辺野古 玉城知事「断念を」
加藤官房長官「理解を」

沖縄を訪れている加藤官房長官は玉城知事と会談し、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を断念するよう求められたのに対し、日米同盟の抑止力の維持と基地の危険除去に向けた唯一の解決策は辺野古移設だとして理解を求めました。

沖縄基地負担軽減担当大臣を兼務する加藤官房長官は就任後初めて沖縄県を訪問し、10日夕方、沖縄県庁で玉城知事と会談しました。

この中で玉城知事は、アメリカ軍普天間基地について「県民の理解が得られない辺野古への移設計画を断念し、普天間飛行場の1日も早い危険性の除去を実現してほしい」と求めました。

これに対し、加藤官房長官は「日本を取り巻く安全保障の状況が厳しさを増す中、日米同盟の抑止力をどう維持し、普天間飛行場の危険性をどう除去するのかを考えれば、唯一の解決策が辺野古移設になると考えている」と述べ、理解を求めました。

そのうえで「できることはすべて行い、目に見える形で実現していくという強い決意のもとで、全力で基地負担軽減に取り組んでいきたい」と述べました。

また、玉城知事が「新型コロナウイルスの感染拡大が甚大な影響を及ぼし、沖縄県の経済はかつてない危機に直面している」と対策に必要な予算の確保を要請したのに対し、加藤官房長官は、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、日本経済を早期に成長軌道に戻すための取り組みを進める考えを伝えました。

会談のあと、加藤官房長官は記者団に対し「菅総理大臣が担当大臣だった時の姿勢をしっかり堅持するという思いで取り組みたい。基地の跡地利用の推進を含め、沖縄振興を国家戦略として総合的、積極的に推進したい」と述べました。

また、玉城知事らから、普天間基地の危険性除去や基地負担の軽減策などを話し合うため、政府と沖縄県、それに宜野湾市からなる「普天間飛行場負担軽減推進会議」の早期開催など協議の場を設けるよう求められたことについて、「要望も踏まえて対応していきたい」と述べました。

加藤官房長官と宜野湾市長が会談

加藤官房長官はアメリカ軍普天間基地のある宜野湾市の松川市長と会談しました。

この中で加藤官房長官は「住宅や学校などに囲まれた基地があるという状況を固定化してはならない。1日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組み、返還までの負担軽減も目に見える形で実現したい」と述べました。

これに対し松川市長は「市民はずっと不安の中で暮らしており、返還合意から24年がたってもなお進まないことにいらだちもある。1日も早い返還をお願いしたい」と述べました。

これに先立ち加藤官房長官は那覇市で、普天間基地の移設先となる名護市の渡具知市長と会談しました。

加藤官房長官が「生活環境をいかに守り、地域の振興を通じて暮らしや生活をどう高めていくか、できるかぎり配慮する必要がある」と述べて移設工事への理解を求めたのに対し、渡具知市長は「基地が所在していることで住民の生活環境に影響を与えている。基地から発生する諸問題の解決に協力をお願いしたい」と述べました。