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給食「黙食」見直し 行事人数制限なし 熊谷知事会見詳報 千葉

  • 2022年12月23日

千葉県は、「黙食」を見直して給食時に会話をできるようにすることや、学校行事での人数制限も行わないことなど、教育現場における新型コロナウイルスの感染対策について、県のガイドラインを改めました。具体的にどう見直すのか、また、熊谷知事は会見でどのように説明したのか、詳報します。

「学校における感染対策ガイドライン」見直しの内容は?

①給食における黙食の見直し
・換気を徹底して児童や生徒どうしの間の距離をおおむね1メートル以上確保すれば会話を可能とする。換気の目安は、二酸化炭素濃度1000ppm以下。
食事後はマスクを着用する。
・県として、感染状況のみを理由として、給食時の会話を制限する考えはない
黙食を希望する児童生徒に対しては、適切に配慮する。
→まずは、授業形式の座席配置での会話から始める。
人数が少ない場合は、車座や向かい合わせでも、1メートル以上の距離があれば会話を可能とする。

②学校行事における見直し
児童生徒の貴重な教育機会を確保するため、積極的に実施する。
感染状況のみを理由として、児童生徒や保護者などの入場制限を行わない
屋内行事では、マスクの着用及び大声を控えるよう要請する。

③身体的距離の確保
・マスクを着用して大声をともなわない場面(卒業式等)では、人と人とが触れ合わない間隔を確保する。

県教育委員会HP

熊谷知事の発言詳報

12月22日に県庁で行われた熊谷知事の発言は以下のとおりです。

「感染対策緩和、取り残されてきた学校現場」
どうして学校が取り残されてきたのかというところですけれども、まずひとつは、実際にデータ・科学的知見としては、子どもというのは一番重症化しづらい層であるわけですけれども、どうしても子どもということで、周囲からの注目と要望が高い。
学校現場というのは、コロナに限らず、これまでも、様々な声などで緊張にさらされてきたのだと思っています。
それから大人と違って子どもというのは大人を信頼しておりますので、おかしいのではないかという声をあげない存在だということですね。そういう部分でも見直しに向けた動きというのがどうしても弱くなってしまったということ。
それからやはり教員の皆様方が非常に真面目な方々で、今まで行ってきた対策というのを継続するために必死になって来られたというところがですね、大きいと思います。

「子どもだけ過度な制限は合理的ではない」
だからこそ、我々は、常に、県行政や教育行政に関わる人間が、他の分野のこれまで3年間の間、科学的知見の積み重ねによって、徐々に徐々に社会経済活動を取り戻してきた、その知見と意味を十分に理解をして、学校現場だけが、流れに取り残されてる部分というのを一つ一つ丁寧に見て、それを解消するべく、背中を押してあげるメッセージを出し続ける。もしくは阻害しているガイドライン等の表記を見直しをしていくということが重要だというふうに考えています。
社会全般での活動制限の緩和が進められている中で、子どもだけが過度な制限を課せられることは合理的ではありません。

社会全体での制限緩和が進められている中で、学校だけが取り残されないよう国に対して、学校での教育活動の規制緩和を要望してまいりました。
文科省の大臣の発言であったり、ガイドラインの見直しというのは、遅きに逸した感はありますけれども、それでも非常に前向きなアクションだったというふうに思っています(※1)

子どもの教育に責任を持つべき我々大人が子どもの目線に立って、学校での制限の見直しに積極的に取り組む必要があります。県としては社会全体のコロナ対策の状況を踏まえ、学校だけが取り残されないよう、今後も適宜ガイドラインの見直しをしてまいります。
学校現場においても子どもたちにとって貴重な教育機会、教育活動を取り戻すための制限緩和に積極的に取り組んでいただきますようお願いをいたします。

(※1)熊谷知事は、10月28日、文部科学省を訪れ、教育現場の感染対策を国が率先して緩和するよう要望。その後、文部科学省は、11月29日、適切な対策を行えば、会話は可能だとする通知を都道府県の教育委員会などに出した。

「徐々に児童生徒の受け止め方が変わることが必要」
実際にですね、これだけ長く給食の黙食を強いられ、かつ、それがなぜ行うかという意味において、我々が思ってる以上にですね、子どもたちの多くはですね、感染リスクというものを、大人以上に高く思っている状況です。

