組織委 橋本新会長
就任会見で語ったこと

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の新しい会長に就任した橋本聖子氏は18日午後6時すぎから記者会見を開きました。就任に当たり何を語ったのか、その発言をまとめました。

「改めてあいさつする」

「コロナ対策について、ジェンダーについて、延期にともなった初めての経験で東京大会の抱負を話したが、改めて一つ一つについてあいさつする」と述べました。

「厳しい社会の回復に向けて」

「オリンピック・パラリンピックは社会の一部で新型コロナウイルスによって厳しい社会の回復に向けてやっていきたい」と話しました。

「ワクチン接種が希望の一歩」

「きのう、国内でのワクチン接種が始まり感染を防御して安心して医療提供できる希望の一歩となった。最前線の医療従事者の方々に感謝申し上げたい」と話しました。

「新会長 経緯は困惑させるものだった」

「新会長を選ばざるをえなかった経緯は困惑させるものだったと思います」と述べました。

「丁寧な説明を心がけたい」

「これまでオリンピック・パラリンピックに全力で取り組んできた。組織委員会でも万全の対策を講じ、安全を優先で大会関係者だけでなく国民、都民に丁寧な説明を心がけていきたい」と話しました。

「安全最優先の大会を実現」

「アスリートの立場から参加者にとっても国民にとっても安全最優先の大会を実現することを目指してミッションを果たしていきたい」と述べました。

「アスリートファーストで」

「アスリートファーストでしっかりミッションを果たしていく。人間力なくして競技の向上なしとアスリートに伝えてきた。今、スポーツに何ができるか尊い役割を認識してやっていきたい」と話しました。

「自信と誇りある大会に」

「自信と誇りのある大会にしたい。アスリート出身のわたくしとして全力を尽くしたい」と述べました。

「延期は東京大会が初」

「今までの長い歴史で延期されたのは東京大会が初めてだ。持続可能なオリンピック・パラリンピックにしてレガシーにする」と話しました。

「末永くレガシーになることを確信」

「東京モデルのオリンピック・パラリンピックはIOC、IPCの将来の開催の指針となって末永くレガシーになることを確信している」と話しました。

「大変悩んだが 受けることが重要だと思い決断」

会長への就任を決断時期ときっかけについて聞かれると「きのう、検討委員会の流れについて連絡をいただき、その後、考えたうえで検討委員会の考えを受諾した。一連の手続きで透明性をもって選ばれるということで、多くの人から会長にと声をかけてもらった」と述べました。

そのうえで「今まで東京オリンピック・パラリンピック、男女共同参画の大臣を全うしたいと思ってきて大変悩んだが、こういう状況だから乗り越えなければいけないと伝えられた。私が受けることが重要だと思って決断した」と話しました。

組織委のジェンダーの問題「女性理事の比率を40%に」

組織委員会でのジェンダーの問題についての質問に対して「一連の問題に対して早急な対応が必要だと思っている。今月内には新たな方向性を示したい。女性理事の比率を40%にして、多様性と調和をしっかり打ち出して、理解いただけるよう早急にやっていきたい」と話しました。

ソチ五輪での週刊誌報道「深く反省」

橋本新会長をめぐっては、7年前のソチオリンピックで日本選手団の団長を務めたとき、フィギュアスケートの男子選手とキスをした写真が週刊誌に掲載され、団長の立場を利用したパワーハラスメントなどと報じられました。

これについて橋本新会長は「自身の軽率な行動について深く反省している。7年前にそういった一連の問題が出されたわけだが、しっかりと経緯を受け止めながら会長職を全うすることで、しっかりと多様性や調和、男女平等、あらゆる問題に対してオリンピズムの原則、ムーブメントをもとに着実に進める。そうすることで皆さんにご理解いただけることになると思う」と述べました。

そのうえで「非常に厳しい声だと受け止めている。一つ一つ解決するには自分自身が身を正して、東京大会でジェンダーをはじめとする多様性と調和を、組織委員会としてどう世界に打ち出すかにかかっている。全力で問題解決にみずから進んでやりたい」と話しました。

「森 前会長は経験・実績ありアドバイスもらう」

辞任した森 前会長について「森 前会長は私にとっての政治の師でもある。今回の発言について謝罪と撤回があったが、そのことについて私も真摯(しんし)に受け止め、問題を解決するために努力していきたい」と話しました。

