流山市にお住まいのみなさんは、いま、10万人で1人の議員を選んでいる計算です。
勝浦市、大多喜町、御宿町のみなさんは、3万2千人で1人になっています。
来年4月9日に行われる見通しの、千葉県議会議員選挙。
この「1票の格差」を埋めるために、議員定数は「増やす」べきか、「減らす」べきか。
あなたはどう考えますか?
(千葉放送局記者 岡本基良 坂本譲)
人口増加率全国1位の流山市*では、4年前に19万人だった人口がいま、21万人に迫ろうとしています。(*今年1月1日現在の住民基本台帳をもとにした総務省調査)
全人口に占める30代と40代の割合は3割と、高齢世代よりも多くなっています。
人口減少に悩む自治体も多い中で、人口が増えているなんて、うらやましいね!
ラッカ星人、実は、人口が増えていることで流山市では、半年後に迫った県議会議員選挙に向けて、懸念が出てきているんだよ。
なに?人口増はいいことばかりじゃないってことなの?!
流山市は、市民の声が県議会に最も届きにくい選挙区になりかねないんだよ。
現在、県議会の流山市選挙区の定数は「2」。10万人で1人の議員を選ぶ計算です。この人数が多いほど「1票の重さ」が軽くなってしまい、「1票の格差」が生み出されてしまいます。
ほかにも課題があって、例えば、流山市選挙区よりも人口が少ない、千葉市花見川区選挙区(人口18万人近く)は定数が「3」になっているんだ。
花見川区選挙区は、流山市選挙区よりも人口が少ないのに、議席は多いという逆転現象が起きているんだね。
一方、過疎化が進む外房地域。
このうち勝浦市の人口は約1万6000人で、60年余りにわたって減少が続いています。
大多喜町(人口約9000人)、御宿町(人口約7000人)とあわせた勝浦市・夷隅郡選挙区の定数は「1」。つまり、約3万2000人で1人の議員を選べるんだ。
約10万人で1人の流山市選挙区と比べると、3倍の差があるね!
千葉県議会の定数は94で、千葉県全体だと、約6万7000人で1人の議員を選ぶ計算だよ。勝浦市・大多喜町・御宿町の選挙区は、これと比べても2倍以上の開きになるんだ。実はこれ、違法状態なんです。
違法状態!?
議員1人あたりの人口が、県平均と比べて2倍以上の開きがある場合、隣の選挙区と統合する合区を行う必要があることが、公職選挙法で定められているんだ。
こうしたことから、来春の県議選に向けては選挙区の割り振り=「区割り」の見直しが必須となっているんです。
県議会では、去年6月に「区割り」の見直しを検討する委員会が設けられ、1年間にわたって各会派が案を示すなどして議論を重ねました。
各会派はどんなアイデアを出したの?
県議会の最大会派「自民党」は、流山市選挙区の定数を1増やすことなどを盛り込んだ案をまとめています。
案を取りまとめた県議に、狙いを聞きました。
変えるところを最小限にした案ですね。
人口動態だけを元に選挙区を大きく組み替えてしまうと、各議員が積み重ねてきた地域とのつながりが損なわれ、県民の声が議会に届きにくくなってしまいます。従来からの自治体単位を基本とする区割りを維持し、人口が減少している地域の声もしっかり聞くことを重視しています。
議員定数は全体で1つ増えますが、削減は検討しなかったですか?
議員定数についての明確な解ってありませんよね。現在の千葉県議会の議員1人あたりの人口は全国平均に近い水準です。将来、全国的に議員定数削減の動きが出てくれば、見直されていくものと思います。
県議会の第2会派、「立憲民主・千葉民主の会」は、議員定数を全体で17減らすことなどを提案しています。
選挙区の数を減らして組み替える狙いはなんですか?
1人区が多くなると、いわゆる「死に票(落選候補に投じられた票)」も多くなります。県の地域振興事務所の単位を基本に選挙区を大規模化し、数を42から27にします。定数が2以上の選挙区を増やせば「死に票」が減り、多様な県民の声を聴き取ることができると考えました。
議員定数を大きく削減している点も特徴ですね。
新型コロナや物価高によって県民は大変な負担を強いられています。県議会も自らの身を削る大幅な定数の削減をするべきです。今回の案での定数削減は17人にとどまっていますが、将来的には議員1人あたりの人口が10万人となるまで削減を目指したいと考えています。
第3会派の「公明党」は、議員定数を全体で10減らすことなどを案に盛り込んでいます。
1番重視したのはどこですか?
「1票の格差」をいかに小さくするかを第一に考えました。この格差をできる限りなくさなければ、民主的な選挙は実現できません。議員定数についても、日本全体で人口が減っている時代に、議員を増やすのは県民の理解を得られないと思います。
他に意識したことはありますか?
私たちの案では、千葉市内の選挙区を現在の6区から3区に統合し、将来的には1つにまとめることを目指すとしました。千葉市では、統一地方選で県議選と市議選が同時に行われますが、県議選では市議選よりも少し大きな選挙区にまとめることで、広い視点で議員を選んでもらえるのではないかと考えたのです。
委員会では、このほかの会派からも、議員定数を削減したり、1人区を減らしたりする案が出されました。
1年間にわたって議論を重ねましたが、歩み寄ることが出来ず、結論を出すことができませんでした。
県議選まであと半年だよ。早く決めてみんなに知らせないといけないよね。
委員会で合意できなかったことから、今後、各会派が条例案という形で提案をし、採決をして決まる予定です。
条例案提出には、千葉県議会では8人以上の議員数が必要で、単独で提出できるのは、自民党、立憲民主・千葉民主の会、公明党の3会派だけです。
9月定例議会の最終日となる10月14日に各会派から議案が提出されて、採決される見通しです。過半数を占める自民党案が可決・成立するものとみられます。
都心部、住宅地、農村部をバランス良く抱えながらも、人口増減の偏りが激しい千葉県。
それぞれの地域の声をできるだけ県議会の議論に反映させるために、議員定数は増やすべきなのか、減らすべきなのか、選挙区はどうあるべきか。
みなさんは、どう考えますか?