急事態宣言 39県で
解除を正式決定

政府は14日、東京や大阪などを除く、特定警戒都道府県の5つの県と、特定警戒都道府県以外の34県の合わせて39県で緊急事態宣言を解除することを正式に決定しました。

政府専門家会議

午前8時半すぎから政府の専門家会議の会合が開かれました。

冒頭、西村経済再生担当大臣は「今月4日の延長判断から、10日がたったが、各都道府県における感染の状況について、分析・評価をいただきたい。基本的対処方針では、緊急事態宣言の対象地域は、感染状況や医療提供体制などを総合的に判断することにしており、現時点での措置の解除について意見をいただきたい」と述べ、地域ごとの感染状況を踏まえて、解除が可能かどうかの見解を示すよう要請しました。

また解除後の対応について、「北海道のように感染者の数が減少したのちに、第2波で増加する事例もある」と述べ、再び流行するリスクを踏まえた再指定の考え方を示すよう求めたほか、感染拡大の防止を前提とした経済社会活動のレベルを引き上げる際の留意点を示すことも求めました。

加藤厚生労働大臣は、「都道府県別の足もとの感染状況について分析・評価をいただくとともに緊急事態措置の解除にあたっての考え方や解除された地域における感染対策の在り方、保健所の体制やクラスター対策の強化、検査体制の整備、医療提供体制の確保の対策などについて議論してもらいたい」と述べました。

さらに、感染拡大の防止を前提とした、経済社会活動のレベルを引き上げる際の留意点も示してほしいと要請しました。一方、加藤厚生労働大臣は「都道府県別の足元の感染状況について、分析・評価をいただくとともに緊急事態措置の解除にあたっての考え方や解除された地域における感染対策の在り方、保健所の体制やクラスター対策の強化、検査体制の整備、医療提供体制の確保の対策などについて議論してもらいたい」と述べました。

諮問委員会「39県の解除方針は妥当」

緊急事態宣言の解除を前に、政府が感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が午前10時半ごろから始まりました。

冒頭、西村大臣は「特定警戒都道府県以外の34県、および特定警戒都道府県のうち、茨城、石川、岐阜、愛知、福岡については、3月中旬から感染拡大が始まる以前の状況にまで新規感染者数が低下しつつあることが確認された。また、医療提供体制や監視モニタリングの体制の状況からも、緊急事態宣言を解除することが妥当と判断されるのではないかと考えている」と述べ、東京や大阪など8つの都道府県を除く合わせて39県で解除する方針を諮問しました。

一方、西村大臣は、再び感染が拡大しまん延のおそれが出てくる場合に緊急事態宣言の対象として再指定する際の判断や、宣言を解除する地域での取り組みについても合わせて諮問しました。

このあと、西村大臣は記者団に対し、39県で解除する政府の方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。また、新たに集団感染が判明した愛媛県については、感染経路の調査を行い、速やかに報告することを条件に解除することになったということです。

西村大臣は愛媛について「いわば条件付きの解除だ。私が、諮問委員会の最中に中村知事とやり取りをしてお伝えした。院内感染なので、感染経路が東京などの大都市からのものか、あるいは市中感染があるのか非常に大事な点なので、調査を徹底的に行ってもらい速やかに報告してもらいたい」と述べました。

岡部会長代理「総合的に判断が妥当」
諮問委員会の会長代理を務める川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「基本的対処方針で示された解除の目安の数字を上回ったり、下回ったりしただけで、緊急事態宣言の解除の白黒がつくのではなく、医療提供体制や検査体制などで総合的に判断するのが妥当だ」と述べました。
また、岡部氏は新たに集団感染が判明した愛媛県について「委員会のなかでずいぶん議論になったが、例外的に宣言の解除を認めたのではなく、他の県と同じ判断基準で、解除が妥当という結論になった」と述べました。

東京財団政策研究所 小林研究主幹「検査体制拡充を主張」
今回から新たな委員として、初めて諮問委員会に出席した東京財団政策研究所の小林慶一郎研究主幹は「きょうは、検査体制を拡充するよう主張した。感染状況が落ち着くまでは今の状況を続けるしかないので、オンライン化など非接触型の新しいビジネスを開発して、ある程度収益が得られるよう考えていくしかない。経済の専門家としての視点を盛り込むことができたと思う」と述べました。

