17都道府県「まん延防止」
解除の方向 大阪は慎重 政府

3月21日が期限となる18都道府県のまん延防止等重点措置をめぐり、政府は東京や愛知など17都道府県は解除する方向で調整しています。残る大阪については、病床使用率が依然高い水準にあることなどから、府の意向も踏まえて慎重に扱いを判断する方針です。

東京や大阪、愛知など18の都道府県に適用されている新型コロナ対策のまん延防止等重点措置は来週21日が期限となっています。

岸田総理大臣は15日「全国的な感染状況は改善が続いている。重点措置は自治体や専門家の意見も踏まえ、今週中に判断する。引き続きコロナ対策の慎重さを堅持し、第6波の出口に向けて歩みを進めていく」と述べました。

一方、適用されている自治体からは解除の要請が相次いでいて、東京も15日、さらなる期限の延長は求めない考えを政府に伝えました。

政府は各地の感染状況や医療提供体制、それに自治体の意向も踏まえ、東京をはじめ首都圏の1都3県や愛知、京都、兵庫など17都道府県は重点措置を解除する方向で調整しています。

残る大阪については病床の使用率が依然高い水準にあることなどから、吉村知事と情報を共有しながら慎重に扱いを判断する方針です。

岸田総理大臣は16日、関係閣僚と協議したあと記者会見して対応を明らかにすることにしていて、17日、専門家に諮ったうえで正式に決定する運びです。

東京都 “さらなる延長求めない” 政府に伝達

東京都は今月21日が期限となっているまん延防止等重点措置について病床の使用率が50%を下回っていることなどから、15日夕方、政府に対しさらなる延長は求めない考えを伝えました。

東京都などに適用されているまん延防止等重点措置はことし1月21日から始まり、2度の延期をへて今月21日が期限となっています。

これについて東京都は15日夕方、政府に対しさらなる延長は求めない考えを伝えました。

その理由について東京都は
▽都内の新規陽性者数が依然として高い水準ではあるものの下降傾向にあるほか
▽新型コロナ用の病床や重症患者用の病床の使用率がいずれも50%を下回っていることをあげています。

また
▽ワクチンの3回目の追加接種が今月下旬には都内全人口のおよそ40%に達する見込みであることも理由にあげています。

一方、東京都は年度末で人の移動が増加することや感染力がより強いとされる「BA.2」系統のウイルスへの置き換わりが進むことなどが懸念されるとして、現在の新型コロナに対応した医療提供体制については当面維持するとしています。

東京都の小池知事は都庁で記者団に対し「国が示す病床使用率などの基準を下回っているのはひとえに医療関係者や都民、事業者などの協力のおかげだ。ただリバウンドはあっという間にします。警戒を怠ることはありません」と述べました。

千葉県 熊谷知事 “解除できる状況” 政府に伝える

千葉県の熊谷知事は15日夕方の記者会見で、新規の感染者数の減少傾向が続き、病床のひっ迫状況も改善傾向にあるとして、解除できる状況にあると政府に伝えたことを明らかにしました。

そのうえで「この2週間ではっきりと改善傾向が示された。県民や事業者には県の要請に応えていただいたことに深く感謝します」と述べました。

一方「歓送迎会など飲食の機会があり医療提供体制の負担も抜けきったわけではない。引き続き警戒する必要がある」として、大人数での飲食を控えることなどの注意喚起を引き続き行う考えを示しました。

埼玉県 延長 要請しないこと決定

今月21日を期限として、埼玉県に適用されているまん延防止等重点措置について埼玉県は医療機関への負担が減ってきていることなどから、政府に対して今月22日以降の延長を要請しないことを決めました。

埼玉県は15日、新型コロナウイルス対策の専門家会議を開き、今月21日に期限を迎えるまん延防止等重点措置の扱いについて意見を聞きました。

その結果、新規の感染者数が減少傾向にあるうえ、医療機関への負担も減ってきているとして、22日以降の延長を政府に要請しないことを決めました。

県は重点措置の期限のあと、感染対策について県の認証を受けている飲食店には人数や営業時間などの制限は基本的に行わない一方、認証を受けていない飲食店については営業時間の短縮などを呼びかける方針だということです。

