学術会議 “「調整」は
考え方のすり合わせ”首相

国会では、午後も、参議院予算委員会で質疑が行われ、菅総理大臣は、「日本学術会議」の会員候補の任命をめぐり、5日みずからが「前回は、正式の推薦名簿が提出される前に一定の調整が行われていた」と述べたことについて、「調整」は考え方のすり合わせで、任命権の行使は、会議の職務の独立性を侵害するものではないという認識を示しました。

「東京一極集中」

日本維新の会の浅田政務調査会長は、東京一極集中の是正をめぐり、「首都直下地震や、南海トラフの巨大地震などが想定される中で、首都の代替機能を確保する必要についてどのように考えるか」と質問しました。

これに対し、菅総理大臣は「大規模な災害が発生した場合をはじめ、有事に備えた『首都中枢機能』の継続性を確保することは極めて重要だ。首都直下地震に備えるため、政府機能のバックアップとして首都圏内の3か所を代替拠点と位置づけている。また、首都圏以外においても、大阪市など各都市を中心に、代替拠点の確保などの検討を行っている。関係機関と緊密に連携しながら、『首都中枢機能』の継続性の確保に万全を期していく」と述べました。

「中小企業政策」

国民民主党の舟山政務調査会長は、中小企業政策をめぐり、「菅総理大臣の主張の中で、中小企業があたかもとう汰の方向に行くのではないかという懸念があるが、どのように考えているのか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「小規模事業者のとう汰を目的とするのではなく、ポストコロナを見据えて、経営基盤を強化することで中堅企業へ成長し、海外で競争できるような企業を増やしていくことは重要だ。中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築や、デジタル化など、生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築し、創意工夫する企業を応援していきたい。地方を元気にするには、中小企業はものすごく大事だ」と述べました。

「日本学術会議」

共産党の小池書記局長は、「日本学術会議」の会員任命をめぐり、菅総理大臣が、5日の参議院予算委員会で、「前回は、正式の推薦名簿が提出される前に、一定の調整が行われていた」などと答弁したことを踏まえ、「政府が、会員の選考や推薦に、実質的にかかわることなどは、日本学術会議法に照らして、断じて認められることではない。政治介入そのものではないか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「調整については、任命にあたって考え方をすり合わせたということで、これは3年前の話だ。推薦は、『学術会議』しかできないということは、十分に承知している。任命権者である内閣総理大臣が、日本学術会議法に沿って、公務員に任命する任命権の行使が、『会議』の職務の独立性を侵害することになるとは考えていない」と述べました。

また、菅総理大臣は、学問の自由について「極めて重要な権利ではあるが、『学術会議』の会員の任命は、憲法第15条第1項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者の内閣総理大臣が、日本学術会議法に沿って、国の行政機関に所属する公務員を任命するものであり、個人の学問の自由との関係で問題になるとは考えていない」と述べました。