菅首相 総裁選に立候補せず
自民党内の反応は…

菅総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、今月行われる自民党総裁選挙に立候補しないことを表明しました。これにより菅総理大臣は今月末に総裁としての任期が満了するのに伴い、退任することになります。

この中で菅総理大臣は「先ほど開かれた自民党役員会で私自身、新型コロナ対策に専念をしたいという思いの中で、自民党総裁選挙には出馬をしないことを申し上げた」と述べ、今月行われる自民党総裁選挙に立候補しないことを表明しました。

これにより菅総理大臣は今月末に総裁としての任期が満了するのに伴い、退任することになります。

そして菅総理大臣は「総理大臣になってから1年間、まさに新型コロナ対策を中心とするさまざまな国が抱える問題に全力で取り組んできた。今月17日から自民党の総裁選挙が始まることになっている。私自身、出馬を予定する中でコロナ対策と選挙活動を考えた時に莫大なエネルギーが必要だ。そういう中でやはり両立はできず、どちらかに選択すべきだ」と述べました。

そのうえで「国民に約束を何回もしており、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため私は専念したいと判断した。国民の命と暮らしを守る総理大臣として私の責務なので、専念してやり遂げたい」と述べ、来週にも改めて記者会見を行う考えを示しました。

自民 岸田前政調会長「総裁選への思いは変わらない」

自民党総裁選挙への立候補を表明している岸田前政務調査会長は、東京・文京区の商店街を訪れ、新型コロナウイルスの影響などについて経営者と意見を交わしました。

このあと、記者団に対し「菅総理大臣が総裁選挙に立候補しないと表明したことを、商店街に向かう途中で聞いた。状況をよく確認したうえで、改めて考え方を申し上げたい」と述べました。

その上で、「総裁選挙への思いは変わらない。これからも国民や党員の皆さん1人ひとりに向けてしっかりと発信する努力を続けていきたい」と述べました。

高市前総務相 総裁選挙への立候補に意欲

高市前総務大臣は、国会内で記者団に対し「菅総理大臣が、新型コロナ対策に一生懸命取り組みたいという思いで立候補を断念されたと知り、自分のためよりも国民のためという思いに心から敬意を表したい」と述べました。

その上で、総裁選挙への対応について「私の立候補の意思は変わらない。国会議員から激励の電話がたくさん来ていて幅広く、いろいろな議員に支援をお願いしたい」と述べました。
また記者団が、政治信条が近いとされる安倍前総理大臣に支援を求めるのかと質問したのに対し、高市氏は「これまで、いろいろ指導も頂き、同じ内閣で一緒に仕事もさせてもらったので、お願いしたいと思っている」と述べました。

石破元幹事長「白紙も選択肢狭まった」

自民党の石破元幹事長は、国会内で記者団に対し「菅総理大臣がこの1年間、全身全霊で休みなく働いてきたことに心から敬意を表したい」と述べました。
そのうえで、総裁選挙の対応について「白紙ということに変わりはない。ただ、新しい状況となり、選択肢が狭まったことは事実だ。
何が国民のため、自民党のためにとるべき道かということを、同志の皆さんと相談しながら、しかるべき時に決断したい」と述べました。

自民 下村政調会長 総裁選「仲間と相談」

今回の自民党総裁選挙への立候補に一時、意欲を示していた、下村政務調査会長は党本部で、記者団に対し「驚いた。菅総理大臣は懸命に全力で1年間、新型コロナと戦ってきたと思うが、感染拡大が続く中でぎりぎりの判断をしたと思う。トップとしての厳しさの中での決断で、敬意を申し上げたい」と述べました。

その上で、総裁選挙への対応について、下村氏は「状況が変わったので、これから、改めて同志や仲間と相談したい」と述べ、改めて検討する考えを示しました。

自民 二階幹事長 「考えに考えての決断だと思う」

二階幹事長は、記者団に対し「臨時役員会で菅総理大臣から、新型コロナ対策に専念したいとのことで、総裁選に不出馬の発言があった」と明らかにしました。
そのうえで「正直びっくりしているが、総裁の発言なので、考えに考えて決断されたのだろう。我々がその場で押し問答しても、適切ではないと考え、総裁の考えを受け入れて、今後の党運営に対処していきたい」と述べました。
また二階幹事長は、菅総理大臣の総裁選挙の立候補見送りについて「けさ知った」と述べました。

「誠に残念だ」
また二階幹事長は、「この1年間、ずいぶん活躍されたと思っている。執行部と党で一丸となって、総理・総裁を支えてきた。私にも長い経験があるが、執行部と党とで静かに職責に向かって取り組んだ、歴史的にも素晴らしいことではなかったかと思い返している。誠に残念であるが、精いっぱいやって熟慮のうえで決断したことだから、しっかり受け止めて党の円満な発展につなげていくことが我々に残された仕事だ」と述べました。

臨時役員会の前に首相から伝えられる
二階幹事長は、臨時役員会の前に菅総理大臣から立候補を見送ることをあらかじめ伝えられたことを明らかにしました。
そのうえで「菅総理大臣に対し、どんな言葉をかけたのか」と質問されたのに対し、「在任中の活躍に敬意を表するとともに、これからも発展のために高い立場からご指導をいただくようにお願いしたいと伝えた」と述べました。