神奈川 黒岩知事「怖いのは人の流れ」
諮問委員会に出席した神奈川県の黒岩知事は「緊急事態宣言の解除や再指定を行う際の基準が示されたことについては評価したい。いちばん怖いのは、解除によって人の流れが起きることだ。特に、特定警戒都道府県とそれ以外の県の間で移動が始まると、感染がまた広がる。『都道府県を越えた移動は、とにかく控えてください』ということを、強く呼びかけてほしい」と述べました。
また「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」という解除の判断の目安について、「来週21日までに達成するのは容易ではない。県民には『もう少し我慢してほしい』と呼びかけたい」と述べました。

議院運営委員会で質疑

国会では衆参両院で議院運営委員会が開かれ、各党の質疑が行われました。

委員会で西村大臣は、「感染の状況や医療提供体制、監視体制などを総合的に勘案すれば、一部の地域については緊急事態措置を実施する必要がなくなった」と述べました。

そのうえで、東京や大阪など8つの都道府県を除く39県で解除するとした政府の方針について、諮問委員会から妥当だとする見解が示されたとして、対策本部で正式に決定する考えを示しました。

そして「政府として、まずは今回の大きな流行を今月31日までに収束させるべく、引き続き、都道府県とも緊密に連携しながら、全力で取り組む」と述べました。

自民党の大塚高司氏は「感染予防を図りながら経済活動と両立させるために、国、自治体、産業界はどのように取り組めばいいのか」と質問しました。
これに対し、西村大臣は「気を緩めたら、また感染が拡大する。感染防止策をしっかりと行い、経済社会活動の段階を引き上げる。それぞれの業界団体では、ガイドラインの作成を行っており、きょう81の団体が公表する予定だ。命と経済・暮らしを守る責任をしっかり果たしていきたい」と述べました。

立憲民主党の斎藤嘉隆氏は「1週間の新たな感染者数が10万人当たり0.5人という基準を顕著に超える県があらわれた時には、再度、宣言を出すのか」と質問しました。
これに対し西村大臣は「緊急事態宣言を最初に発出した時は、感染者数の増加スピードや感染経路不明の割合を見て判断した。クラスター対策をしているにもかかわらず感染者数が大きな波になりかけた時には、最初の指定の4月7日の時よりも、より厳しい目で見て宣言を発出する」と述べました。

国民民主党の奥野総一郎氏は「今は非常時であり、国民の命と暮らしを守るために必要なことは何でもやってもらいたい」と述べ、現金10万円の一律給付の状況や第2次補正予算案の規模をただしました。
これに対し西村大臣は、10万円の給付は14日までに9割以上の自治体で申請が始まり、このうちおよそ4分の1で給付が始まっているとしたうえで「家賃の負担軽減や、学生への支援、雇用調整助成金の引き上げなどの提案をいただいており、追加的な対策を検討している」と述べました。

公明党の下野六太氏は「医療現場の方々をはじめ、国民一丸となって頑張ってきたことが一部解除につながったと思うが、残る8都道府県の評価と解除の見込みを伺いたい」と質問しました。
これに対し西村大臣は「感染状況、医療提供体制、モニタリング監視の体制がしっかりできているかを総合的に判断していくことになる。連休期間中の成果を評価できる今月21日ごろを目途に、31日の期間満了を待つことなく専門家に評価を行ってもらい、適切に判断していきたい」と述べました。

日本維新の会の遠藤敬氏は「特定警戒都道府県と、宣言が解除される地域との往来の自粛を徹底するための具体的な方策はあるのか。都道府県任せなのか」とただしました。
これに対し西村大臣は「緊急事態宣言の対象地域と解除された地域との往来は自粛してもらうとともに、解除された地域どうしも、不要不急の往来は、少なくとも今月末までの宣言の期間内はできるだけ自粛してもらうということで、基本的対処方針にしっかりと示したい」と述べました。

共産党の山添拓氏は「感染拡大防止のために政府が『新しい生活様式』を要請するのであれば、それを可能とするような制度や財政支援が必要ではないか」とただしました。
これに対し西村大臣は「『新しい生活様式』を定着させていくことは何より大事だ。国民にはさまざまな不便をかけるが、テレワークの補助金や中小企業向けのオンライン化の補助金などをうまく活用してもらいながら、さまざまな職場での工夫もしっかりと支援していきたい」と述べました。