そのうえで「森 前会長は経験や実績があるので、アドバイスをもらう局面もあると思う」と話しました。

自民党離党・議員辞職への考え「疑念もたれない行動とる」

自民党の離党や議員の辞職への考えについて質問されたことに対し「今までもオリンピック・パラリンピックにかかわらずスポーツ政策は超党派で協力し努力してきた。議員を辞職せずに会長になることはIOCや国にも認めていただいている。疑念がもたれない行動をとっていく。しっかりと理解いただける状況にしたい」と話しました。

また、政府の言いなりになるという疑念を持つ声があると聞かれると「オリンピック・パラリンピック担当大臣としてきのうまで組織委員会、IOC、東京都と調整してきた。会長という立場で私なりに理解していることをしっかり明確に打ち出して、解決に全力を尽くしたい」と話しました。

ジェンダーの問題「組織委員会が改革」

ジェンダーの問題をどう捉えているかという質問に対して「この問題については私自身、担当大臣をしたが、日本では性別による役割分担の意識が高いと思っている。組織委員会が改革して実行するのが第一で、すべての競技団体と協力して発信をしていきたい。組織委員会は国や東京都、スポーツ関連団体と連携してリーダーシップをとって結果を出し続けていくのが大事だ」と話しました。

「まずはコロナ対策」

組織を束ねる際に心がけることについて聞かれると「まずは何としてもコロナ対策を国や東京都と連携して収束に向けてしっかりと対応しなければいけない。それぞれ競技団体、自治体も含めて本当の意味でオールジャパンの体制でワンチームになって東京大会の開催と成功に尽力しなければいけない」と答えました。

そして「一つ一つ組織が組織委員会の中にあるが、横串を入れる形で風通しをよくして、国、東京都、IOC、IPCと連携する」と話しました。

さらに「延期をしたという経験は初めてなので、多くの皆さんに、これであれば東京大会をやってもいいんだなと思ってもらえるように準備をしないといけない。国民に理解いただけるようなコロナ対策を進め、ジェンダーも含めて早急にビジョンを作りあげて発表したい」と話しました。

男女平等の実現へ「改革した姿を見せる」

男女平等の実現に向けて「対策は組織委員会の内外ともに行っていかなければ、解決策は見いだせないと思っている。一人一人の声にしっかり寄り添い真摯(しんし)に受け止めるだけでなく改革した姿を見せていきたい」と話しました。

森 前会長の不適切発言「改めて検証し 起こらないための対策を」

森 前会長の不適切な発言で失った信頼をどのように回復していくのかと質問されたのに対して「女性理事の比率を40%に引き上げるという対策も形だけであってはならない。比率を引き上げるだけでなく皆さんに理解してもらうために丁寧にやっていかなければいけない。森 前会長は政治の師であるが、私から『あの発言はあってはならない』と明確に伝えたところ大変、反省していた。国民の多くの皆さんにはまだ納得してもらえていないと思うので、改めて検証して二度と起こらないための対策を行い、明確に行動として起こしていかなければいけないと思っている」と話しました。

中止 やむをえないの意見「安心してもらえるよう全力で準備」

オリンピックの中止はやむをえないという意見が世論調査で寄せられていると問われると、橋本新会長は「感染状況をみて不安に思っている方も多いし、東京大会をやるべきではないという声もある。世界はさまざま問題に直面しているが、解決に向けて先進国として方針を明確に打ち出さないと国民に理解していただけないと思っている。組織委員会として安心してもらえるよう、全力で準備したい」と述べました。

「選手が誇りに思える東京大会に」

「東京大会だけではなくオリンピック・パラリンピックは何よりもアスリートが主役だと思っている。アスリートが頑張る姿がこれからの大会のレガシーになるように、アスリートとともに東京大会を作りあげたい。ただ単に東京大会を開催するだけでなく、さまざまな問題を一つ一つ解決していくことができる力を日本が持っているということを世界に発信できれば、アスリートも誇りに思うだろう。選手が誇りに思える東京大会にするべく、開催の準備に全力で取り組んでいきたい」と話しました。

IOCバッハ会長から「『支えていく』と ことばいただいた」

IOCのバッハ会長と電話で会談したことを明かし「バッハ会長に新会長に選任されたことを報告したところ、喜んでくれた。『アスリート、そして大臣としての経験を生かしてほしい。IOCとして橋本会長と組織委員会を支えていく』という、ありがたいことばをいただいた。身の引き締まる思いだ。バッハ会長の熱いメッセージに応えたい」と話していました。