毎月届く家庭の電気やガスの明細書。金額が高くなる一方で、気になっている人は多いのではないでしょうか。
実は、こうした光熱費の高騰に悩んでいるのは、自治体も同じなんです。
家庭での節電法とともに、調べてみました。
(千葉放送局記者 金子ひとみ)
電気代、上がったよね?
ことしに入って、2割上昇しているよ(東京電力)
2割も!?
あわせて、電力需給がひっ迫する厳しい状況となっていて、政府は12月から来年3月末まで、できるかぎりの節電してほしいと呼びかけているよ。
それは、何をしたらいいの?ラッカは、電気代やガス代を節約するために節電方法を知りたいよ。
経済産業省資源エネルギー庁によると、千葉県では、冬の1日の家庭での電気の使用割合は▼暖房が32.7%、▼冷蔵庫が14.9%、▼給湯器が12.6%、▼照明器具が9.2%などとなっています。
やっぱり冬だから、暖房に使う割合が一番多いね。
暖房については、▼重ね着などをしてエアコンの設定温度を22度から20度に下げると2.7%、▼窓に厚手のカーテンをかけると0.8%、それに▼目詰まりしたエアコンのフィルターを掃除すると0.8%の節電効果があるとしているよ。
次に使用割合の多い冷蔵庫は、考えられるとすれば、温度設定を「強」から「中」にするということかな?
そうだね。そのほかには扉を開ける時間を短くしたり、食品を詰め込みすぎないようにしたりすることで1.5%の節電効果があるとしているよ。
照明器具については、たとえば、家族みんなでリビングで過ごして、人のいない部屋の照明などを消すと効果があるかもね。
▼不要な照明をすべて消すことで4.5%、▼リビングや寝室などの部屋の明るさを下げることで1.5%の節電効果があるということだよ。
ガス代の節約法はどうなの?
お金ではなく省エネ効果についての数字だけど、例えばお風呂の追い炊きが必要ないように、家族で間隔をあけずにお風呂に入ると、5.6%の省エネ効果があるんだって(2時間の放置により4.5℃低下した湯(200㍑)を毎日追い炊きした年間のガス消費量)。そのほか、シャワーの時間を短くしてお湯の出し過ぎに注意するとか、お皿を洗うときの温度を下げることなども効果があるとしているよ。
ところでラッカ星人、私はよく市役所に取材に行くんだけど、光熱費の上昇は、自治体も大きな影響を受けていることを最近、改めて感じたよ。
たしかに、市役所や学校など公立施設の電気代やガス代は、一家庭とは比べものにならないくらい大きいよね。年度途中にこんなに値上がりして、大丈夫なの?
各自治体、それを補正予算で対応しようとしているの。船橋市に話を聞いてきたよ。
市役所は、住んでいる人や働いている人も次々と出入りするし、エレベーターも動いているし、たくさん電気やガスを使うよね。
そうなの。光熱費の値上がりで、船橋市の場合、当初予算だけでは足りなくなって、9月の補正予算で追加計上したんだけど、予想以上に値上がりして再び足りなくなって、いままた追加分を盛り込んだ補正予算案を市議会で審議しているんだよ。
船橋市の場合(市の庁舎や小中学校、図書館などの公共施設の電気代やガス代)
今年度当初予算 13億6203万円
9月補正予算 5億3512万円を追加手当
12月補正予算案 5億 298万円を追加手当
わぁ!当初予算からみると、2倍近いお金が追加で必要になっているんだね。すごいことだね。
船橋市では、業務に支障がない範囲で部分的に消灯したり、昼休みは原則消灯したり、暖房は20度に設定したり、職員にはエレベーターでなく階段の利用を呼びかけるなどしているそうです。でも、そうした地道な対策だけでは到底太刀打ちできない状況になっているんだね。市の担当者に話を聞いてきたよ。
当初、これほど光熱費が高騰することは予想しましたか?
年度当初から、光熱費が高くなりそうだという想定はしていました。ただ、ロシアによるウクライナへの侵攻後、燃料調達リスクがより高まって、こんなにも光熱費が高騰するとは予想できませんでした。
市の財政への影響はどうですか?大丈夫なんですか?
当初予算と比較すると、電気料金はおよそ1.8倍、ガス料金は1.5倍です。
いまの時点では、市の貯金である「財政調整基金」をあてて対応していくことにしていますが、この状況が長期化するようだと、市の財政をさらに圧迫することになってしまいます。
政府は、家庭の電気やガス料金の負担を軽減するため、来年1月に使用、2月の請求分から8月に使用、9月の請求分まで▼家庭向けの電気料金は1キロワットアワーあたり7円、▼都市ガスは家庭や年間契約量が少ない企業に対して、1立方メートルあたり30円を補助するなどとしています。
公共施設の光熱費の高騰分は、国や県の補助を受けられないのでしょうか?
現在のところ、国や県から、光熱費の高騰分に対する補助などのお話はございません。今後の新しい料金体系やスキームも注視しながら、市民サービスに影響が出ることのないよう、対応をしっかりと考えていきます。
こうした例は、船橋市だけじゃないんだよね?
そうなんです。船橋市以外にも以下の自治体が、公共施設の電気代・ガス代の追加を入れた補正予算案を審議中、または審議し成立しました。
12月補正予算内での市の庁舎や小中学校、図書館などの公共施設の電気代やガス代
千葉市 5億8500万円
市川市 3億3619万円
浦安市 3億270万円
習志野市 2億1560万円
年が明けると、来年度、2023年度の新年度予算案を各自治体が公表し始めます。その中に、物価高の影響を受けた項目がないか、しっかりとチェックしたいと思います。