年07月18日

千葉、船橋、市川、松戸、柏、習志野。「パートナーシップ制度」「ファミリーシップ制度」で連携することになった6市です。

事実婚や同性カップルについて「結婚に相当する関係」などと自治体が認定する「パートナーシップ制度」。パートナーの子どもを家族として認定する「ファミリーシップ制度」とともに、導入する自治体が増えています。

6市長が同席した連携協定の締結式では、各市長の制度に対する思いが語られました。それぞれが何を語ったのか、発言の全体を詳しくお伝えします。

(千葉放送局記者・大岡靖幸)

6市が連携協定を締結

7月11日、千葉市役所に集まった千葉市、船橋市、市川市、松戸市、柏市、習志野市の市長たち。各市で導入している「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」について、互いに連携をはかる協定書に署名しました。

6市の人口はあわせて約323万人。千葉県全体の人口の50%余りに上ります。市長がそれぞれ連携に向けてあいさつしました。

各市長の発言の一部をお伝えします。発言の全体は記事の後半に掲載しています。

田中甲
市川市長

呼び合う魂、ツインレイと出会うことは、全ての人の願いであろうと思っています。きょう、パートナーシップ・ファミリーシップの都市間連携が図れたことはダイバーシティー時代を迎えるなか、至極当然のことです。

太田和美
柏市長

柏市では少し遅ればせながら始めて、いま4か月目を迎えたところですが、「市に認められてうれしい」などの言葉を頂戴しています。これらのご意見を丁寧に受け止め、多様な生き方を認め合う社会の意識醸成に努めてまいりたいです。

神谷俊一
千葉市長

千葉市は平成31年にパートナーシップ宣誓制度を開始し、全国で初めていわゆるLGBTの方々に限定せず事実婚を含めて制度化しています。誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けて、今後も都市間連携を強化をして取り組んでいきたいです。

宮本泰介
習志野市長

習志野市では去年6月に「誰もが安心して共同生活を営むことができるまち」を目指して制度を開始しました。これまで以上に多様な生き方を認め合い、支援できる社会の実現を目指して連携を図っていきたいです。

松戸徹
船橋市長

今、社会でどんどん変化が起き、世界中ですべての方が人権を認められて生活できる、安心できる社会を目指す流れになっていると思いますが、それぞれ個別の自治体が行うだけでなく、多くの自治体が連携し、今後も面的に広がっていくことが求められています。

本郷谷健次
松戸市長

松戸市は令和2年にこの制度を導入し、大変多くの方から喜びの言葉をいただきました。この制度が6市にとどまることなく、県内あるいは県を越えて、輪がつながっていくことを期待しています。

連携協定で何が変わる?

「パートナーシップ制度」とは、法律上の婚姻関係にない事実婚や同性などのカップルの宣誓を受けて自治体が「結婚に相当する関係」を認定する制度です。

千葉市のパートナーシップ宣誓書

自治体はカップルに証明書やカードなどを発行し、カップルは公営住宅に家族として入居できたり、病院でパートナーの病状説明を受けられたりするなど、法律上の夫婦に準じた行政サービスや配慮が受けられるようになります。

また、「ファミリーシップ制度」婚姻関係にないパートナーの子どもを家族と見なして認定するものです。パートナーシップ制度と一緒に導入する自治体が増えています。

「柏市パートナーシップ・ファミリーシップ届出ガイドブック」より

連携協定を結んだ6市では、7月10日の時点であわせて291組がパートナーシップ制度を利用し、5組がファミリーシップ制度を利用しています。

連携協定では、制度の利用者が6市の間で引っ越しをする場合の手続きが簡略化されます。

これまでは引っ越し前の自治体にパートナーシップなどの証明書やカードをいったん返納し、引っ越し後の自治体で改めて戸籍謄本などを提出して再申請する必要がありましたが、連携協定によって、継続して制度を利用する場合も戸籍などを提出する必要がなくなるということです。

各市長の質疑応答の全文

締結式のあと、6市長は記者からの質問に答えました。その際の発言全体です。

質問:先ほど各市長のあいさつの中で「面的に広がっていけば」という話がありましたが、県内ではまだ広がっていないのが現状です。どうすれば県全体や全国に広げていけるのでしょうか?