埼玉県の大野知事は「県民や事業者、それに医療機関などの努力のおかげでここまでの状態になることができたのは感謝申し上げたい。一方で、期限を迎えた後も手放しですべての経済・社会活動ができることにはならないと思うので、引き続き何らかのお願いを継続していきたい」と話していました。

茨城県 大井川知事 解除を要請 新規感染者は高止まり

茨城県の大井川知事は15日、臨時の記者会見を開き「高齢者へのワクチン接種が進んでいることに伴って、入院している人が減って、医療提供体制に余裕が出てきている」と述べ、政府に対して21日の期限で重点措置を解除するよう要請したことを明らかにしました。

一方、県内の感染状況については「感染者の高止まりが続いている。基本的な感染対策に加え、3回目のワクチン接種を打つことが最大の対策となる」と呼びかけました。

重点措置では県内全域を対象に、飲食店に対する営業時間の短縮の要請や、県民に対する感染リスクの高い場所への外出と移動の自粛を求めていますが、県は、解除されれば、これらの要請は行わないとしています。

また、小学校についても14日から18日までオンライン授業や分散登校などの対策をとるよう各市町村の教育委員会に要請していますが、22日からは通常登校・通常授業にするとしています。

一方で子どもの感染が増えているとして、幼稚園や保育園、小学校などに通う子どもが感染した場合は、クラスメートなどを対象に検査を行い、感染防止を図るとしています。

このほか、ワクチンの接種か検査で陰性が証明された県民に旅行費用の一部を補助する「いば旅あんしん割」についても16日から予約を再開するとしています。

北海道 対策本部会議で終了方針を決定

15日夕方開かれた北海道の対策本部会議で、道の担当者は道内の感染状況について、新規感染者数の減少が続き、病床使用率も札幌市を含めた道内全域で減少傾向にあるほか、医療機関などでのクラスターも発生件数は減少していることを報告しました。

こうした状況を踏まえ、道は、ことし1月27日の適用以降2回にわたり延長してきた道内全域のまん延防止等重点措置について、政府に延長は要請せず、期限どおり3月21日で終える方針を決定しました。

飲食店を対象に講じてきた営業時間の短縮要請は期限をもって終了し、4人以内などの人数制限も22日以降は行わない方針です。

一方、年度末から年度初めにかけて人の移動や会食の機会が増え、感染のリスクが高まる時期を迎えることから道民や事業者には基本的な感染対策の徹底を呼びかけることにしています。

道は、政府による重点措置の解除決定にあわせて週内に改めて対策本部会議を開き、基本的対処方針を踏まえ、対策の具体的な内容を決める方針です。

鈴木知事は、対策本部会議で「依然として1日当たりの新規感染者が1000人を超えているほか、高齢者施設などでの集団感染も継続して確認されている」と述べました。

そのうえで「今後、就職や卒業・進学などで人の移動や会食の機会が増加し、感染リスクが高まる時期を迎える。これまでもこうした活動が活発になることをきっかけに感染が拡大してきた」と指摘しました。

そして「まん延防止等重点措置が終了する場合も『BA.2』系統を含めたオミクロン株の感染力の強さを念頭に置いて、マスクの着用など基本的な感染防止行動の徹底をお願いしたい」と述べ、協力を求めました。

石川県 解除を政府に要請 新規感染者減少などで

石川県は15日、対策本部会議を開いて今月21日が期限となっている「まん延防止等重点措置」の対応について議論しました。

会議の冒頭、谷本知事は新規の感染者数が減少傾向にあることや病床使用率も20%台まで下がっていることなどを報告し、重点措置の解除を政府に要請する方針を明らかにしました。

対策本部会議で正式に決定し、会議後、重点措置の解除を政府に要請しました。

重点措置の解除に伴い石川県は飲食店への営業時間の短縮要請や酒類提供の自粛要請を解除するとともに、飲食や観光需要を喚起するための「県民旅行割」の再開や「Go Toイート」のプレミアム付き食事券の販売も再開する方針です。

