政府分科会 尾身会長「ふんどし締め直す時期」

政府の分科会の尾身茂会長は、衆議院厚生労働委員会で「クラスターが多様化していたり、PCR検査の陽性率が少しずつ増加したりしている。このまま行くと、国民の努力だけではコントロールするのが難しく、さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある。そうならないために、感染リスクが高まる場面を避け、先の分科会の緊急提言を踏まえた対応を早急に実施することが求められていて、今がもう一度、ふんどしを締め直す時期だ」と述べました。

医師会会長「感染防止へ我慢の3連休に」

新型コロナウイルスのさらなる感染拡大を防ぐため、日本医師会の中川会長は、この週末からの3連休を「我慢の3連休としてほしい」と述べ、感染が拡大している地域への移動を自粛するよう呼びかけました。

日本医師会の中川会長は記者会見で、東京など各地で感染が拡大していることについて「若年者が主体ではなく、中高年者の感染割合が増えてきていることがいちばん心配だ。社会経済活動の自粛などを再び強いることがないよう、国民一人一人が感染防止に向けて取り組むことが極めて重要だ」と述べました。

そのうえで、この週末からの3連休について「感染拡大を防ぐために『秋の我慢の3連休』としてほしい」と述べ、感染が拡大している地域への移動などを自粛するよう呼びかけました。

一方、中川会長は、観光需要の喚起策「Go Toトラベル」と感染との関係について「エビデンスははっきりしないが、経過や感染者が増えたタイミングなどを考えると、間違いなく十分に関与している」と述べました。

加藤官房長官「3連休も基本的な感染防止対策の徹底を」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「適切な感染対策を講じることで、移動による感染リスクを低下させることは可能だと考えている。現時点での感染状況を踏まえ、県をまたいだ移動について一律に自粛を要請する必要があるとは考えていないが、体調が悪い方などは外出を控え外出の際にもマスクの着用や『3密』の回避など基本的な感染防止対策の徹底を3連休においてもお願いしたい。しっかりした感染対策をとることを呼びかけていきたい」と述べました。

西村経済再生相 クラスター相次ぎ 飲食店ガイドライン見直しへ

政府は、会食でのクラスターの発生が相次いでいることを踏まえ、対策を検討する会合を開きました。

この中で、西村経済再生担当大臣は「忘年会をはじめ、年末年始のさまざまな懇親会や飲み会のシーズンになってくるので、足元の感染状況を踏まえ、さらに対策を徹底する観点から、ガイドラインの改訂や強化を早急に行っていただきたい」と述べました。

そのうえで、具体例として、飛まつの飛散を防ぐパーティションの効果的な設置や、換気が十分かどうかを確認する二酸化炭素濃度の計測機器の導入などを提示しました。

そして、西村大臣は「飲食店にも利用者にも、さらなる負担や面倒をおかけするが、感染対策と経済社会活動の両立のため、ご理解をいただきたい」と述べ、国として必要な費用を支援する考えを示しました。

経済団体に職場の感染対策の協力要請

西村大臣は、経団連や日本商工会議所の幹部とテレビ会議を行い、テレワークのさらなる推進や換気の実施など、職場での感染対策に協力を求めました。

この中で、西村大臣は、現在の感染状況について「きょうも東京で感染者数が最高になり、強い危機感を持っている。換気が悪く、乾燥しているところでさらに感染が広がるおそれもあり、気を引き締めて対策にあたる決意だ」と述べました。

そのうえで、職場での感染対策として、体調の悪い人を出勤させないことやテレワークのさらなる推進のほか、換気の実施、休憩室や喫煙室、更衣室での感染防止の徹底、それに、大人数で長時間の会食を控えることについて協力を求めました。

また、西村大臣は、ポストコロナを見据えた新しい経済社会を作るとして、予算と税、規制改革を結集して追加の経済対策を取りまとめる考えを伝えました。

これに対し、経団連の古賀審議員会議長は「感染拡大を防止しながら経済活動をきちんと回していくことが重要だ。テレワークや換気などで、もう一段できることがないか再点検したい」と述べました。

日本商工会議所の三村会頭は「地方によっては、あまり感染が増えていないところもある。対策は全国一律ではなく自由度があってもよいと思うので、そういうメッセージも込めてほしい」と述べました。

経済同友会にも協力要請

西村大臣は、経済同友会の櫻田代表幹事とテレビ会議を行い、職場での感染対策の徹底や、テレワークなどのさらなる促進に協力を求めました。

この中で、西村大臣は、現在の感染状況について「陽性者数が過去最高となるような日が出るなど、夏の感染拡大に匹敵するか、それを上回る大きな流行となっていて、政府として危機感を強めている」と述べました。

そのうえで「クラスターが多様化し、職場でも発生している。仕事をしている時は、マスクをしているが休憩室や喫煙室、更衣室では、緊張が途切れてマスクを外し、会話がはずむことがあるようだ」と述べ、職場での感染対策の徹底を求めました。

また、西村大臣は「今月はテレワーク月間で、試行錯誤する月間でもある。これまでやっていなかった企業にもお願いしたい」と述べ、テレワークや時差出勤のさらなる促進にも協力を要請しました。

これに対し、櫻田代表幹事は「150%賛成で、速やかに会員に周知徹底したい。コロナを機に新しい社会を作るということは、場所にとらわれない働き方を推進することで、生産性や付加価値を上げていこうということでなければならない。テレワークの推進に取り組みたい」と応じました。