日本学術会議の法改正案 政府“介入なし”も反対意見が相次ぐ

日本学術会議の組織のあり方を見直す法律の改正案について、学術会議の幹事会に政府の担当者が出席して、会員の選考に意見を述べる“諮問委員会”の概要を説明し、「学術会議の会長が任命するため、政府の介入はない」と述べました。
これに対し、学術会議側からは「政府の意向が入り会員選考への影響が危ぶまれる」など法改正に反対する意見が相次ぎました。

日本学術会議をめぐっては、当時の菅総理大臣が6人の会員候補を任命しなかったことをきっかけに組織のあり方を見直す議論が行われていて、政府は今の国会で法律の改正案の提出を目指しています。

学術会議は5日、臨時の幹事会をオンラインで開き、内閣府の笹川武室長が改正案に盛り込む予定の、会員の選考に意見を述べる「選考諮問委員会」の概要を説明しました。

笹川室長は、諮問委員会のメンバーは5人で「科学に関する知見を有する関係機関と協議のうえ、学術会議の会長が任命する」と説明し、「政府が会員の選考や委員の人選に介入する考えは一切ない」などと述べました。

これに対し学術会議側からは、法改正に改めて反対する意見が相次ぎました。

会員からは「6人が任命されなかったあと、世の中では思想調査が行われたという議論があったが諮問委員会についてもそういう目で見てしまう」「諮問委員会に政府の意向が入り、会員選考への影響が危ぶまれる。そうならないよう文書に書き込むべきだ」などの意見が出されました。

学術会議は今月17日と18日に総会を開き、法改正について議論する予定で、梶田隆章会長は「仮に法改正をする場合、今月の総会が閣議決定前の最後の総会になるはずだ。その時点で具体的な法案をもとにした議論ができない場合は、政府と学術界との決定的な決裂という最も不幸な結果になる」と訴えました。