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“前向き”給食 “分散”運動会 継続? 新型コロナ5類で学校は 千葉

  • 2023年05月02日

給食は“前向き”、運動会の“分散開催”…。学校生活で数多く取り入れられた新型コロナ対策。5月8日の「5類」移行で多くの制限がなくなりますが、学校によっては別のメリットから「対策」を継続する動きも。今後、出席停止の扱いなどがどう変わるのかも、詳しくお伝えします。

(千葉放送局記者 岡本基良)

マスク着用 高学年ほど多い?

さまざまな新型コロナ対策で大きく変わってきた学校生活。5月8日の「5類」移行前に小学校を訪ねました。

千葉市立新宿小学校

取材させてもらったのは、5年生のクラスです。学校現場では今年度(4月)から、児童や生徒などにマスクの着用を求めないことが基本となりました。

しかし、3時間目の国語の授業をのぞくと、ほとんどの子どもたちがマスクを着用していました。

国語の授業中はほとんどがマスク着用

一方、4時間目にグラウンドで行われた体育の授業では、先生がマスク着用による熱中症に気をつけるよう指導し、多くの児童がマスクを外していました。

体育の時間はマスクなしが多数

また、給食の時間は、授業の時と同じ全員が「前向き」の配置で、時々会話を交わしながら食べていました。コロナ前は、机で「島」をつくって数人が対面形式で食事をとっていたということです。

「前向き」の給食

取材中、ほかの学年の様子も見て回りましたが、1年生は教室での授業中、ほとんどがマスクを外していて、3年生は半々という状況でした。なぜ、それだけ違いがあるのでしょうか。校長先生に話を聞きました。

千葉市立新宿小学校 栗和田耕 校長
「高学年は、学校生活のほとんどをマスク着用で過ごしてきたからではないでしょうか。マスクの着用は、表情が見えなくなるのでコミュニケーションを取る上で弊害があると思います。教員は積極的にマスクを外していますし、今年度の初めに全校児童に『マスクを外してもいいんだよ』と話しましたが、感染対策というより『恥ずかしい』といった理由で外すことに抵抗がある児童もいます。そうした気持ちや家庭の事情なども尊重しながら、丁寧に慎重に対応しています」

栗和田耕 校長

“前向き”給食 “分散”運動会 継続もアリ?

5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に変わると、さまざまな制限が撤廃されます。

給食は、これまでは「1メートル以上の距離を確保して対面」か、この学校のように「全員が同じ向き」かの感染対策が必要でしたが、これも対策が不要になります。ところが、この小学校では「前向き」給食を継続する可能性も考えているそうです。なぜでしょうか?

千葉市立新宿小学校 栗和田耕 校長
「『前向き』の給食で、食事に集中する環境が生まれて完食する子どもが増えています。会話を楽しみながら食事をとることも大事ですが、栄養バランスの取れた給食を、決められた時間内にちゃんと食べてもらえるのも大きなメリットです。今後、教員の意見も聴きながら検討していきたいです」

また、今月予定されている運動会も、新型コロナ対策を少し残す形で実施される予定です。

3年間、感染対策で学年ごとに日程を分散させて開催されてきた運動会。今年は対策が不要となりますが、コロナ前の校内全体で行う形には戻さないことにしました。

運動会の練習は連休明けから

日程は分散させず1日で実施しますが、午前と午後で学年を分け、出ない学年は教室の中でリアルタイムの映像を「リモート観戦」することになりました。保護者も、自分の子どもの出番のため朝から夕方までグラウンドに居る必要はなくなります。

ただ、開会式と閉会式だけは、全校児童が集まって開催するそうです。

千葉市立新宿小学校 栗和田耕 校長
「子どもたちには、この3年間、いろいろ不便をかける場面も多かったですが、コロナ禍で得られた新たな知見や、新しい形の教育活動もあります。そこも大事にしながら、改めてどのような学校のあり方が一番いいのか、見直すいいタイミングになるのではないでしょうか」

児童と話す栗和田校長

「5類」学校はこう変わる

5月8日以降は「5類」移行に伴って、学校の出席の扱いが変更されます。新宿小学校では、プリントを全校児童900人近くに配布して保護者への周知を進めています。

新宿小学校が配布したプリント

全国の学校の現場では、次のような対応となります。

《出席停止となる場合》

児童・生徒など本人の感染が確認された場合、「発症の翌日から5日間」かつ「症状が軽くなってから1日が経過するまで」は出席停止。
(※~5月7日は「治るまで」出席停止)

ただし、保護者から感染が不安で休ませたいと相談があり、同居家族に高齢者がいるという事情など、合理的な理由があると校長が判断した場合は出席停止扱いになるケースも。

《従来は出席停止だったが出席停止とならない例》

● 同居する家族が感染した場合
● 児童や生徒など本人や同居する家族に発熱など風邪の症状がある場合
● 児童や生徒など本人が新型コロナワクチン接種や接種後の副反応で体調不良となった場合など

このほか千葉市立の小中学校などでは、出席停止を終えて登校する際、季節性のインフルエンザと同じく「療養報告書」を保護者から校長宛に提出することも求められます。発症した日や出席停止となった日数などを確認するためです。

新型コロナの「療養報告書」

新型コロナの「5類」移行をきっかけに感染対策の検証が行われる中、学校の現場でも、これまでの経験を元に新たな学校生活のあり方を模索する動きが進んでいました。

新型コロナの「5類」移行に伴って、毎日の感染者数の発表が終了します。
今後はどうなるのか?詳しくはこちら↓
新型コロナ5類移行 感染者数・死亡者数の発表終了 今後は 千葉

  • 岡本基良

    千葉放送局記者

    岡本基良

    県政キャップ。コロナ前に戻すのではなく、得られた知見を生かすという校長先生の視点に、新たな発見がありました。

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