分内容決定は法務省と
検事総長」と繰り返し説明

東京高等検察庁の黒川前検事長が辞職した問題で、森法務大臣は、衆参の法務委員会で、処分内容を決定したのは法務省と検事総長だと繰り返し説明しました。

衆議院法務委員会

衆議院の法務委員会で森大臣は、黒川前検事長を訓告の処分とした経緯について、「法務省および検事総長が処分を決定するまでの過程で、法務省から内閣に対し、事務的に黒川氏の問題の調査の経過の報告、先例の説明、また処分を考えるうえで参考となる事情の報告をした」と述べました。

そして、「総理に対しては最終的な調査結果を踏まえて処分したこと、および辞意が表明されたことを私から報告し、法務省の対応について了承を得たというのが経過だ」と述べ、処分内容を決定したのは法務省と検事総長だと改めて説明しました。

また、黒川前検事長を懲戒処分としなかった理由について、森大臣は「事実を認めて深く反省していること、これまで法務省および検察庁において長年にわたり勤務してきて、勤務態度は良好で組織に対して多大な貢献をしてきたものであって、今回まで懲戒処分を受けたこともなかったことなどの事情を考慮している」と述べました。

一方、野党側は「黒川氏は賭けマージャンを繰り返していた事実を隠して定年延長に同意して要職に居座り続けた。この点も理由に入れたら処分は全く違う結論になるのではないか」と指摘しました。

森大臣は「黒川氏の訓告対象となった事実の本質は自粛要請期間中にもかかわらず、金銭を賭けたマージャンに及んだことに強い非難が加えられる点にある。定年延長の同意書に署名した時期にもマージャンをしていたとも考えられるが、それを秘していたことは処分を変える事情とまでは言えない」と述べました。

一方、黒川氏への退職金について、森大臣は「定年退職で支給されるより相当額少なくなる」と述べ、黒川氏が自己都合退職となったため、退職金は定年退職より、およそ800万円少ないおよそ5900万円と試算されることを明らかにしました。

参議院法務委員会

参議院法務委員会で、日本維新の会の鈴木宗男氏は、黒川前検事長を訓告の処分とした経緯をめぐり「一部の報道で『法務省は懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にしないと結論づけ、法務省の内規に基づく訓告となった』と報じているが確認しているか」とただしました。

これに対し、森大臣は「事実とは違う。大臣室に事務次官が訓告という案を持ってきて皆で協議をして決めた」と述べました。

そのうえで森大臣は「検事長の監督者である検事総長に対し、法務省の意見として訓告が相当と考える旨を伝えた。その結果、検事総長から私に対し、検事総長としても訓告が相当であると判断するという連絡があった」と述べ、黒川前検事長の訓告の処分を決定したのは法務省と検事総長だと改めて説明しました。

そして、森大臣は「緊急事態宣言下に私も大型連休に入る前に法務省の幹部を集め、感染拡大防止に向けて身を律するように指示を出した直後でもあった。国民に大きな憤り、さまざまなご迷惑をおかけしたことを検察庁を所管する法務大臣として大きな責任を感じている。深くおわび申し上げる」と陳謝したうえで、法務・検察行政の信頼回復に努める考えを示しました。

賭博罪にあたるか 捜査当局が判断

26日の参議院法務委員会では、賭けマージャンについて、平成18年に閣議決定した「刑法の賭博罪が成立し得るものと考えられる」とする答弁書について質問が出ました。

野党側がこの答弁書は現在も有効か、ただしたのに対し、法務省の川原隆司刑事局長は「一時の娯楽に供するものを賭けた場合を除き、財物を賭けてマージャンを行い、その得喪を争うときには刑法の賭博罪が成立しうるというのは全くそのとおりだ」と述べました。

そのうえで「個別の事案があたるかについては、捜査当局による個別の事案の判断だ」と述べ、賭けマージャンが賭博罪にあたるかは捜査当局が個別のケースで判断すると説明しました。

自民 森山氏「処分は法務省で方向を決定」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「しっかり調査し、その結果に基づいて法務省として一定の方向を決めたものだ」と述べました。