谷本知事は会議のあと「感染者が減少傾向にあるといっても依然として100人を超える感染が確認されていることは事実です。重点措置を解除するとは言え、引き続き感染防止対策をしてほしい」と話していました。

京都府 延長要請しない方針決定 政府に伝達

京都府は15日午前、対面で集まらない持ち回りの形で対策本部会議を開いて対応を議論しました。

府によりますと、府内の感染状況について
▽新規の感染者数が減少局面にあることや、
▽入院患者向けの病床使用率も今月11日以降、50%を下回るなど徐々に改善していることから
重点措置の延長を要請しない方針を決めたということです。

西脇知事は記者団に対し、山際新型コロナ対策担当大臣に府としての方針を伝えたことを明らかにしたうえで「医療のひっ迫状況も徐々に改善しており措置の延長を求めないことを決定した。一方で感染者数は一定の水準にあり、引き続き感染防止対策は必要だと考えている」と述べました。

また重点措置が解除された場合の対策について、西脇知事は飲食店などへの営業時間短縮の要請の継続には慎重な見方を示したうえで「年度の変わり目や気候が暖かくなっていくことで人の移動や接触の機会が増えていく。去年3月末から4月にかけて感染が拡大した経緯も踏まえた対策が必要と考えており、国の方針も踏まえて検討を進めたい」と述べました。

兵庫県 解除を政府に要請 状況が改善

兵庫県は15日、対面では集まらない持ち回りの形で対策本部会議を開き、対応を協議しました。

そして解除にあたって課題だとしてきた病床使用率が50%まで下がり、重症病床使用率も16.9%と国が示した解除の目安を満たしていることに加え、新規の感染者数が減少し続けていることから、期限をもって措置を解除するよう要請することを決め、政府に伝えました。

飲食店などに対する時短営業などの要請について、重点措置が解除された場合も引き続き県独自に一定の制限を要請するかどうか、今週中に改めて対策本部会議を開き専門家の意見を聞いたうえで決定することにしています。

荒木副知事は「3月から4月にかけては人が多く移動する時期だ。リバウンドを起こさせずに収束させていくために、一人ひとりが気を付けて引き続き感染対策を取っていただくことをお願いしたい」と述べました。

兵庫県 斎藤知事 新型コロナ感染

兵庫県によりますと、斎藤元彦知事は15日朝、38度3分の発熱とけん怠感、それにせきの症状があったことから抗原検査を受けたところ新型コロナの陽性と確認されたということです。
斎藤知事は14日、南あわじ市で水産現場を視察したほか徳島県鳴門市で開かれた「鳴門の渦潮」の世界遺産登録に向けた会議に出席していましたが、県は関係者や同行した職員に濃厚接触者はいないとしています。
斎藤知事は今月25日まで療養し、復帰するまでの間は2人の副知事が代理で業務を行いますが、症状が回復すればオンラインで業務を行うことを検討するとしています。
また同居している家族も陽性が確認されているということで、保健所が感染経路を調べています。

斎藤知事は15日、自身のツイッターを更新し「今朝から発熱し先ほど新型コロナ感染が確認されました。皆様にご心配、ご迷惑おかけしております。症状は発熱と咳で比較的軽症です、公務もリモートなどで対応してまいります。皆様もお気をつけください」とコメントしました。

大阪 吉村知事 16日の対策本部会議で決定へ

大阪府の吉村知事は記者団に対し、まん延防止等重点措置をめぐる対応は、病床のひっ迫度合いなどを見極めて、16日の対策本部会議で決める考えを重ねて示しました。

この中で吉村知事は「感染状況は大きくみれば減少傾向にあるとは思うが、一気に減少している状況ではない。年度が替わる時期でもあり、再拡大する可能性も考えなくてはいけない」と述べました。

そのうえで、今月21日が期限のまん延防止等重点措置の取り扱いについて「感染状況や医療ひっ迫の状況、高齢者のワクチン接種率を考えながら、あす決定したい」と述べ、16日開く対策本部会議で府としての対応を決める考えを重ねて示しました。

このほか吉村知事は、府内で新型コロナウイルスの検査や診療を行う2177のすべての医療機関について、名前や連絡先などの公表を府のホームページで始めたことを明らかにしました。