どこに行く?
政府調達“布マスク”

新型コロナ対策として政府が調達した“布マスク”。

およそ8000万枚が配布されないまま民間の倉庫に保管され、保管費用は去年3月までの8か月間だけでおよそ6億円にのぼることがわかりました。

そのため広く希望者に配布することになり1月28日に申請期限を迎えましたが、政府は推計でおよそ2億8000万枚以上の希望の申請があったとしています。

不織布マスクの着用が推奨される中、実際に申請を行った人たちはこのマスクをどう活用しようとしているのか聞いてみました。

どう使う?

仙台市教育委員会は子どもたちのために有効活用しようとおよそ50万枚を申請しました。
新型コロナウイルスの収束後に、小中学校での給食の配膳や木工で木くずが飛ぶような授業の際などに使用する想定だということです。

仙台市教育委員会の担当者は「もともと予算を確保して各学校に配布していたので、捨ててしまうくらいなら学校現場ではいくらでも活用の機会があると思い申請しました。申請したマスクは直接各学校に届くように手続きをしてあります」と話していました。

2万5000枚を申請した鹿児島県南さつま市は、市が主催するイベントや市役所の窓口で配布するほか、問い合わせがあった団体や個人に配りたいとしています。

市の担当者は「配送料はかかりますが、廃棄するよりは活用した方が良いのではないかと思っています。市が申請したことがメディアなどを通じて周知され、市内の団体や個人の方から譲ってほしいという問い合わせも入っていて、不織布マスクは体質でつけられないという話も聞きます。ただ、本当に国から配布されるのかどうかも分からないのが現状で、何枚くるのかゼロなのか連絡がほしいです」と話していました。

また、東京・目黒区にある高齢者のデイサービスを行う施設は100枚申請しました。
マスクをそのままではなく、入浴介助の際、寝たきりの患者さんの皮膚がただれる「じょくそう」を処置する時のガーゼとして利用したいとしています。

リメイクして活用も

マスクとしてではなく、自分でリメイクして有効活用している人もいます。

おととし全世帯向けにマスクが配布された際、神奈川県に住む佐藤美香さんは、マスクをリメイクして子どもたちのお菓子のおまけなどを入れる巾着を作成しました。

家で過ごす時間が長くなったことに伴いおもちゃも増えたといいます。

佐藤さんは「洋服をリメイクした時ほど子どもたちに感動はない様子でしたが、使わないのはもったいないし、何か有効活用できればと思っていたので活用できてよかったです。今もおもちゃを入れています」と話していました。

そして、まったく別の用途で活用したというネット上の投稿も・・・。

おととし配布された際、マスクにかいわれ大根の種を植えてみたという人に当時を振り返ってもらいました。

@tonkotu0621さん「効果も含めて議論がある中で配られたマスクについて、ユーモアで笑い飛ばすような使い方をしたかったです。綿でできており、なおかつ何層にも重なった吸水性のある素材であることなど『マスクとして使うよりも、吸水性を活かして水耕栽培をしたほうが面白そうだ』と考えるようになりました」

「在宅・外出自粛で変化を感じにくい日々を送っていたこともあり、デスクの上で毎日数センチ伸びていくかいわれ大根が、けなげで可愛らしく見えました。シニカルな動機で育てはじめましたが、思っていた以上に癒されました。もっとも、わざわざマスクで育てなくてもいいので、これ以降は育てていません」

布マスクはどこへ?

政府は現在配布枚数などを精査しています。
在庫のおよそ8000万枚の中には不良品が含まれている可能性があるということで一定数廃棄するものが出る見込みだということです。

厚生労働省は「この事業について反省すべき点はあったと思う。1枚でも多く有効活用できるよう最後まで取り組みたい。どの申請にどれぐらい配布できるか個別に連絡はできないが、3月の発送に向けて鋭意作業を進めていく」としています。