衆院で代表質問 参院では
「首相の答弁時間短い」も

国会では、午後は衆議院本会議で、菅総理大臣の施政方針演説に対する代表質問が、20日に続いて行われました。

公明 石井氏 緊急事態宣言2週間の現状認識などについて

公明党の石井幹事長は、今月7日に出された緊急事態宣言について「再発令から2週間を迎える現状認識とともに、感染者数が増えている若者の行動変容を促すため、SNSや動画のフル活用等について見解を聞きたい」と質問しました。

菅総理大臣は「全国の感染状況は引き続き高い水準が続き、緊張感を持って対応する必要がある。特に30代以下の若年者への働きかけが重要で、SNSや動画なども活用した情報発信を強化していく。まずは『ステージ4』を早急に脱却できるよう、都道府県とも密接に連携していく」と述べました。

また石井氏は、新型コロナウイルスによる生活への影響が長期化しているとしたうえで「自殺者数は去年7月以降、5カ月連続で前年より増えており、若い世代や女性で特に深刻だ。心のケア等の対策強化を急がなくてはならない」と指摘しました。

これに対し菅総理大臣は「自殺対策は相談体制の拡充をはじめ、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、総合的な対策を推進する。雇用と暮らしを守ることは政治の責務であるとの覚悟を持って、きめ細かな対応を行っていく」と述べました。

また「Go Toトラベル」について、赤羽国土交通大臣は「1日も早い感染の収束こそが事業者などへの最大の支援として、全力で感染防止策を講じていく。そのうえで政府の分科会の専門家に指導をいただきながら、改めて感染対策を徹底するなど、必要な見直しを行い、『Go Toトラベル』事業の再開を目指していきたい」と述べました。

共産 志位氏 東京五輪・パラの開催などについて

共産党の志位委員長は、東京オリンピック・パラリンピックの開催について「いったい何を根拠に開催が可能だというのか。ワクチンを頼りに開催を展望することはできないのではないか。ことし夏の開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中すべきだ」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「IOCのバッハ会長とも、東京五輪を必ず実現し、今後とも緊密に協力していくことで一致している。アスリートも含めて感染症対策をしっかり行うことにより、ワクチンを前提としなくても、安全・安心な大会を開催できるよう準備を進めている。新型コロナウイルスの克服に全力を尽くし、万全な感染対策を検討し、準備を進めていく」と述べました。

維新 馬場氏 衆院の解散・総選挙について

日本維新の会の馬場幹事長は、10月で任期満了となる衆議院の解散・総選挙への対応について「感染状況がどこまで落ち着けば衆議院解散の条件が整うと考えているのか。緊急事態宣言が発令されていたり、準ずる地域があったりする場合は解散できないといった考えはあるのか」と質問しました。

これに対し、菅総理大臣は「新型コロナウイルスの感染対策、そして経済の再生が最優先であり、これらに全力で取り組みたい。いずれにせよ、この秋までのどこかでは衆議院選挙を行う必要があり、よく考えていきたい」と述べました。

国民 玉木氏 新型コロナワクチン接種について

国民民主党の玉木代表は、新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、「菅総理大臣は『率先して接種する』と表明したが、いかなる根拠で接種できるのか。また接種予約をオンラインでできる一元的な仕組みづくりを提案したい」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「私が『率先して接種する』と申し上げたのは、あくまでも『順番が来たら率先して接種を受ける』と申し上げたものだ。私は『高齢者』に位置する。接種予約の円滑化など、オンラインも活用しながら、接種に向けた準備を進めていく」と述べました。

野党 首相の答弁時間短いと申し入れ

岡田官房副長官は、21日の参議院本会議での代表質問をめぐり、野党側から、自民党の末松参議院国会対策委員長を通じて、菅総理大臣の答弁時間が短いという申し入れがあったことを明らかにしました。

そのうえで「その趣旨を踏まえて、国会で丁寧な説明を行うよう、政府として対応していきたい」と述べました。

立民 福山氏「国民への説明拒否と同じ」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「菅総理大臣は質問に対する具体的な言及がほとんどなく、国会で誠実に答弁をする姿勢がみじんも感じられない。抽象的で非常に短い答弁で済ませようとしているのは立法府に対する冒とくであり、国民への説明を拒否していることと同じだ。非常に不誠実な対応で残念だ」と述べました。

公明 石井氏「首相は端的に答え柔軟な姿勢示した」

公明党の石井幹事長は、国会内で記者団に対し「菅総理大臣は端的に答えていたし、今後の対策にも柔軟な姿勢を示していた。特に医療施設や保健所などの体制整備については、状況に応じて対策を講じていく姿勢を感じた」と述べました。

維新 馬場氏「少し残念な答弁だった」

日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で「期待していたよりも少し残念なものだった。いずれにせよ、わが党としては新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正案で、事業者への補償措置を実効性のあるものにするよう、今後も求めていく」と述べました。

共産 志位氏「首相は危機的な現実が見えていない」

共産党の志位委員長は、記者会見で「菅総理大臣には危機的な現実が見えていないということが非常に明瞭になった答弁だった。無症状者に対する大規模検査がすでに進んでいるかのような言い方をするなど、国民の命がかかっている問題で、事実と異なる答弁を次から次へと繰り出し、議論にならない。今後も厳しくただしていかないといけない」と述べました。

国民 玉木氏「ことばに魂がない」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「残念ながら、現場の窮状や危機感に応える答弁をもらえなかった。ことばに魂がないと感じざるを得ず、国民に寄り添う姿勢や、必死に知恵を絞って解決策を探る思いと熱意が伝わらないから、国民の支持が離れていっているのだと思う」と述べました。