神谷 千葉市長

今回6市で連携協定を結ばせていただいたのは、他市に向けての大きなメッセージになってくると思いますし、多くの県民の方が関心を寄せて欲しいと思います。

知られることで連携もさらに強化していくと思いますので、我々としては今回の連携協定の意義ですとか、どういった点が宣誓される方にとって手続きが簡素化になるのか、しっかりとご説明することで賛同していただける市をこれからも増やしていければと思います。

質問:去年4月から3市で先行的に連携が始まっていましたが、利用した人はまだいないと聞いています。今回の6市連携の利用促進には何が必要と思われますか?

神谷 千葉市長

今回の連携協定の意義は、実際に6市間で転居された方が何人、というよりも法制度に基づく婚姻制度と同様に、移転したとしても改めて宣誓の度に2人または家族と一緒に市役所に来なくてもいいという制度を作ることにこそ、意義があると思っておりまして、こういった制度の趣旨、狙い、協定の中身をしっかりとご説明をして、パートナーシップ・ファミリーシップを自治体が公的に認定しているという制度の意義をぜひ知っていただきたく、説明をしっかりしていきたいと思っております。

田中 市川市長

新しくファミリーシップを社会全体で理解を深めていくと、社会が認めていくということが、やはりこれを広げていく最大の要因だろうと思うんですね。

6市が一緒になってそういうインパクトを与えていきたいという思いで、きょうは集まりました。

宮本 習志野市長

習志野市でこの制度を検討したときの話ですが、この制度の中には性的少数者の皆さんを支援するという側面もあるのですが、一方で当事者の皆さんに聞くと「それを前面に出されるとかえって使いづらい」というような声もいただいておりました。

行政としては、やはりいま全体的に個人の活動が非常に自由になって、家族でいうと核家族化がずいぶん前から進行していて、ということの一方で行政効率としては、やはりなるべく集団で生活していた方が自助・共助という部分が効いていいという部分があるわけでして、そういうことをベースにして、習志野市ではあまり性的少数者ということではなくて、あくまでも共同生活を促進すると、つまり同性の一人親どうしが家族と家族でつながって一緒に住むということを促進したり、あるいは老後を同性どうしの高齢者どうしが同居をするとか、そういうことも想定して、むしろそちらの方を前面に出して、誰もが共同生活を営むことができるようにというしつらえをしました。

で、先ほどのどういう風に広がっていけばいいかということについては、そのような観点で各行政で行政らしく考えていただければ、さらに広がりが加速するのではないかなと、習志野市では考えています。

松戸 船橋市長

先ほど「面的な広がり」のお話しがあったが、住んでいる地域によって社会の中の対応が違うということは、やはりもう減らしていかなければいけないと思っています。

で、今回6市の協定の持っている意味というのは、普通に生活をしていて引っ越していっても、また同じように普通に生活ができる、この環境をどうやって構築していくかという、この意識が大事だと思っております。

ですから、今回は6市ですけれども、県内それぞれ自治体によってバックグラウンドが違ったり、いろんな意見がある中ではありますけれども、必ずそういった面での広がりはできていくと思うので、その時にこういったものが核になって、どんどん連携をしていく基盤になってくれたら、今回の意味というのは非常に大きいと思っております。

本郷谷 松戸市長

広げていくにはいろいろなことが必要かなということで、その中の1つとして、やはりいま6市でも制度の内容は違うんですよ。対象者が違ったり、松戸市の場合、事実婚みたいなものも認めていたり、それぞれの市によって違いますので、これをできるだけ共通できるところは共通しながら利用しやすい制度に持っていくということが、広げる一助になるのかなと思っています。

太田 柏市長

制度を広げるためにはやはり、制度があるということをメッセージとし、他市の皆さんに同調していただけるところが出てきていただければ、ありがたいかなと思っています。

本市でもこの制度を検討するにあたって、最初、パートナーシップ、そしてファミリーシップ、どちらの制度をやろうかという迷いがありましたが、今回ファミリーシップ制度も導入することにしました。千葉市など先行してやっていたところはパートナーシップ制度だけでしたが、ファミリーシップまで対象を広げていただいたことで、今回このような形で6市で締結することができました。

