「国葬」費用 12億円台に 事前の概算を約4億円 下回る見通し

安倍元総理大臣の「国葬」の費用について、松野官房長官は会見で、事前の概算を4億円ほど下回る12億円台半ばとなる見通しを明らかにしました。

また一連の対応を検証するため、有識者にヒアリングを行って、速やかに論点を公表する考えも示しました。

松野官房長官によりますと、安倍氏の「国葬」にかかった費用の総額は、事前に示した概算の16億6000万円程度を4億円ほど下回る12億円台半ばとなる見通しだということです。

具体的には、海外から参列した要人などの接遇費がおよそ5億1000万円、警備費がおよそ4億8000万円、企画・演出や日本武道館の借り上げなどにかかった経費がおよそ2億4000万円などとなっています。

また、参列者は、海外からの参列したおよそ730人を含めて合わせて4170人で、警備には、最大およそ2万人の警察官が当たったということです。

一方、松野官房長官は、一連の対応を検証するため、幅広い分野の有識者20人から30人程度に個別にヒアリングを行って論点を整理して、速やかに公表する考えを示しました。

「国葬」の費用 詳細

政府が発表した「国葬」にかかった費用の速報値、12億円台半ばの詳細は次のようになっています。

式典の経費は、今年度予算の予備費からおよそ2億5000万円を支出することを閣議決定しましたが、実際はおよそ2億4000万円だったとしています。

内訳は、企画や演出などに1億9000万円、会場となった日本武道館の借り上げなどに5000万円程度となっています。

警備費は、概算では8億円程度となっていましたが、実際にはおよそ4億8000万円だったとしています。

各地から警察官を派遣するための旅費や、超過勤務手当に対する国からの補助が2億6000万円、警察官の待機場所や輸送するバスなどの借り上げ費が2億2000万円程度となっています。

接遇費は、概算では6億円程度を見込んでいましたが、実際にはおよそ5億1000万円だったとしています。

滞在中の車両の手配や、空港での受け入れ態勢の構築などに4億5000万円、接遇に当たる在外公館の職員を一時帰国させるための旅費が6000万円程度となっています。

このほか、自衛隊の儀じょう隊の車両借上げ費などがおよそ1000万円だったなどとしています。

松野官房長官「12億円台半ばの経費 必要十分なものだった」

松野官房長官は記者会見で、警備費について「海外要人の滞在日程が国葬儀や岸田総理大臣などとのバイ会談を中心とするものとなり、警護員の宿泊費や警戒に従事する部隊員の超過勤務手当などが抑制されるとともに、無償の公民館などを待機所として活用するなどした結果、総額3億円強が減少した」と述べました。

また、接遇費については「さまざまな要因があるが、代表的なものとしては、車両の手配に関わる費用や職員旅費が当初の想定よりも減少した」と述べました。

そして「12億円台半ばの経費は、国葬儀を執り行うために必要十分なものであった。確定値、すなわち会計検査院の検査を終えた決算値が出るのは来年秋ごろとなるため、委託事業者との契約の精算や人員を派遣した都道府県警察が取りまとめる経費の内容の精査などが終了した時点で概数値を示したい」と述べました。

一方、有識者へのヒアリングについて「日程調整など一定の時間が必要であり、現時点で具体的にいつまでに公表できるか答えるのは困難だが、できるかぎり早期に示したい。整理したものをもとに国会などで議論を進めてほしい」と述べました。

そして「国葬儀の実施について、国民各層の幅広いご理解を得る観点から、国会との関係などどのような手順を経るべきか、一定のルールを設けることを目指す」と述べました。