データで見る参院選2022②
維新 19都府県で比例票立民上回る

有権者が一票を投票する様子

先の参議院選挙の比例代表で、野党では、日本維新の会が最も多くの議席を獲得しました。都道府県別に見ると、日本維新の会の得票が立憲民主党を上回ったのは関東を含む19都府県で、去年の衆議院選挙の2倍以上に増えました。ただ、日本維新の会は得票率を下げたり、小幅な上昇にとどまったりした地域も少なくなく、両党の強弱関係に変化が生じたのは、立憲民主党が各地で得票率を大幅に下げたことが主な要因だと言えそうです。

先の参議院選挙の比例代表で、日本維新の会は全国でおよそ785万票、得票率14.8%を集め、前回と比べておよそ294万票、率にして5ポイント上がりました。
その結果、前回の5議席より3議席多い8議席を獲得し、野党では最も多い議席数となりました。
一方、立憲民主党は、およそ677万票、得票率12.8%で、前回と比べておよそ115万票、率にして3ポイント下がり、党が掲げていた目標の1300万票の半分程度にとどまりました。
獲得議席数は、前回より1少ない7でした。

また、去年の衆議院選挙の比例代表の結果と比べると、日本維新の会は0.8ポイントの上昇とほぼ横ばいだった一方、立憲民主党は7.2ポイントの下落と、下げ幅はさらに大きくなりました。

2つの政党は、それぞれの地域でどのような勢力争いを展開したのでしょうか。
都道府県別に比べると、日本維新の会は19都府県で立憲民主党を上回りました。
日本維新の会が立憲民主党を上回ったのは、前回の参議院選挙では、京都を除く関西と富山のあわせて6府県でした。去年の衆議院選挙では、この6府県に京都と徳島を加えた8府県で上回りましたが、関西やその周辺にとどまっていました。そして、今回は19都府県となり、前回の参議院選挙と比べて3倍以上、去年の衆議院選挙と比べても2倍以上に増えました。
19都府県の中には、東京や神奈川などの関東に加え、東海・北陸・中国・四国・九州の一部の地域も含まれ、地盤の関西以外でも支持の広がりがうかがえます。

日本維新の会が立憲民主党を上回った地域が増えたのはなぜでしょうか。

東京の結果を例に見てみます。
衆議院選挙での得票率は、立憲民主党が20.1%、日本維新の会が13.3%で、その差は6.8ポイント。それなりに水があいていました。

今回の選挙で、日本維新の会は得票率が0.5ポイントの上昇とほぼ横ばいだったのに対して、立憲民主党は7.5ポイントと大きく下げました。その結果、東京では日本維新の会が立憲民主党を1.2ポイント上回る形となったのです。

実は、日本維新の会の得票率が衆議院選挙と比べて下がったり、小幅な上昇にとどまったりした地域は少なくありませんでした。得票率が下がったのは10の道府県。残る37都府県では上がったものの、上げ幅を見ると、1ポイント未満が13の都府県、1ポイント以上2ポイント未満が11県などとなりました。

一方で、立憲民主党はすべての都道府県で得票率が下がり、下げ幅は各地で大きくなりました。

下げ幅が最も大きかったのは、高知で13.9ポイント、次いで、福島が11.9ポイント、栃木が11.8ポイントなどとなっています。この3県に福井・佐賀・静岡・山形を加えた7県では10ポイント以上下がりました。また、下げ幅が5ポイント以上10ポイント未満だったのも、31の都道県に上っています。

では、立憲民主党の得票率はなぜ下がったのでしょうか。
NHKが投票日に行った出口調査の結果をもとに、それぞれの年代がどの政党に投票したのか、衆議院選挙と比較してみます。

衆議院選挙では、立憲民主党に投票した人は、それぞれの年代で14%から26%いて、特に50代以上では20%以上を占め、主な支持層となっていました。
ところが、参議院選挙では、いずれの年代でも立憲民主党に投票した人の割合は低くなり、10代と20代、30代はそれぞれ3ポイント、40代は7ポイント、50代は9ポイント、60代は11ポイント、70歳以上は8ポイント下がりました。特に50代以上は下げ幅が10ポイント前後と大きくなりました。

日本維新の会に投票した人の割合は、いずれの年代も2ポイントまでの増減にとどまり、大きな変化はありませんでした。

特に支持する政党がない、いわゆる無党派層の投票先は、衆議院選挙からどのように変化したのでしょうか。

衆議院選挙では、立憲民主党が26%と最も多く、次いで自民党が23%、日本維新の会が18%で、立憲民主党は日本維新の会のおよそ1点5倍の支持を集めていました。

しかし、今回は自民党が26%と最も多く、次に支持を集めたのは日本維新の会で18%でした。立憲民主党は17%にとどまりました。衆議院選挙と比べると、日本維新の会は増減がありませんでしたが、立憲民主党は9ポイントと大きく減らしました。

日本維新の会は、衆議院選挙と比べて得票率が0点8ポイントの上昇にとどまる中で、今回、2倍以上の地域で立憲民主党を上回りました。両党の強弱関係に変化が生じたのは、日本維新の会が躍進をとげたというよりも立憲民主党が主な支持層の高齢層、さらには無党派層から支持を減らし、各地で大幅に得票率を下げたことが主な要因だと言えそうです。

NHK出口調査
7月10日に全国の1704か所で実施
調査対象は19万9715人
13万161人(65.2%)が回答