もしそこを広げていただかなければ、ファミリーシップ制度どうしの都市間連携しかできず、そうするとたぶん規模が小さくなってしまったと思うんですが、今回この6市の足並みが揃ったことには大変大きな意義があると思っていますので、これからやっていこうという自治体が多く増えていただくことを望んでいます。

質問:今回は6市での連携ですが、いま千葉県でも多様性に関連した条例の制定が進んでいると聞いています。面的に広げていくうえで、県のリーダーシップは大きいと思いますが、皆さんがこの条例制定を含めて、県に期待するところをお聞かせ下さい。

田中 市川市長

ご指摘の通り、千葉県ももっと積極的に県全体で進めるという旗振りをしていただければうれしいなと思っています。

特にいま、ふっと考えていたのは医療面においてですね、不都合ということが起きないように、命に関わるような時に、このパートナーシップ・ファミリーシップ制度の中で問題が発生するようなことがないようにと願っています。

太田 柏市長

県に期待するところについてですが、県で条例の制定作業が進んでいるということですけれども、LGBTQにとどまらず多様性ということで、もう少し幅広い形で検討されているということを聞いておりますので、その中の1つとして、こういう取り組みがあるということを県の方にも理解していただいた上で、県内に54市町村ありますので、そういうところにしっかりその理念、制度の意義、そういったものを広げていただけるような取り組みをしていただければと思っております。

神谷 千葉市長

県に期待することでありますけれども、県条例ができることで全県に適用になるわけですから、社会的理解を進めていく上での大きな推進力になってくるのではないかなと思います。

もう1つ、パートナーシップ・ファミリーシップ制度は千葉市は運用していますけれども、行政が関わるところだけではなくて、例えば病院ですとか不動産ですとか、そういった多くの面で我々の宣誓制度の認定を受けた方が法律婚の方と同様の扱いを受けられる社会にしていきたいと思っていますので、全県で適用外団体の方に対する働きかけなども期待していきたいと思っています。

宮本 習志野市長

習志野市は県内で2番目に面積が小さい市なので、具体的にいうと千葉市稲毛区と同じ面積、同じ人口なんです。

で、そう考えると、特に医療や介護、福祉の部分は県域単位でやっておりますので、市民の利便性ということでいえば、より広範囲でやっていただいた方がいいという観点から言いますと、ぜひ全県で取り組んでいただければこれに越したことはないと感じています。

松戸 船橋市長

県で条例制定をする意味というのは、千葉県全体がそういう方向でいくということを宣言することなので、いまいろいろな自治体の背景がありますけども、県民としてそういった方向で行きますという1つのオーソライズされた形ができるというのは、大きな意義があると思います。

で、これは神谷市長もおっしゃっていたことに通じますが、ただ条例制定だけではなくて、各自治体で宅建があったり、医師会があったりしますけれども、県全体でも県組織、その上部としてまとめているところがあるので、県からはその県全体をまとめている関連団体に積極的に声をかけていただき、そして、それぞれの自治体はそれぞれの地元にある「住まい」とか「医療」とか、そういったところに声をかけて、サンドイッチにしていく必要があるので、県にはぜひ条例制定後は、県のとりまとめている団体に積極的に声掛けをしていただければと思っています。

本郷谷 松戸市長

この制度は作るだけでは意味がないので、それを現実的に利用者にとって利便性がある、あるいは使い勝手がいいようにするためには、不動産に関する手続きをとったり、あるいは病院に入ったときの手続きとか、多くの関係者、民間の方がいろいろなところでこの制度を尊重して運用していただくことが大変重要なわけですから、ぜひそういう広がりをもって、しっかりと根付いた活動をしていただくことが、利用者にとっての利益につながると思っています。

各市長のあいさつ全文

冒頭の各市長のあいさつの全文です。

田中 市川市長

呼び合う魂、ツインレイと出会うということは、全ての人の願いであろうというふうに思っています。

きょう、パートナーシップ・ファミリーシップ制度にかかる都市間の連携が図れたということは、ダイバーシティーの時代を迎えて、その中では至極当然のことであろうというふうに思っています。

