若者たちが数学の能力を競う「国際数学オリンピック」。今年は20年ぶりの日本開催となり、112の国・地域から約600人が参加した大会は、7月12日に幕張メッセで閉会式・表彰式が開かれました。
日本代表として参加したのは、全国指折りの進学校に通う高校生6人。5連覇を目指す中国、前回2位の韓国などとしのぎを削りました。
結果はどうだったのか、どのような問題が出題されたのか、詳しくお伝えします。
(千葉放送局記者・渡辺佑捺)
大会の結果、日本代表は181ポイントで国別で6位となり、前回の8位より順位を上げました。上位10チームは次の通りです。中国は5連覇を達成しました。()内は前回の順位です。
●1位 中国(1位→)
●2位 アメリカ(3位↑)
●3位 韓国(2位↓)
●4位 ルーマニア(5位↑)
●5位 カナダ(14位↑)
●6位 日本(8位↑)
●7位 ベトナム(4位↓)
●8位 トルコ(26位↑)
●9位 インド(24位↑)
●10位 台湾(14位↑)
国別の順位は、各国代表の選手(最大6人)の個人得点の合計で決まります。
今回の日本代表は次のメンバーでした。
古屋 楽さん | 筑波大学附属駒場高校 | 3年生 |
林 康生さん | 海城高校 | 3年生 |
狩野 慧志さん | 長野県松本深志高校 | 1年生 |
北村 隆之介さん | 東京都立武蔵高校 | 3年生 |
小出 慶介さん | 灘高校 | 3年生 |
若杉 直音さん | 帝塚山学院泉ヶ丘高校 | 1年生 |
「日本数学オリンピック」や「日本ジュニア数学オリンピック」で、優秀な成績を残してきた高校生たちです。3月の代表選考合宿でのテスト結果などに基づき、選ばれました。
成績が優秀だった個人には、上位12分の1に金メダル、12分の2に銀メダル、12分の3に銅メダルが贈られます。
日本代表からは、北村隆之介さんと古屋楽さんが金メダルを獲得し、全員が銅メダル以上を獲得しました。北村さんと古屋さんは、6問中5問が満点でした。
実力を発揮して、悔いなく大会を終えることができました。金メダルを目指して頑張ってきたので良かったです。これからこの経験を数学の研究などにつなげていきたいです。
最後の大会で金メダルを獲得できて、満足しています。自分が数学オリンピックに出る先輩の姿を見て憧れてきたように、自分の下の代にも思いを引き継いでいきたいです。
金メダルには届かず銀メダルでしたが、実力以上に課題を解くことができました。来年も出場して満点を取れるように頑張りたいです。
去年は代表選考合宿にも進むことができなかったので、悔しさをバネに頑張ってきました。その結果だと思うので、嬉しかったです。
来年、再来年も金を取れるように頑張りたいです。
銅メダルだったのは悔しく、現実が受け止められないです。もっと勉強しておけばよかったなと思いました。
日本代表は、1990年に中国で開かれた第31回大会から「国際数学オリンピック」に参加しています。最初の結果は20位。
その後も毎年参加し、過去最高はドイツ大会(2009年)の2位でした。
大会では、試験日が2日間にわたって設けられ、3問ずつ数学の難問が出されます。
今年の1日目に出された3問です。制限時間は4時間半。ぜひチャレンジしてみてください!
2日目の問題です。こちらも制限時間は3問で4時間半でした。
2日目の3問目(問題6)で満点を取ったのは、約600人の参加者の中で6人だけでした。
「国際数学オリンピック」では、同じ問題がそれぞれの国や地域の言語で訳され、母語による差が生まれないように配慮されています。
大会は7月7日に開会式が行われ、日本代表の小出慶介さんが英語で選手宣誓を行いました
数学の栄光とチームのために、フェアプレーの精神で大会に参加することを誓います。
そして、永岡文部科学大臣があいさつしました。
大会の経験をきっかけに、将来世界をけん引する人になってください。
続いて選手の紹介が行われ、アルファベット順に各国の代表たちがメインステージに上がりました。
選手たちが難問に挑んだ会場です。大きな会場で実力を出しあいました。
「国際数学オリンピック」は、数学に関心の高い各国の若者たちが交流を深める場でもあります。
2日間、問題に挑戦したあとは交流を深めるイベントが用意されていました。都内の名所やディズニーランドへ観光に行ったり、スポーツ大会が行われたりしたということです。
来年の第65回大会はイギリスで開催されます。今後も若者たちの活躍に注目したいですね!