ページの本文へ

  1. 首都圏ナビ
  2. ちばWEB特集
  3. “警察官と聞き驚いた” 性的暴行と盗撮 元警部の初公判 千葉

“警察官と聞き驚いた” 性的暴行と盗撮 元警部の初公判 千葉

  • 2023年07月14日

「警察官だと聞き驚いた」
「厳しく処罰して欲しい」ーーー。
市民を守るはずの警察官が、女性の住宅に忍び込み性的暴行を加えていた事件。懲戒免職となった千葉県警察本部の元警部の初公判が開かれた。

盗撮で現行犯 性的暴行も発覚

千葉県警察本部の元警部、岡田誠被告(46)。
暴力団事件の捜査など刑事畑が長く、2022年8月の逮捕当時、県警本部捜査4課で課長補佐を務めていた。帰宅途中の京成千葉駅で女性のスカートの中を盗撮していたところを通行人に目撃され、現行犯逮捕。これをきっかけに、過去に県内で性的暴行事件を繰り返していた疑いがわかり、ほかの盗撮事件も含めて計6回逮捕。最終的に3つの性的暴行事件と3つの盗撮事件で起訴され、この間の2022年11月、懲戒免職となっている。

送検される岡田元警部

起訴された性的暴行事件は▽2014年7月▽2015年4月▽2017年7月に発生した3件で、いずれも県内の集合住宅の一室に忍び込み、刃物で女性を脅した上、性的暴行を加えたとされる。
盗撮事件は現行犯逮捕された2022年8月の駅での事件のほか、同じ年に起こした2つの事件で住宅の敷地に侵入し風呂場などを盗撮したとされる。

初公判 “間違いありません”

初公判は2023年7月13日、千葉地方裁判所201号法廷で開かれた。

岡田元警部は黒のスーツに短髪、眼鏡とマスクをつけた姿で出廷した。冒頭、裁判長から職業を問われた元警部は「無職です」と返答。続く罪状認否で、「すべて間違いありません」と述べ、起訴内容を全面的に認めた。

冒頭陳述・被告人質問

冒頭陳述は検察のみ行った。

【検察の主張】
性的暴行事件はいずれも被害者の女性に包丁を突きつけるなどして「騒ぐと殺すぞ」と脅し、無理やり暴行した。顔を見られないようにするため、タオルなどで目隠しした上、犯行後には「警察にいうな」などと口止めをしていた。

続く被告人質問では、動機や犯行の手口、それに、起訴された事件のほかにも性的暴行をしていたことが明らかになった。

性的暴行事件について

【動機】
母と離婚し1人で暮らす父の介護や経済援助の問題でストレスがたまり、やけになっていた。そこに性欲と好奇心が重なった。犯行後は事件を起こしたことがストレスになり、自暴自棄になって繰り返した。

【犯行状況】
一人暮らしの女性が多く住んでいるだろうと、大学や病院が近くにある場所を選び、無施錠の部屋を探した。誰が住んでいるか、知らなかった。玄関や窓から侵入した。抵抗されないように包丁を見せ、自分の顔を見られないように女性を目隠しした。犯行後は証拠をなくすためシーツを洗濯したり、被害者の身体を風呂で洗ったりした。

【ほかにも性的暴行】
弁護側の質問で、元警部はほかにも1件、性的暴行をしていたと発言。よく覚えていないが、2014年より数年前で、これが最初だったと説明した。また、職務で得た情報を犯行に悪用したことは「ありません」と返答した。
これを受けて、検察官が質問を続けた。
Q:性的暴行は4件ですか?
A:もしかしたら記憶が飛んでいるかもしれないが、覚えているのはその回数。
Q:DNAが残らないようしていましたね。
A:残らないようにしようという思いがあったと思う。
Q:(盗撮事件で最初に逮捕されたあと)DNAをすぐ出さなかった、なぜ?
A:性的暴行事件がバレると思った。
Q:逮捕から約3週間後にDNAを出した、なぜ?
A:拒否してもしょうがないと思った。
Q:性的暴行は4件で終わった、本当か?
A:本当です。

盗撮事件について

最初の事件は、ウォーキング中に住宅の風呂場から音が聞こえたことがきっかけだった。スマホを少し前に買い替えていて、画像をきれいに撮れるので、自分にも撮れるのではないかと思った。当時、ハイボールを3,4杯飲んで少し酔っ払い、調子にのってやりました。うまく撮れ、画像を捨てたくないと、保存用アプリに入れた。その後、また画像を保存したいと、次の2件目もやってしまった。有頂天になっていた。現行犯逮捕された3件目は居酒屋で泥酔するまで飲んだ帰りだった。目撃され、走って逃げたことは断片的に覚えている。

被害者 “警察官と聞き驚いた”

裁判では被害者の供述調書が提出され、一部読み上げられた。

「警察官だと聞いて驚いた。社会を信頼できない」
「絶対に許せない。2度と社会に戻ってきて欲しくない」
「厳しく処罰してほしい」

元警部は眉間にしわを寄せ、うつむいた姿勢で聞いていた。その後の被告人質問で謝罪の弁を述べた。

自分の勝手なことで全く関係ない被害者を傷つけてしまい申し訳ない。私がまた目の前に来るんじゃないかとか、街でまた会うんじゃないかとか、夜眠れなくなったとか、苦しい思いをさせていると思います。
本来、市民を守る立場でありながら、落ち度のない被害者を深く傷つけてしまい、失望と憤りを感じていると思います。

次回公判は8月31日、残りの被告人質問などを行い、論告・求刑を経て結審する見込み。

不祥事続く 去年は全国最多

岡田元警部が懲戒処分を受けた去年、2022年は千葉県警で不祥事が相次いだ。1年間で懲戒処分を受けた警察官と警察職員は全国で276人。このうち、35人が千葉県警で全国最多に上った。

2022年の懲戒処分
1位 千葉県警 35人
2位    警視庁  31人
3位  大阪府警 18人

不祥事は2023年に入っても続き、6月までの半年で、飲酒運転や時間外手当の不正受給などで12人が懲戒処分を受けている。

ページトップに戻る