日本学術会議 要望書提出へ
理由説明と6人の任命求める

日本の科学者でつくる日本学術会議が、会員の候補として推薦した人のうち菅総理大臣が6人を任命しなかったことを受け、学術会議は任命されなかった理由の説明を求めるとともに、6人の任命を求める要望書を菅総理大臣に宛てて提出することを決めました。

日本学術会議は政府から独立して政策の提言などを行う日本の科学者を代表する機関で、今月1日付けで就任する会員として、学術会議が105人の候補を推薦するリストを提出しましたが、菅総理大臣はこのうち6人を任命しませんでした。

日本学術会議は3日、幹部が集まる幹事会を開き、菅総理大臣に宛てて、推薦した会員の候補者が任命されない理由の説明と、任命されなかった6人の速やかな任命を求める要望書を提出することを決めました。

要望書は学術会議のホームページに載せるとともに、メールで国の担当部署を経由して提出する方針です。

日本学術会議は今月1日から開かれた総会や部会の中で、緊急に、この件の対応について協議を重ねてきました。

幹事会のあと、日本学術会議の会長で、東京大学の梶田隆章教授は「なぜ任命されなかったのか理由がわからないと対応ができない。要望書はなるべく早く提出したい」と話しています。

抗議活動も「日本の学術全体が攻撃されている」

日本学術会議の会員に推薦された人のうち6人を菅総理大臣が任命しなかったことについて、3日、総理大臣官邸前で抗議活動が行われ、任命されなかった1人で早稲田大学の岡田正則教授が、「日本の学術全体が攻撃されていると認識しなければならない」と話しました。

抗議活動は、早稲田大学の教授がSNSで呼びかけ、主催者の発表でおよそ300人が参加しました。

任命されなかった1人で早稲田大学の岡田正則教授も姿を見せ、「法律の趣旨からいって総理大臣に人事権の裁量の余地はなく、任命を拒否することはできない。また政府は、『人事の理由は説明しない』と言っているが、これは人事ではなく政治と学術の関係の問題だ。日本の学術全体が攻撃されていると認識しなければならない」と話しました。

参加した男子大学生は、「学問の自由が壊されようとしていることに危機感を感じました。政府の対応は不誠実だと思うので、6人をなぜ排除したのか、きちんと説明してほしい」と話していました。

岡田教授は、「日本の学術をゆがめて、将来に禍根を残すことがないよう、菅総理大臣は1日も早く間違いを認め、正してほしい」と話していました。