ですから、すぐには変わらない部分もあるかもしれませんけれども、まずはですね、大きな声でなければ会話ができる状況を作っていくことによって、1か月2か月3か月、徐々に徐々にですね学校現場の児童生徒の受け止め方が変わってくるということが必要だというふうに思っています。

それから、そのためにはなぜこうした社会の正常化が行われてきたのかということの科学的な背景をしっかり教えて、感染リスクが高まるようなことをしているわけではないことをしっかり伝えていくことが、子どもたちの科学的な思考を養うという意味でも、私は重要だというふうに思いますので、その点でも我々としては、継続してメッセージを出していかなければならないというふうに感じます。

記者

今回、ガイドラインを変えることの意味とは?また、変えることによってどういった変化を期待しているか?

熊谷知事
もともと各学校現場としても、いろんな考え方の中で現場の実情に応じて工夫をしてもらってると思いますけれども、県民の皆さんにいろんなお願いをしている県として、黙食の見直しを進めていくものであるということをしっかりとメッセージとして明文化するということと、それから、各学校現場によっては、かなり独自に、感染拡大防止策を拡大解釈して、我々からすると必要以上の対策を行っているケースというのがかなり散見をされていますので、できる限り、そうした誤解の余地、拡大解釈の余地がないように文書を作ってきたつもりです。

例えば、我々は今確かに感染拡大があって、いわゆる第8波と言われているような状況ですけれども、現時点において言えば、レベル1のときと、ある種、基本的に県民や事業者の皆様方にお願いしていることは変わらないわけです。

しかしながらこれまでは学校現場において、感染が拡大しているからという理由で、我々県がお願いしていないにも関わらず、みずから自粛をするようなことが多々あったので、改めて、感染が拡大していることのみをもって、学校現場における行動を変える必要はないんだということもあわせて明文化させてもらっています。

将来的に、オミクロン株とは違うような変異株、強毒性のものが出てくるなど、前提条件が変わってくれば、これは県民や事業者にお願いしていることと同じように学校現場にも何らかのを自粛や制限をお願いすることもあろうかと思いますけれども、それは、我々がしっかり全体を見渡した上で申し上げるので、学校現場個々の判断で、萎縮をする必要はないということなどをガイドラインで明記をさせていただいたということになります。

記者

12月2日、知事がtwitterで一般の保護者に反論する形で厳しいと思える表現でコメントし、かなり拡散されている状況だが、どういう意図だったのか?(※2)

熊谷知事
なかなか真意が十分にまだまだ伝わらないところがあると思いますけれども、時代が変化していく中では必ず起きることです。科学的な知見に基づいて対策を行ったとしても、いわゆる安全と安心は違いますので、できる限り安心をしていただけるよう、安全な情報やその背景は説明いたしますけれども、一定程度、安心できない方々というのがいらっしゃいます。
その方々に対して配慮をしなければいけませんが、配慮することによって、多くの人が現状維持を強いられるようなことというのは、我々、意思決定を預かる者としては絶対取ってはならないということだと思っています。
過去の安全と安心が違うことによって、どのようなことが起きてしまったかの総括を正しく行った上で、社会としては科学的知見に基づいて着実に我々は前に進んでいく、しかしながらそこについていけない方々に対する配慮を並行して行っていくという考え方です。

(※2)
ツイッターで「黙食が何の自粛に当たるのか不明。給食時、短時間の黙食はメリットこそあれ特にデメリットはないと考えます。また、対面給食+黙食の指導をしている学校もありますがメリットが分かりません。喋りたくなる環境を作り、会話禁止は意味がないと思います」などとコメントした人に対し、熊谷知事は、「では、貴方は全ての食事において他人と対面せず、かつ黙食を今後も続けて下さい。教室のように換気が十分な環境で、管理者も居て、前向きに着席した状態での、大声でない会話すら規制することを子供に強いることを望むのですから、当然自らもされているのですよね?千葉県では県民にも飲食店にもそのような要請はしていませんし、教職員が自らそのようなことを実践しているわけではないので、学校における合理的な範囲での黙食見直しを推進します。個人の要望は尊重されるべきで、お子さんは換気が十分でリスクの低い窓や廊下に近い席で食事をされれば良いでしょう」などと回答。

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