新型コロナ緊急提言「原因
分析と対策に万全を」厚労相

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会が緊急提言を出したことを受け、田村厚生労働大臣は、感染者が増えている原因を分析するとともに、対策に万全を期す考えを示しました。

新型コロナウイルス対策をめぐっては、北海道など各地で感染者が増加していることから、政府の分科会が、9日、適切な対策を取らなければ急速な感染拡大に至る可能性が高いという認識を示す緊急提言を出しました。

田村厚生労働大臣は、記者会見で、「1か月くらい前の推移と比べると、感染者が増えているのは間違いない。季節的なものなのか、季節の変化に伴い生活様式が変わっていることが原因なのかは分析しないといけないが、緊急提言にのっとって、感染防止対策をしっかり進めたい」と述べました。

また、田村大臣は、観光需要喚起策の「Go Toトラベル」などについて、「北海道は独自の『ステージ3』であり国の指標とは違う。『Go Toキャンペーン』は、経済面で非常に重要で、経済が停滞すると雇用に大きな影響が出てくるので、現状では北海道でとめる考えはない」と述べました。

北海道 鈴木知事と首相が会談

新型コロナウイルスの感染者が増加している北海道の鈴木知事は、10日午前、総理大臣官邸を訪れ菅総理大臣と会談しました。

この中で鈴木知事は、集団感染に迅速に対応し、医療機関で即時対応できる病床を増やすことや、軽症者に対応する宿泊療養施設を札幌市内に増設し、1000人規模の受け入れ態勢を整備することなどを説明しました。

そのうえで、感染が北海道全域に広がった場合、地域の保健師などの確保が難しくなるとして、支援を要請したほか、冬場に感染を防ぐための知見を示すよう求めました。

これに対し、菅総理大臣は「しっかり連携して取り組みを進めていきたい」と述べました。

このあと、鈴木知事は「この11月で、何としても抑え込んでいくという強い思いで、国からバックアップもいただきながら、札幌市などと連携して、繁華街での重点的なPCR検査の実施などを行い、総力を挙げて立ち向かっていきたい」と述べました。

菅首相「最大限の警戒感で対処を」

政府の新型コロナウイルス対策本部の会合で、菅総理大臣は「新規陽性者数が1000人を超える日もたびたびあり、最大限の警戒感をもって対処する必要がある。現在の確保病床に対する使用率は、感染が拡大している都道府県でも、おおむね3割程度だが、国民の命と健康を守り抜くために、これまでの経験を踏まえた対策を先手先手で講じていく」と述べました。

そのうえで、専門家の分科会からの緊急提言を踏まえ、今までよりも踏み込んだクラスター対応を実施するほか、日常生活や職場などで感染リスクが高まる「5つの場面」について、情報発信を強化し、感染防止策を確実に実践すると強調しました。

また、ワクチン開発をめぐり「内外の製薬企業で研究開発が進んでいるなど、まさに人類の英知を結集し、新型コロナウイルスへの対応を講じている」と述べました。

そして「冬に備え、これまでに得られた科学的知見を生かし、引き続き、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に向けて、対策に全力であたっていただきたい」と指示しました。

西村経済再生相「また自粛にならないよう」

西村経済再生担当大臣は記者会見で、9日出された専門家の分科会からの緊急提言を踏まえ、SNSの発信を人工知能で分析しクラスターを早期に覚知する取り組みを進めるほか、リスクコミュニケーションの専門家からアドバイスを受けながら広報を強化する考えを示しました。

そのうえで、「対策を着実かつ迅速に実行し、さらに必要な施策については経済対策の中で充実させたい。感染者が増えるとまた自粛をしなければならない状況になるので、これまでの経験を踏まえ皆の努力で何とか減少傾向に転じさせたい」と述べました。