宮城 村井知事 五輪有観客
“復興五輪メッセージを”
宮城県で行われる東京オリンピックのサッカーの試合について、宮城県の村井知事は「まん延防止等重点措置」などが出されないかぎり、観客を入れて開催するとしたうえで、復興五輪のメッセージを世界に伝える機会にしたいという考えを示しました。
東京オリンピックをめぐっては、観客を入れて開催することにしていた北海道と福島県が相次いで無観客で開催することを発表しました。
村井知事は12日の定例の記者会見で、利府町の宮城スタジアムで行われるサッカーの試合について「現在、宮城県はステージ2で、イベントやプロ野球は行われている。オリンピックには客が来られないという不平等はいけない。『まん延防止等重点措置』などにならないかぎりこのまま進める」と述べ、観客を入れて開催する考えを改めて示しました。
そのうえで「『復興五輪』という大命題がある。すべての県民が感謝の気持ちを持っているということを世界中に発信できるチャンスでもあり、メッセージが伝わるように努力したい」と述べました。
“バブル方式”に「機能するのか」医師会からは懸念
東京オリンピックの開幕を前に、日本医師会は、競技会場がある9つの都道県の医師会と12日、テレビ会議を行い、地域の医師会からは、大会関係者と一般の人との接触をなくす「バブル方式」が機能するのかといった懸念が出されました。
会議の冒頭、日本医師会の中川会長は、東京オリンピックについて「東京などで無観客での開催が決定しているが、海外からは多くの選手や関係者を迎え、日本でも多くの関係者が携わる。競技が行われる地域などでは、さまざまな懸念もあるかと思うので、解決すべき課題や取るべき行動を明らかにしたい」と述べました。
これに対し、複数の医師会から大会関係者と一般の人との接触をなくす「バブル方式」について「きちんと守られて機能するのか」などといった懸念が出されたということです。
また、観客を入れて開催する方針の宮城県の医師会からは、無観客での開催を県に要請したことなども報告されました。
会議のあと、中川会長は「『バブル方式』は、心配だというひと言だ。ただ、開催する以上は、安全安心な大会に向けて、前向きに対処しようという議論だった」と述べました。
野党側 選手村で感染確認の選手ら別施設隔離を
東京オリンピックの選手村の運営をめぐり、野党側は、感染が確認された選手らを村内の発熱外来で受け入れるとしていることは、新たな感染を招きかねないとして、別の療養施設で隔離するよう、大会の組織委員会に要請しました。
13日の選手村の開村を前に、立憲民主党、共産党、社民党の7人の議員は12日、現地周辺を視察したあと、大会の組織委員会の担当者と面会しました。
この中で野党側は、感染が確認された選手らを村内の発熱外来で受け入れることや、濃厚接触者の疑いがある人も村内に入ることができるとしていることは、新たな感染を招きかねないとして、別の療養施設で隔離するよう要請しました。
これに対し、組織委員会側は「感染者については、現状のルールで対応していく。濃厚接触者は、村内の空室などで隔離措置をとることを検討している」と説明しました。
このあと立憲民主党の山井和則衆議院議員は記者団に「『バブル方式』で安全・安心というが、そのバブルの中で感染が広がりかねない問題のある運営だ」と批判しました。
五輪スポンサー企業 催しを中止や変更
東京オリンピックのほとんどの会場が無観客での開催となったことを受けて、大会のスポンサー企業は予定していた催しを中止したり変更したりしています。
東京オリンピックは、1都3県に続いて北海道と福島県の会場も無観客となり、ほとんどの会場で観客がいない極めて異例な形での開催となります。
このため、スポンサー企業の中には予定していた催しを中止するところも出ていて、このうちトヨタ自動車は、高度な自動運転機能を搭載した車の試乗会の実施や、最新の技術を紹介するパビリオンの公開を取りやめることを決めました。
会社側では、選手村での移動に使われる自動運転の車やマラソンなどでランナーに伴走する車の提供を通じて、大会運営を支えるとしています。
またパナソニックは、大会で使われる映像や音響機器などの技術をPRするため、会場にブースを設置する予定でしたが、オンラインでの紹介に切り替えるか、中止するか、検討しているということです。
このほか、ブリヂストンやNEC、それにキヤノンなど多くの企業が取引先を会場に招待するプログラムの中止を決めています。
競技会場など警備担当の民間警備会社が決起集会
東京オリンピックの開幕を来週に控える中、競技会場などの警備にあたる民間の警備会社による決起集会が開かれ、代表が「すべてのアスリートが競技に集中できるよう警備に臨みたい」と決意を述べました。一方、ほとんどの会場が無観客となったことを受けて、大会組織委員会は態勢などを見直すことにしています。
東京オリンピック・パラリンピックは都内を中心に43の競技会場で行われ、警察などに加え、民間の警備会社553社で作る共同企業体が会場や周辺の警備にあたることになっています。
東京中央区で開かれた12日の決起集会には警備会社の幹部およそ30人が集まり、はじめに組織委員会の米村敏朗チーフ・セキュリティ・オフィサーが「残念ながら無観客となり前提条件が大きく変わったが、民間の力を結集し、しっかり警備をやり遂げてほしい」とあいさつしました。
続いて、共同企業体の中山泰男代表が「すべてのアスリートが競技に集中し、活躍できるようしっかり警備に臨みたい」と決意を述べました。
組織委員会は先月、民間の警備員について1日当たり最大でおよそ1万8000人を配置する計画を公表しましたが、その後、東京などほとんどの会場が無観客となったことを受けて、態勢や配置の見直しを進めているということです。
最終的な態勢は、東京オリンピックが開幕する今月23日までに公表したいとしています。