これからの連携を、さらに強固にしていきたいという思いであります。

太田 柏市長

本日、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の都市間連携の締結式を迎えることができて大変うれしく思っております。

柏市では、この中では少し遅ればせながら始めたものですけれども、この制度は令和5年3月15日から施行いたしました。

いま4か月目を迎えたところでございますが、現在10件の届け出の証明書を発行しています。その中からさまざまな声が届いておりまして、証明書を受けとった方から「市に認められてうれしい」とか「病気になった時に、病院に一緒に来てもらうことがこれからできるようになった」「やっと柏市も始めてくれた」など、制度に対するうれしい、良かったと思える言葉を頂戴しているところです。

市としても、これらのご意見を丁寧に受け止め、多様な生き方を認め合う社会の意識醸成に努めてまいりたいと考えています。

まだ本制度は始まったばかりでございますが、この都市間連携協定を機に、一人ひとりが尊重され、暮らしやすい社会が広がっていくことを願っています。

神谷 千葉市長

千葉市では、すべての市民の皆さんが個人として尊重される社会を実現していくために、平成31年1月にパートナーシップ宣誓制度を開始しております。

4年半が経ったわけでございますが、今日までに154組の方の宣誓をお受けしている状況でございます。千葉市のパートナーシップ宣誓制度ですが、全国で初めて、いわゆるLGBTの方々に限定せず、事実婚を含めて制度化して実施してきているわけですが、今回この流れが大きく県内に広がりまして、きょう千葉県内を代表する5つの市長の皆様との協定の締結に至りました。

この6市の人口は、合わせますと323万人でございまして、千葉県全体の51.5%と過半数を超えております。今回の提携で宣誓制度が利用しやすい環境整備につながっていけばと大いに期待しているところです。

誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けて、今後も都市間連携を強化をして取り組んでいきたいと思っております。

宮本 習志野市長

本日このような協定を、真新しい千葉市役所で6市の市長さんと一緒に協定を結ぶことができて大変充実した心境です。

習志野市では令和4年6月、昨年の6月に誰もが安心して共同生活を営むことができるまちを目指して、この制度を開始いたしました。

それからちょうど1か月後に初めて宣誓書を受理したのですが、それがちょうど1年前のきょうということで、非常に感慨ひとしおであります。

本日をきっかけに、これまで以上に多様な生き方を認め合い、そして、それを支援できる社会の実現を目指して、連携を図って参りたいと考えています。ご指導よろしくお願いします。

松戸 船橋市長

船橋市も、パートナーシップが令和3年の12月、ファミリーシップは今年の4月にスタートをした状況です。

いま、社会がどんどんどんどん変化が起きていて、世界の中でもすべての方が人権を認められて生活ができる、安心できる社会を目指す流れになっていると思いますけれども、それぞれ個別の自治体がやっているだけでなくて、こうして多くの自治体が連携をする、今後も面的にどんどんこういった形が広がっていくことが求められていると思います。

船橋市としても他市の皆さんといろんな連携をしながら、この制度がより拡充して、すべての方が安心して暮らせる平等な社会をつくっていくために頑張っていきたいと思っております。

本郷谷 松戸市長

きょう、このような形で締結できたこと、大変うれしく思っております。

松戸市は令和2年11月にこの制度を導入いたしました。

導入したときに第1号になった方々を含めて、大変多くの方から大変喜びの言葉をいただきました。多くの方が苦労してこの制度を待ち受けていたなと、こんな気がしておりました。

そして、去年の4月に千葉市、船橋市と松戸市の間で今回と同じような連携協定を結ばせていただきました。今回、それを拡大して6市の間で連携した協定を結ぶことができました。

この制度をぜひ、この6市にとどまることなく、県内あるいは県を越えてですね、この輪がつながっていくことを期待しております。

そして利用者にとって、利用者の人権が守られるような社会をみんなで作っていければと思っております。

  • 大岡靖幸

    千葉放送局記者

    大岡靖幸

    遊軍のほか、千葉市や経済などを担当。6市の市長それぞれの思いに触れ、色々考えさせられた取材でした。

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