一方、西村大臣は、先月7日に7都府県を対象に出した緊急事態宣言について「爆発的な感染拡大の兆しがある時に専門家の指摘も受けて宣言を発出し、新規感染者が減少傾向になった。タイミングは間違っていなかった」と述べ、宣言の時期は適切だったという認識を示しました。

自民 役員会で首相が方針伝える

自民党の臨時の役員会で、安倍総理大臣は「東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、京都、兵庫、北海道を除く39県について緊急事態宣言を本日付で解除し、本日夕刻の政府対策本部で決定したい」と述べました。そのうえで解除の理由について、「この1週間とその前の1週間を比べ新規の感染が減少傾向にあること、直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていること、感染経路がわからない感染者の発生状況など、総合的に判断した」と述べました。

そして「残りの8都道府県は引き続き、気を緩めることなく、外出自粛、地方への移動を控えていただきたい。39県においては感染が再拡大するリスクもあるので、県をまたいだ移動は、少なくとも今月中は可能なかぎり控えていただきたい」と呼びかけました。

また安倍総理大臣は、追加の経済対策を講じるため今年度の第2次補正予算を編成する方針を示し、今月27日をめどに概算を決定し、今の国会で成立を目指す考えを示しました。

政府対策本部 39県の解除を正式決定

政府は、14日夜7時すぎから、総理大臣官邸で対策本部を開きました。

この中で安倍総理大臣は、「緊急事態宣言のもと、国民の皆様には大型連休における帰省や外出自粛のほか、『3つの密』の回避に向けた取り組みにご協力いただき、新規感染者数は減少に転じ、わが国では事態の収束に向け着実に前進している」と述べました。そして、東京や大阪など8つの都道府県を除く、39県で緊急事態宣言を解除することを決定したことを明らかにしました。

一方、残る8都道府県について、安倍総理大臣は、1週間後の21日をめどに、専門家に改めて状況を聴き、可能であれば、今月末の期限を待たずに宣言を解除する考えを示しました。

そして、「感染者数は大きく減少しているが、気を緩めることなく、これまでと同様、外出自粛や都道府県をまたいだ移動を控えることを含め、まん延防止に向けた取り組みを引き続き促していただくようお願いする」と述べました。

また、解除された39県についても、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染対策を継続するとともに、社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた取り組みをしっかり進めるよう呼びかけました。

一方、安倍総理大臣は、追加の経済対策について、「もう一段の新たな対策が必要となると判断した」と述べ、直ちに第2次補正予算案の編成に着手するよう関係閣僚に指示しました。

そして、「雇用調整助成金」の上限額の1日当たり1万5000円への特例的な引き上げや、賃料の支払いが困難な事業者や生活が厳しい学生らへの支援などの費用を盛り込むほか、大企業や中堅企業の資金繰り対策として、日本政策投資銀行による融資の積み増しなどの支援を行う考えを示しました。

一方、政府は、さらなる水際対策の強化として、メキシコなど、新たに13の国について、過去2週間以内に滞在した外国人の入国を拒否する措置などを実施することも決めました。

基本的対処方針 変更内容の詳細

政府対策本部で変更が正式に決まった「基本的対処方針」は次のようになっています。

緊急事態宣言の解除を判断する基準として、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3点を踏まえて、総合的に判断するとしています。

このうち、感染の状況に関する判断基準では、「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」になることを目安とするとしています。また、この目安とは別に「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり1人程度以下」の場合は、感染者数の減少傾向を確認したうえで、感染者の集団=クラスターや、院内感染、それに感染経路が分からない症例の発生状況も考慮して、総合的に判断するとしています。

医療提供体制については、重症患者の数や病床の状況のほか、患者の急増に対応できる体制が確保されているかどうか、監視体制は、必要なPCR検査が遅滞なく行える体制が整備されているかどうかを、判断基準にするとしています。

一方、解除したあと、感染が拡大して、再び宣言の対象にするか判断する際には、直近の感染者の数や、感染経路が不明な患者の割合などを踏まえて、総合的に判断するとしています。

