長知事の気持ちむだに
するなという思いが票に」

30日投票が行われた沖縄県知事選挙で初めての当選を果たした玉城デニー氏は、一夜明けた1日、記者団の取材に応じ「新基地建設の反対と普天間基地の閉鎖返還を日本政府やアメリカ政府に求めていきたい」と抱負を述べました。

翁長知事の死去に伴う沖縄県知事選挙は30日投票が行われ、共産党や社民党などが支援した前衆議院議員の玉城氏が、自民・公明両党などが支援した前宜野湾市長らを破り、初めての当選を果たしました。

玉城氏は当選から一夜明けた1日朝、沖縄市の自宅で記者団の取材に応じました。

翁長知事の遺志を受け継ぐとして、政府が進めるアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴えてきた玉城氏は「翁長知事の生前の気持ちをむだにしてほしくないという県民の思いが票につながった。辺野古新基地建設の反対と普天間基地の一日も早い閉鎖返還を、日本政府やアメリカ政府に求めていきたい」と抱負を述べました。

名護市辺野古への移設工事を巡っては、県が行った埋め立て承認の撤回により、国は今後、法的な対抗措置を取る方針です。これについて「私は最初から対立や分断という立場ではない。国としっかりと意見交換をしていきたい」と述べ、国との協議には応じる意向を示しました。

このあと玉城氏は沖縄市の街頭に立ち、通勤する人たちに手を振るなどして感謝の気持ちを伝えていました。

玉城氏は今月4日、県庁で当選証書を受け取り、新しい知事に就任します。

首相「結果は政府としては真摯に受け止め」

安倍総理大臣は1日午前、総理大臣官邸に入る際、記者団に「まず改めて翁長知事のご冥福をお祈りしたい」と述べました。そのうえで「選挙の結果は政府としては真摯(しんし)に受け止め、今後、沖縄の振興、そして基地負担の軽減に努めていく」と述べました。

自民 石破氏「来年の参院選も厳しい結果に」

自民党の石破元幹事長は記者団に「総力戦で戦った以上、いち地方の選挙だということで済まされることではない。沖縄県民の審判を分析し、改めるべき点は改めていかなければ来年の参議院選挙も厳しい結果になることも想定される。人事で人を代えて、無かったことにしようということがあっていいはずがない。敗因を分析しどう生かすかに参議院選挙はかかっている」と述べました。

立民 福山幹事長「参院選1人区は候補者一本化を」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に「『辺野古の基地建設はノーだ』ということが明確になったので、沖縄の負担軽減や振興という抽象的な問題提起ではなく、アメリカに状況を説明し、見直しの議論を始めるべきだ」と述べました。

そのうえで「来年の参議院選挙の『1人区』は明確に候補者を一本化すれば十分勝機が見いだせることが明らかになったので、『1人区』での候補者の一本化を加速しなければならない」と述べました。

一方、2日の自民党役員人事と内閣改造について「沖縄県知事選挙で安倍政権のやり方に『ノー』を突きつけた民意を重く受け止め、問題があったような役員や閣僚の再任はないものだと考えたい」と述べました。

国民 玉木代表「潮目が変わるきっかけ」

国民民主党の玉木代表は記者団に「安倍政権に対する審判が下ったと思う。政治的な潮目が変わるきっかけになる選挙だ。辺野古の新基地建設や日米地位協定の見直すべき項目を整理し、来年の参議院選挙の野党側の統一政策として訴えていくこともひとつの方向性だ。野党共闘の機運が高まったと思うので、選挙や秋の臨時国会に向けた調整を速やかに行っていきたい」と述べました。

共産 小池書記局長「安倍政権の終わりの始まりに」

共産党の小池書記局長は記者会見で「揺るがぬ民意が示されたので安倍政権は結果を無視することはできない。安倍政権には、辺野古の新基地建設を中止し、玉城氏とともに普天間基地の閉鎖・撤去を求める対米交渉に直ちに取りかかることを求めたい。強権的に進めようとする安倍政権のやり方が通用しなくなっていることを示す結果でもあり、安倍政権を終わりにする戦いの始まりにしたい」と述べました。

維新 松井代表「対立から対話に」

日本維新の会の松井代表は大阪府庁で記者団に「沖縄県民の民意は複雑で、基地の問題へのアレルギーはわれわれが思う以上に強いことがはっきりした。政府は、沖縄県の基地負担の軽減についてより具体的な案を示していくべきだ。選挙は終わったので沖縄の皆さんのために対立から対話にかじを切ってほしい」と述べました。

那覇市民 玉城氏に期待や要望

玉城デニー氏について、那覇市内では期待の声や県政への要望が聞かれました。

74歳の男性は「辺野古に基地を造らせないよう、しっかり政府と交渉してほしい。また子どもの支援や雇用問題にもしっかり力を注いでほしい。玉城さんは意思が強くて誠実そうなので期待したい」と話していました。

78歳の女性は「沖縄のアイデンティティーをしっかり守るという玉城さんの考えに賛成だ。政策面では、日本の南の玄関口としてアジア各国と交流できる観光政策に力を入れてほしい。また人手不足の解決とともに、若い人の給料が上がるような政策を進めてほしい」と話していました。

60代の男性は「沖縄の子どもの貧困問題は切実な問題なので、玉城さんを中心に行政の支援で解決してほしい」と話していました。