ルトン氏回顧録の一つ
一つに答えること控える」

アメリカのボルトン前大統領補佐官が出版した回顧録で、在日アメリカ軍の駐留経費の日本側の負担を大幅に増やすトランプ大統領の意向を日本側に説明したと記していることについて、菅官房長官は記者会見で「政府として答えることは差し控える」と述べました。

トランプ大統領の側近だったボルトン前大統領補佐官は、回顧録を出版し、去年7月に日本を訪問し当時の国家安全保障局長だった谷内氏と会談した際、在日アメリカ軍の駐留経費の日本側の負担を大幅に増やし、年間80億ドルを要求するトランプ大統領の意向を説明したことを明らかにしました。

菅官房長官は午前の記者会見で「ボルトン前大統領補佐官の回顧録の内容の一つ一つに、政府としてお答えすることは差し控える」と述べました。

またボルトン氏が、在日アメリカ軍の撤退を交渉のカードに使うようトランプ大統領から指示されたとしていることについて、菅官房長官は「全く承知していない」と述べました。

在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐっては、アメリカ側と5年ごとに結んでいる特別協定の期限が来年3月に迫っており、日米の交渉が今後、本格化する見通しです。

河野防衛省「売り切れで読めていない」

河野防衛大臣は記者会見で「ボルトン氏の本を買おうと思ったが売り切れで読めていない。アメリカ政府から、何ら交渉について話があるわけではないので、一個人が言っていることにいちいちコメントはしない」と述べました。

そして「日本政府としてアメリカから何か要求があったことはない。駐留経費の交渉はまだ始まってもいないし、始まる段階ではない」と述べました。

そのうえで「日米同盟はこの地域の平和と安定にも寄与している公共財なので、安全保障環境の中で日米同盟をしっかりと位置づけていくのは重要だ。どちらかが一方的に得をするような取り決めでは、長続きしない」と述べました。