また、変更された「基本的対処方針」では、宣言が解除された地域でも、基本的な感染防止策の徹底などを継続する必要があるとして、取り組むべき具体策を示しています。

この中では、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いをはじめとした「新しい生活様式」の定着を求めています。

また、不要不急の帰省や旅行など、宣言が解除されていない地域への移動は避けるように促しています。

さらに、これまでにクラスターが発生しているような場所や、「3つの密」のある場所への外出も避けるよう呼びかけるとともに、このような施設に対しては、地域の感染状況などを踏まえて、必要な協力を依頼するとしています。

また、全国的かつ大規模なイベントなどは、リスクへの対応が整わない場合は、中止や延期など、慎重な対応を求めています。

一方、職場への出勤に関しては、在宅勤務や時差出勤など、人との接触を減らす取り組みの継続を呼びかけています。

そのうえで、今後、感染状況などに変化があれば、各県がこれまでと同様、特別措置法に基づいた外出の自粛や休業の要請を行うことを検討するとしています。

そして、宣言が解除されない地域も含めた、今後の全般的な方針として、地域の感染状況や医療提供体制などを踏まえながら、各知事の判断で段階的に社会や経済の活動レベルを上げていくとしています。

そのうえで、将来、すべての都道府県で宣言が解除された場合も、「新しい生活様式」が定着するまで一定の移行期間を設けて、段階的に外出の自粛や休業要請などを解除していくとしています。

イベント開催や施設使用の制限緩和の留意点は

緊急事態宣言が解除された39の県に対し、政府は、イベントの開催や施設使用の制限を緩和する際の留意点などを通知しました。

このうち、イベントの開催については、参加人数を屋内は100人以下で収容定員の半分以下とすること、屋外は200人以下とし、人と人との距離を十分確保できることを目安にするとしています。

そのうえで、マスクの着用などの感染防止策をとることを前提として、イベント前後の参加者の交流を控えるよう呼びかけることや、参加者の名簿を作成して連絡先を把握すること、それに、導入が予定されている濃厚接触者を把握するためのスマートフォン向けのアプリを周知することなどを求めています。

また、施設の使用制限については、マスクを着用していない客と接する理髪店や飲食店の従業員は、マスクやフェイスシールドなどを装着することや、飲食店では仕切りを活用したり、真正面での着席を避けたりすることなどを促すよう要請しています。

そして、こうした施設の管理者に対しても、利用者名簿の作成やアプリの周知を求めるとしています。

首都圏や関西の「宣言」解除は一体的に判断 西村大臣

緊急事態宣言が39県で解除されたのを受けて、西村大臣は14日夜、記者会見を行いました。この中で、西村経済再生担当大臣は、引き続き、緊急事態宣言の対象となる8つの都道府県について、今月21日をめどに解除できるかどうか判断するとしたうえで、「例えば千葉だけを緩めると、東京から買い物などに行く人が増えることも考えられ、首都圏は1つの塊として考えるのが自然だ」と指摘しました。

また、「大阪・兵庫・京都も、生活圏を含めて密接な関係がある」と述べ、首都圏の1都3県と関西の2府1県については、一体的に判断する考えを示しました。

さらに、緊急事態宣言の期限となる今月末以降の対応も検討する必要があるとして、今月28日ごろにも、各地の感染状況などについて、改めて専門家に評価を求める考えを示しました。

一方、西村大臣は宣言が解除された地域について、「最初に緊急事態宣言を発出した時よりも厳しい目で見て、爆発的な感染拡大の兆しが見えてくれば再指定をして、大きな波にならないようにしたい」と述べ、感染経路が不明の患者の割合が30%を上回っているかどうかなど、より厳しい基準で判断し、再指定することもありえるという考えを示しました。

また、西村大臣は、解除された県のうち、医療機関での集団感染が確認された愛媛県について、「最初の1人が、東京などの大都市部に行って感染したのか、帰省した誰かからうつったのかなど、どこで感染したのかが重要だ」と述べ、愛媛県に感染経路を早期に調べて報告するよう求め、来週、改めて専門家に議論を依頼する考えを示しました。

神奈川県は

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に東京都などとともに引き続きなったことについて、神奈川県の黒岩知事は「やむをえないことで、いまは一瞬たりとも気が抜けない状況なので、当然のことだと思う」と述べました。

