RCEP合意で
関税はどうなる?

RCEPの合意で日本は中国と韓国と初めて経済連携協定を結ぶことになり、農林水産品や工業製品など幅広い分野で関税の削減や撤廃が行われます。

農林水産品目 酒類

日本に輸入されるコメや牛肉・豚肉、乳製品など重要5項目については関税の削減や撤廃の対象から外れました。

その一方で、中国から輸入される業務用のかき揚げなど冷凍した野菜の総菜は9%、冷凍の枝豆やたこは6%から7%の関税がそれぞれかけられていますが、協定の発効後、段階的に削減され、11年目から16年目に撤廃されることになりました。

また、3%の税率がかけられていたまつたけの関税も段階的に削減され、11年目に撤廃されます。

このほか、中国の紹興酒や韓国のマッコリも協定発効から21年目に関税が撤廃されます。

日本に輸入される農林水産品の関税撤廃率は、ASEAN=東南アジア諸国連合などは61%、中国が56%、韓国が49%などとなり、82%だったTPP=環太平洋パートナーシップ協定などと比べて大幅に低い水準に抑えられることになりました。

一方、日本からの輸出では、輸出量が多い中国向けのほたて貝や、インドネシアへの牛肉、中国や韓国向けの日本酒や焼酎などの関税も段階的に撤廃されます。

工業製品

日本から輸出する工業製品は、91.5%の品目について関税が撤廃されます。

具体的には、エンジン部品や電気自動車用のモーターなどの自動車部品のほか、鉄鋼製品や、電子レンジや冷蔵庫といった家電製品などが対象となります。

この結果、中国の日本に対する関税撤廃率がこれまでの8%から86%と大幅に上昇するほか、韓国も19%から92%まで高まります。

貿易・投資ルール

ルールの分野では、企業が自由に活動できるように、外国企業に対し自国内へのサーバーの設置を求めることや、技術に関する情報の提供を求めることを禁止する規定も盛り込まれました。

また、工場や機器の稼働状況などのデジタル情報について、国境を越えて自由に流通できるようにすることも義務づけられます。