自民 林幹事長代理「総裁選挙は予定通り実施」

自民党の林幹事長代理は党本部で記者団に対し、総裁選挙は今月17日告示、29日投開票の日程で予定通り実施されるという認識を示しました。

自民 佐藤総務会長「驚き そのひと言に尽きる」

自民党の佐藤総務会長は記者団の取材に対し「この1年間、菅総理大臣を支えてきた者としては非常に驚いており、そのひと言に尽きる。混乱をきたさないために、任期中は新型コロナ対策に専念したいということだった。これまでやってきたことが、なかなか理解して頂けなかったということではないか」と述べました。

自民 森山国対委員長「コロナ対応 命賭けて取り組んだ」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「まったく予測していない突然の発言で、びっくりしたが、新型コロナ対応をしながら総裁選挙を戦うことは莫大なエネルギーが必要だということだったので、決断は厳粛に受け止めなければならない。この1年間、近くで見ていて、いかに新型コロナ対応に自分の命を賭けて取り組んでこられたかよくわかるし、国民にも理解いただけるのではないか」と述べました。

自民 山口選対委員長「引く勇気は出る勇気の3倍」

自民党の山口選挙対策委員長は、臨時役員会のあと記者団に対し「菅総理大臣は悩んでいるかもしれないとは思っていたが、びっくりした。さまざまなコロナ対策をしてきたが、一般の人に伝わらず、内心じくじたる思いもあったと思う。引く勇気は出る勇気の3倍いるものだ」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「決断に心から敬意」

自民党の世耕参議院幹事長は、NHKの取材に対し「総裁選挙にエネルギーを割くよりは、これから残った期間、コロナ対応に専念するという決断に心から敬意を表したい。大変重い決断だ。菅総理大臣が決意を表明された以上、総裁選挙を通じて速やかに後継の体制を構築していくことが、責任政党である自民党の取るべき道だ」と述べました。

公明 山口代表「責任貫こうとする姿勢を評価」

「報道で初めて知り、大変驚いた。新型コロナ対策を最優先にする菅総理大臣の、国民に対する責任を貫こうとする姿勢を評価したい。これから新たな総裁が選ばれて、首班指名を経て、衆議院選挙に臨むことになる。政権選択の選挙であり、国民に政権を任せていただけるアピールができるよう力を合わせていく」

銀座で号外配られる

菅総理大臣は、自民党総裁選挙に立候補しないことを表明し、総裁としての任期が満了するのに伴い、総理大臣を退任することになったことについて、東京・銀座では新聞の号外が配られ、行き交うサラリーマンや買い物客が次々に受け取っていました。

号外を受け取った男性は「信じられないですね、びっくりしました」と話していました。

選挙区の街の声「個人的にはよくやって頂いたと感謝」

総理の選挙区にある横浜市南区の商店街では、驚きや残念がる声などが聞かれました。

長年菅総理を支援してきたというそば店の男性店主は「非常に厳しい時期で、オリンピックもあり、誰がやっても難しいかじ取りだったと思います。飲食店としては非常に苦しい状況で、廃業とのせめぎ合いを1年間やってきましたが、補助金や給付金で存続の可能性が出てきました。個人的にはよくやって頂いたと感謝しています。非常に気持ちの強い方ですから、今後も議員生活を続けて国のために貢献してくれると確信しています」と話していました。

衣料品店を経営する80代の男性は、「初めて聞いて驚きました。この商店街はいろいろお世話になっていて、みんなで応援していたので残念です。コロナの影響でみんな落ち込んでいる時期なので、大変だったと思います」と話していました。

青果店店長の60代の男性は、「立候補しないのは当たり前だと思います。横浜の市長選の前、学術会議の問題のころからしゃべり方とか納得のさせ方とかが不十分だと思っていました」と話していました。

買い物に訪れていた80代の女性は、「コロナの事でたたかれているのはどうしようもないんじゃないかと思ってかわいそうでした。一番悪いときに首相になってしまったと思います。やっぱり地元なので、出ないとなったら寂しいです」と話していました。

海外メディアも続々伝える
ロイター「就任してわずか1年で」

菅総理大臣が今月行われる自民党総裁選挙に立候補しないことを表明したことについて、海外メディアも伝えています。

このうちロイター通信はNHKの報道を引用する形で速報し、「菅総理大臣が就任してわずか1年で後任を決めることになった」と伝えています。

AP通信は「菅総理大臣は、新型コロナウイルス対策で遅れをとったほか、国民の健康への懸念があるなかでオリンピックを開催したことで批判を受け、支持率が急降下した」と伝えています。

また、AFP通信は「今回の衝撃的な発表はパンデミックへの対応をめぐり菅政権の支持率が過去最低となっているなかで行われた」と伝えています。

そのうえで「菅総理大臣は新型コロナウイルスへの対策に苦慮し、日本はワクチン接種が遅れたため記録的な第5波に苦しめられている」としています。

中国国営の新華社通信は、「菅総理大臣が自民党の臨時の役員会で総裁選挙に立候補しないことを表明した」と速報しました。

国営の中国中央テレビは、ニュース番組で、「菅総理大臣が、自民党の臨時役員会で総裁選挙に立候補しないことを表明した。今月末に総裁の任期が満了するのに伴い総理大臣を退任することになる」と伝えました。

そして、「このところ、新型コロナウイルスの影響で、支持率がずっと良くなかった」と伝えました。

また、韓国の連合ニュースも「立候補の見送りにより菅総理大臣が総裁の任期満了にあわせて総理大臣を辞任するという見通しが出てきている」と伝えています。

このほか、ロシア国営のタス通信も速報し、日本のメディアを引用する形で「日本の総理大臣が与党の総裁選挙に立候補しない」と伝えています。