さらに、今月21日にも解除の見直しの可能性があることについても、「きょうの感染者が県内で30人を超え、東京を上回ったのは大変なショックで、数字をみても解除のハードルを越えるのは難しいのではないか」という見方を示しました。

今後の対応について、「解除前に休業要請の緩和や学校の再開などは全く考えていない。県の対策に大きな変更はない」と述べたうえで、「難しい戦いは続く。ここで緩んでは元のもくあみで県民の皆さんには不要不急の外出や県域をまたいだ移動を自粛するなど、もう少し我慢をお願いしたい」と、引き続き県民に対して感染拡大防止への協力を呼びかけました。

埼玉県は

埼玉県の大野知事は14日夕方、記者団の取材に応じ埼玉県が引き続き緊急事態宣言の対象になっていることについて、「新規の感染者の数は減っているが、首都圏全体で考えた時に落ち着いている状況ではなく埼玉県の継続は致し方ない」と述べました。

一方、企業や施設などに求めている休業要請や営業の自粛などの対応については15日、県の対策本部会議を開き、一部の施設や業種について、再開など対応を見直す方針を明らかにしました。

兵庫県は

緊急事態宣言が継続された兵庫県の井戸知事は、記者会見で、今後、休業要請を解除しても、1週間の平均で10人以上の新たな感染者が確認された場合には再び休業を要請するとした県独自の基準を発表しました。

この中で、兵庫県の井戸知事は、15日、休業要請の一部解除を決定するとしたうえで、解除にあたっては、新たな感染者数が、1週間の平均で5人以下で、重症患者を受け入れる病床に40床以上空きがあることの2つを基準とする考えを示しました。

一方で、休業要請を解除したあとでも、1週間の平均で、10人以上の新たな感染者が確認された場合には再び休業を要請するとしています。

井戸知事は、「かなりシビアな基準を設定した。ただ、これを満たしたから自動的に休業要請を解除したり再要請したりするわけではなく、医療体制や、近隣自治体の状況などを勘案し総合的に判断する」と述べました。

京都府は

京都府の西脇知事は、緊急事態宣言が継続されたことについて、「外出や営業自粛の効果は着実に出ているが、宣言が継続されるため、引き続き府民には、感染防止にいましばらくご協力をたまわりたい」と述べました。

そのうえで、「感染リスクが低くて、府民生活に近い施設から段階的に緩和していく。京阪神は経済圏や生活圏が一体なので、ある程度、大阪と兵庫と足並みをそろえる必要がある」と述べて、休業要請の解除を段階的に進めていく考えを示しました。

具体的には15日に決めるとしていますが、商業施設や学習塾のほか、博物館や美術館、それに図書館や劇場などについて、休業要請の解除に向けて検討を進めているということです。

一部の業種への要請解除は、早ければ16日の午前0時からとなる見込みで、施設の規模や対象地域については15日、方針を示すということです。

また、居酒屋を含む飲食店については、大阪や兵庫と足並みをそろえ、営業時間の延長を検討しているほか、ナイトクラブやカラオケ、それにパチンコなどについては集団感染が発生しかねないとして休業要請を続ける方針です。

それに学校の再開についても15日方針を示すこということです。

西脇知事は、「休業要請などが緩和されても終息ではないので、引き続き、動向を見極めながら感染防止に努めてもらいたい」と話しています。

専門家「今はまだ通過点 『新しい生活様式』続けて」

緊急事態宣言が39県で解除されることについて、感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「緊急事態宣言の解除は全国的な感染者数の減少が続いていることの証明で、喜ばしいことだが、韓国など海外の事例を見ると、気が緩むと再び流行するため、ウイルスと共存しながらの生活はしばらく続くと考えられる」と指摘しています。

そのうえで「解除が出口、終わりなのだという認識ではなく、今はまだ通過点なのだという意識ですべての地域で手洗いやマスクの徹底、いわゆる『3密』を避けるなど、新しい生活様式を続けていくことが望ましい」と話していました。

また、今後の感染状況については確実な見通しを示すことは難しいとしたうえで「今後、6月あるいはさらにその先まで感染者の数が低い状況で推移すれば、社会活動をある程度の規模で再開しても問題ないという話にもなっていくのではないか。私たちのこれからの行動が流行に直結するため、決して気を緩めないことが重要だ」と話していました。